原題:Lady Chatterley

セザール賞を総なめにし、今官能的にスクリーンに甦る!

セザール賞 作品賞、主演女優賞、脚色賞、撮影賞、衣装美術賞受賞(監督賞、新人女優賞、音響賞、セット美術賞ノミネート) ルイ・デリュック賞受賞 ”カイエ・ドゥ・シネマ”誌が選ぶ06年最優秀作品 2007年ベルリン国際映画祭パノラマ部門出品

2006年/ベルギー・フランス・イギリス/135分/R-18/ 配給:ショウゲート

2008年04月25日よりDVDリリース 2007年11月3日、シネマライズほか全国ロードショー

公開初日 2007/11/03

配給会社名 0008

解説



20世紀最高の性愛文学、D.H.ロレンス『チャタレー夫人の恋人』が、
「チャタレー裁判」から50周年を迎える今年、
21世紀の新解釈で完全映画化

第1次世界大戦直後の1921年、イギリス中部の村で、女と男が運命的に出会い、強烈に惹かれあう。准男爵クリフォード・チャタレー卿夫人のコンスタンスと、チャタレー卿の雇われ人である森の猟番パーキンは、それぞれに深い孤独を抱えていたが、春の目覚めとともに森の中でともに過ごす時間を重ねるうちに、2人はごく自然に愛しあうようになる。
 20世紀を代表する英国小説家の1人、D.H.ロレンスの代表作にして最後の小説『チャタレー夫人の恋人』は、その包み隠さぬ性愛表現のために英米両国でも裁判沙汰にまでなり、“スキャンダラスな小説”のイメージが横行してきた。日本でも伊藤整訳『チャタレイ夫人の恋人』が、1950年に発売され、15万部のベストセラーとなったが、猥褻文書頒布罪で発禁処分となり、翻訳者と出版社が起訴された。「猥褻か芸術か」が流行語になるほど世間の注目を集め、法廷はさながら文壇対検察の構図といった光景を醸し出した。1957年3月13日、最高裁は翻訳者・出版社の上告を棄却して、有罪が確定。文学者等多数がこの判決を批判。猥褻と表現の自由の関係が問われた一大事件であった。
そして、「チャタレー裁判」から50周年を迎える今年、小説はフランスの女流監督の手で21世紀にふさわしい新解釈を施され鮮やかに甦った。
パスカル・フェラン監督が魅了されたのは、3つのヴァージョンがある『チャタレー夫人』の中でも、コンスタンスとパーキン2人の関係に焦点をあてた『チャタレー夫人の恋人-第2稿』(広く知られている『チャタレー夫人の恋人』は第3稿)。フェラン監督は彼らの激しい愛の静けさを、みずみずしい生命が輝く森と呼応させながら、美しく官能的に描き出していく。

生命の鼓動が震える森の中で全ての鎧を脱ぎ捨て、
2人は触れあい、愛しあう

 戦争によって下半身不随となった夫のクリフォード・チャタレー卿との生活は、体の触れあいも心の結びつきもなく、冬景色に閉ざされた石造りのラグビー邸は、コンスタンスにとって息のつまる灰色の牢獄のようになっていた。森で出会ったパーキンは、一見武骨な男だが、気高い心と孤独を抱えている点でコンスタンスと響きあい、2人の乾いた心と身体は互いを強く求めあうようになる。一方、クリフォードと森を散策しても、彼の偏狭な階級意識と鼻持ちならない自尊心があらわになるだけで、コンスタンスにとってパーキンとの身分差は何の障害にも感じられなくなっていく。過去に女性によって深く傷つけられたパーキンは、コンスタンスほど屈託なく2人だけの世界に希望を抱くことがなかなかできないが、やがて彼女の愛の深さによって、未来の輝きを信じるようになる。森の中の木々の緑や草花や小動物たちが、2人にすべての鎧を脱ぎ捨てさせ、裸のままの男と女が人間同士として深く結びついていくのだ。

パスカル・フェラン監督11年ぶりの長編劇映画、
セザール賞最多5部門を独占!

 アルノー・デプレシャン監督作品での共同脚本で注目され、監督デビュー作で1994年のカンヌ国際映画祭最優秀新人賞に輝いたパスカル・フェラン監督。日本でも公開された2作目の群像劇『a.b.c.の可能性』(95年)以後は長らく長編劇映画から遠ざかっていたが、本作で見事に復活。この『レディ・チャタレー』は、今年2月に発表された第32回セザール賞で、作品賞、主演女優賞、脚色賞、撮影賞、衣装美術賞の5部門に輝く快挙を成し遂げた。コンスタンスを演じて主演女優賞を射止めたマリナ・ハンズは、これまでにドゥニ・アルカン監督の『みなさん、さようなら』(02年)などに出演経験があるものの、『レディ・チャタレー』ではセザール賞新人女優賞にもノミネート、これからの活躍に大きな期待がかかる注目の存在。パーキンを演じたジャン=ルイ・クロックは、映画俳優としてはほとんど新人と呼べる存在だが、主演2人ともに、愛が強まっていくにつれて魅力を増していく、その変化を見事に表現している。他に、「カイエ・デュ・シネマ」誌が選ぶ2006年の最優秀作品に選出、2006年を代表する革新的な作品に与えられるルイ・デリュック賞を受賞するなど、高い評価を受けている。

ストーリー




 第1次世界大戦の数年後、イギリス中部、炭鉱地帯の村に建つラグビー邸に、結婚4年目を迎えたクリフォード・チャタレー卿とその夫人コンスタンスが暮らしている。クリフォードは新婚わずか1カ月後にドイツとの戦争に赴き、下半身不随の身となって戻ってきた。コンスタンスの毎日は、夫の身の回りの世話と、時おりの夜会と、召使いたちを手伝って家事をこなすだけで、冬の陰鬱とした空気と相俟って、若く溌剌としていた彼女の中から少しずつ生気が失われていた。
 そんなある日、姉のヒルダがラグビー邸を訪れ、妹の負担を軽減するために住み込みの看護人を置くようクリフォードに要求する。こうしてボルトン夫人が雇われ、ラグビー邸の生活に少しだけ変化が訪れる。ボルトン夫人は、コンスタンスを気遣い、春の足音が近づいている森へ散歩に出かけるよう促す。コンスタンスが森で黄水仙を摘み、泉の水を飲んでいると、遠くから金槌の音が聞こえてくる。小屋の前で大工仕事をしている森の猟番がいた。かつて晩秋に訪れたとき、上半身裸になって体を拭いていた男だった。コンスタンスは小屋の椅子で休ませてもらい、「ときどき休みに寄りたいわ」と合鍵をくれるよう男に頼むが、「ご主人が持っている」と冷たくかわされてしまう。
 ボルトン夫人が来て2週間が過ぎると、気難しいクリフォードもかいがいしく働く夫人に心を許し、ヒゲ剃りを頼むまでになっていた。ふたたびコンスタンスが森の猟番小屋へ行くと、猟番のパーキンは雑木林の中のシジュウカラの巣を見せてくれ、合鍵も手渡してくれる。その日から、コンスタンスは毎日のように小屋に出かけるようになる。
コンスタンスと、森の猟番パーキンは、それぞれに深い孤独を抱えていたが、春の目覚めとともに森の中でともに過ごす時間を重ねるうちに、ごく自然に愛しあうようになる。コンスタンスにとって、森は生の優しさに満ちて静かに輝いていた・・・。

スタッフ

監督・脚本:パスカル・フェラン
脚本:ロジェ・ボーボ
撮影:ジュリアン・ハーシュ
製作:ジル・サンドーズ
原作:D・H・ロレンス

キャスト

マリナ・ハンズ
ジャン=ルイ・クロック
イポリット・ジラルド

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す