クリムト
原題:Klimt
19世紀末、ウィーン。 時代に嫉妬されたひとりの天才画家がいた。
2005年/オーストラリア・フランス・ドイツ・イギリス/カラー/97分/ 配給:メディアスーツ
2007年04月25日よりDVDリリース 2006年10月28日(土)より Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
公開初日 2006/10/28
配給会社名 0006
解説
19世紀末、ウィーン。
時代に嫉妬されたひとりの天才画家がいた。
「エロス」と「タナトス(死)」、クリムトが描いた究極の愛
19世紀末、オーストリア。時代より遥かに先を行ったひとりの天才画家がいた。グスタフ・クリムト。
彼の作品からは「エロス」が匂いたっている。官能と情熱に満ち溢れた世界、あでやかで豊かな色彩、描き続けた「ファム=ファタル(宿命の女)」…。キャンバスの中の女性はなまなましいほどの肉感をたたえながら、悦惚の表情を浮かべている。「モデルに触れないと描けない」画家は、触れることで対象から何を導き取り、感じ、絵筆を執っていたのか。当時、ウィーンには彼の子どもが30人もいたという。
1900年パリ万国博覧会において「哲学」で金賞を受賞し、仏アール・ヌーヴォーの先駆者となったクリムトだったが、パリでの賛辞は故郷ウィーンでは”ウィーン文化全体に泥を塗るひどいスキャンダル”と罵倒されてしまう。それは、先進的なパリとは対照的に、保守的なウィーンではタブーとされていた裸体、妊婦、性描写をこともなげに描いたクリムトに対する、時代からの嫉妬だった…。
クリムトと旅する19世紀末ウィーン文化
クリムトに扮するのは、その演技に絶大な信頼を寄せられているジョン・マルコヴィッチ。久々の主演で夢と現の狭間に身を置いた画家の危うい精神世界を、見事に演じきっている。監督・脚本は『見出された時—「失われた時を求めて」より—』のラウル・ルイス。鬼才との呼び声高い独特の演出、寓意に満ちたカメラワークはまるでクリムトが描いた絵のように煌めきを放っている。
また、クリムト本人がデザインを手がけた衣装の再現や『クリムト』のために作られた100点を超える衣装の数々、そして19世紀末のカフェハウスのインテリアなど、細部にいたるまで当時を意識した世界観はまさに美の洪水。クリムトを通して私たちを絢燗豪華な世紀末のウィーンへと誘ってくれる。
ストーリー
1918年。芸術の都ウィーンの栄光は、まさに終焉を迎えようとしていた。そして、絵画に新たな潮流を生み出した稀代の画家、グスタフ・クリムト(ジョン・マルコヴィッチ)もまた、命の灯火を消そうとしていた。脳卒中で倒れ病院に運ばれたクリムト。しかし彼を見舞うのは愛弟子のエゴン・シーレ(ニコライ・キンスキー)ただ一人。発作に苦しみ、朦朧とした意識の中、クリムトの目には、栄光と挫折の人生がよみがえる。まるで寓話に満ちた彼の絵のように……。
1900年。保守的なウィーンでは彼の描く裸の女性がスキャンダルとなっていた。対照的に、先進的なパリでは絶賛され、パリ万博で金賞を受賞する。
その会場でスクリーンに映る美しい女性レア(サフラン・バロウズ)に心奪われたクリムト。彼は嫉妬する恋人ミディ(ヴェロニカ・フェレ)をおいたまま、文化省の書記官(スティーヴン・ディレイン)の計らいで、レアと密会を果たし、彼女の肖像画の依頼を受ける。
ウィーンに戻ったクリムトは、大臣から助成金を打ち切られたことを聞き、ますます反抗的になる。そんなとき、クリムトのモデルをしていたミッツィ(アグライア・シスコヴィチ)が彼の子どもを産んだことを聞き、会いに行く。彼にはモデルたちとの間に、すでにたくさんの子どもがいたのだ。恋人ミディにプラトニックな愛を求め、モデルたちに肉体的な愛を求めるクリムト。しかし彼の魂が求めるのは、宿命の女レアだけ。
書記官にレアと会うことを促され、彼女の居場所を教えられる。しかし、周囲の人には書記官の姿は見えず、クリムトの独り言にしか見えない。そう、謎の書記官はクリムトのもう一人の自分、心の声だったのだ。心の声に導かれるままに、彼はレアの庇護者である公爵(ポール・ヒルトン)に会いに行く。しかしレアは死んだと告げる公爵。虚構と現実が入り混じり、深まるパラノイア。自分の存在さえ儚くなる—。レアを求め、雪の中クリムトはアトリエに戻るのだが・・・。
スタッフ
監督:ラウル・ルイス
脚本:ラウル・ルイス
撮影:リカルド・アロノヴィッチ
音楽:ホルヘ・アリアガータ
キャスト
ジョン・マルコビッチ
ヴェロニカ・フェレ
サフラン・ハロウズ
ニコライ・キンスキー
スティーヴン・ディレイン
ポール・ヒルトン
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