パプリカ
原題:Paprika
第63回ヴェネチア国際映画祭出品
2006年/日本/カラー/90分/ 配給:ソニーピクチャーズ
2015年12月19日(土)20日(日)ユジク阿佐ヶ谷にて上映 2007年05月23日よりDVDリリース 2006年11月25日(土)よりテアトル新宿にてロードショー!
©MADHOUSE/ Sony Pictures Entertainment(Japan)Inc.
公開初日 2006/11/25
配給会社名 0042
解説
「パーフェクト・ブルー」「千年女優」で数々の国際映画賞を獲得したアニメーション監督・今敏VS文学界の巨匠・筒井康隆、という夢の顔合わせが実現した!映像化不可能と言われた筒井の傑作SF小説『パプリカ』が、世界を驚愕させてきた今敏の無限のイマジネーションによって、いまだかつて見たことのない本格・サイコサスペンス巨編としてスクリーンに登場する!!
既に製作発表と同時に世界の映画・アニメ関係者の間で話題沸騰、ヴェネチア国際映画祭正式出品作に選ばれたのを始め、各国映画祭からの出品依頼が殺到するなど、映画『パプリカ』への期待感は熱狂的な高まりをみせている。
“パプリカ”とは若く才能豊かなセラピスト、千葉敦子が、極秘のセラピーを行う時のコードネーム。普段の彼女は、精神医療研究所でサイコセラピー機器の開発・研究に取り組む、知的で大人の魅力を漂わせた優秀な研究員。だが夢探偵パプリカとしてクライアントの眠りの中に姿を現す時、彼女は容貌も性格も一変し、キュートで開放的な少女となって、迷える心を解決へと導いてゆくのである。
事件は最新型サイコセラピー機器“DCミニ”が盗まれたことから始まる。DCミニは、頭部に装着するだけで互いの夢を共有できる、画期的なモバイル・ユニットだが、悪用されれば人格を破壊できるほどの威力を持っている。やがて敦子が危惧した通り、一人また一人と、周囲の人々が奇怪な夢に精神を侵され、異常な言動にかられていった。いったい“夢のテロリスト”の正体は何者か? その目的は? 謎を解明すべく、たったひとり、狂ったイメージが氾濫する夢の中へと飛び込んでいくパプリカ。だが彼女を待っていたのは、ぞっとするようなおぞましい罠だった。しかも戦いは、夢の外へと拡大し、夢の中にしか存在しえないイメージが現実の世界に実体化し始めるという事態へとエスカレートしていった。 果たして世界そのものの歯車が狂い始めたのか、それともこれは永遠に覚めない夢の牢獄なのか!?物語は驚くべき結末へと突き進んでいく!!
脚本は今敏と『MASTER KEATON/マスター・キートン』『妄想代理人』の水上清資。
今監督の指揮の下、アニメーション制作にあたったのは、これまでの全ての今監督作品を手がけており、『幻魔大戦』『メトロポリス』『カードキャプターさくら』『MONSTER』『茄子/アンダルシアの夏』『ANIMATRIX』などで内外で高い評価を得ているマッドハウス。また、キャラクター・デザインおよび作画監督を、『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』で作画監督を務めた安藤雅司が担当するなど、日本最高のスタッフが集結し、映像化が最も困難と言われた夢の中のファンタジックでクレイジーな描写や、現実シーンの緻密なリアリズムに、高いクオリティを達成してみせた。とりわけ、様々な玩具の人形から、電化製品、郵便ポスト、鳥居、自由の女神までが練り歩く狂乱のパレード・シーンは、今や今作品には欠かせないテクノ界の巨匠・平沢進のキッチュで創りこまれた音楽の効果と相まって、圧倒的なスペクタクルとなっている。フランス人形、中国娘、孫悟空、ティンカーベル、人魚、ピノキオ…と夢の世界で七変化を見せるパプリカのコスチューム・プレイも、美少女ヒロインならではの楽しさだ。また『007』『ターザン』といった数々の名画や『夢』の御本家(?)黒澤明のパロディなど、映画にちなんだ遊びが劇中ふんだんに登場するのも、ファンにはうれしいところである。
主人公・千葉敦子/パプリカの声を演じるのは『スレイヤーズ』シリーズ、『新世紀エヴァンゲリオン』、『ポケットモンスター』の林原めぐみ。新劇界の重鎮・江守徹は『東京ゴッドファーザーズ』に続いて今作品を強力サポート。また原作者・筒井康隆と監督・今敏がバー“ラジオ・クラブ”のマスター&ウェイター・コンビを演じている。
ストーリー
千葉敦子は精神医療総合研究所に勤める若きサイコ・セラピスト。彼女が携わっているのは、最先端のテクノロジーを精神医療の臨床に応用する研究だ。クールな美貌と鋭い知性を兼ね備えた彼女は、セラピストとしての腕も優秀で、所長の島寅太郎(堀勝之祐)も彼女には厚い信頼を寄せている。
敦子は時折、島所長から極秘の依頼を受け、開発されたサイコセラピー機器を用いてクライアントの治療を行うことがある。そんな時、敦子は普段とは外見も性格もまったく別人のような少女「パプリカ」に変身する。それは他人の夢の中に入り込み、心の秘密を探り出す“夢探偵”のコードネームだ。
夢の中でパプリカと出会った者は誰もが、あどけない風貌の彼女に不安を忘れ、すべてを委ねようという気になる。そしてパプリカの大胆な行動に導かれ、謎だらけの夢の中に解決の糸口を見出してゆくのである。一度パプリカの治療を受けた者が、二度と忘れられなくなるほど彼女の魅力に心酔してしまうのも当然のことだった。
パプリカの存在は既に研究所内でも噂になっていた。だが、その正体を知っているのは、島所長と、敦子の同僚・時田浩作(古谷徹)のふたりだけである。時田は、他人の夢とシンクロし、それを映像として記録できるサイコセラピー機器の開発に、天才的能力を発揮してきた。最近彼が考案した最新モデル「DC ミニ」は、頭部に装着して眠るだけで、機器を使用している者同士が同じ夢を共有できるという、画期的なモバイルユニットである。だがDC ミニは悪用されれば他人の人格を破壊することもできるという危険な側面も持っている。それに未完成のDC ミニには、開発者の時田でさえ予測がつかない未知の機能があるらしい。
悪夢は、DC ミニのサンプル三機が研究所内で盗まれるという事件から始まった。善後策を協議しようと島所長のもとに集まる敦子と時田。だが彼女らの目の前で、突然、島所長は意味不明の演説をとうとうと始める……。犯人は既に、盗んだDC ミニを使って島所長の精神を侵していたのだ。
島所長の夢を分析した敦子たちは、そこに登場する日本人形の顔が時田の助手・氷室であることに気づき、所員の小山内守雄(山寺宏一)と時田とともに、欠勤中の氷室の自宅へと向かった。そこで彼女は、あり得ないことに、氷室の夢の侵入を受ける! DC ミニを装着していないのに、なぜ!? DC ミニにはアナフィラキシー効果があり、使用頻度が増えるにつれて有効範囲が拡大するとともに、装着を着けていない覚醒した状態でも、意識にアクセスすることが可能になるのかもしれない、と時田は考える。
幸い島所長はパプリカの治療によって窮地を脱するが、所内には新たな犠牲者が次々に発生していた。テクノロジーを利用して他人の無意識に介入する手法に以前から反対していた理事長の乾精次郎は、サイコセラピー機器の開発中止を決断する。
そんな時、DC ミニを着けた氷室が飛び降り自殺を図って重症を負い、ついに警察が捜査に乗り出してくる。事件を担当する粉川利美刑事(大塚明夫)は、島所長の学生時代からの親友で、現在パプリカが不安神経症の治療を行っているクライアントでもあった。
その粉川がパプリカの治療を受けている最中、不可解なことが起こる。彼の夢に氷室の狂った夢のイメージが混入してきたのである。DC ミニのアナフィラキシー効果が増大しているのか?だとすると誰がそれを使っているのか?残る二機のDC ミニはどこに?
開発者として責任を感じた時田は、手がかりを得ようと、自らDC ミニを装着して氷室の夢にアクセスするが、逆に夢の中に取り込まれてしまう。時田を救うため、そして真犯人をつきとめるため、敦子はパプリカとなって出動した。だがそれは邪悪な者たちが支配する、罠に満ちた危険きわまりない夢である。敵が思いのままに操る世界で、パプリカはどう戦えばよいのだろうか!?
スタッフ
原作:筒井康隆
監督:今敏
企画:丸山正雄
脚本:水上精資・今敏
キャラクターデザイン・作画監督:安藤雅司
色彩設計:橋本賢
美術監督:池信孝
撮影監督:加藤道哉
編集:瀬山武司
音楽:平沢進
音響監督:三間雅文
制作プロデューサー:豊田智紀
アニメーション制作:マッドハウス
プロデューサー:丸田順悟/滝山雅夫
制作:「パプリカ」製作委員会 マッドハウス ソニー・ピクチャーズ エンタテイメント
配給・宣伝:ソニー・ピクチャーズ エンタテイメント
キャスト
パプリカ/千葉敦子 林原めぐみ
乾精次郎 江守徹
島寅太郎 堀勝之祐
時田浩作 古谷徹
砂川利美 大塚明夫
小山内守雄 山寺宏一
あいつ 田中秀幸
日本人形 こおろぎさとみ
氷室啓 阪口大助
津村保志 岩田光央
柿本信枝 愛河里花子
レポーター 太田真一郎
奇術師 ふくまつ進紗
ウェイトレス 川瀬晶子
アナウンス 泉久実子
研究員 勝杏里
所員 宮下栄治
ピエロ 三戸耕三
特別出演
玖珂 筒井康隆
陣内 今敏
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