原題:It's Only Talk

第6回東京フィルメックス/TOKYO FILMeX 2005出品作品 第30回湯布院映画祭正式上映作品::http://www.d-b.ne.jp/yufuin-c/

2005年/日本/カラー/126分/ 配給:松竹

2006年6月10日、渋谷シネ・アミューズ 新宿K's cinema キネカ大森 にて 全国順次ロードショー 

(C)「やわらかい生活製作委員会」

公開初日 2005/11/19

公開終了日 2005/11/27

配給会社名 0003

解説




仕事に、恋愛に、結婚に、家族に… すべてについがんばっちゃう、あなた。突然、スイッチが切れてしまうことありませんか? 誰でも生きていれば必ずそういうときがあります。そんなときはひとやすみして、やわらかい生活をしませんか。がんばらない、心をオープンに、脱力して、寂しいときは誰かを呼んで。どこにも属さず、社会から離れたときこそ、自分にとって何が大事か、わかるのかもしれません。

“これこそ、わたしたちの映画!”

「33歳、独身、都会暮らしの私にとっては、身につまされる作品でした。こんな孤独な女性の心情を事細かに描いた作品はそうないと思います。とにかく、寺島しのぶさんの演技が良かった」(33歳、女性)「自由で大胆な優子に共感しました。うらやましい気持ちにもなった」(24歳、女性)
「私にはない”ゆる〜い”感じの優子にちょっとあこがれ」 (42歳、女性)「今の、せちがらい日本の社会の中ではみ出しちゃって、ちょっと心に風邪をひいちゃいました。しばらくゆっくりしましょう、きっと良いこともあるさ…とそっと背中を押してくれるような気がしました」(42歳、女性)
「人間は、とても不安で孤独、そして、あたたかい。ずっとこんな風に思っていて、それだけにこの映画を鑑賞しおわったときはとてもすがすがしかった。寺島しのぶの演技は凄いなあ、と思った」(26歳、女性)
11・23 FILMEX上映後アンケートより

主演 女優寺島しのぶ 33歳 × 原作 新芥川賞作家 絲山秋子 39歳孤独で自然体、魅力的なニューヒロイン”橘優子”に、女性の共感の声!リアルな新しい女性像、女性の生き方を描いた映画が誕生しました!
「この原作を読んで、この本好き! って思いました。一生懸命すぎて、ついがんばっちゃう優子。健気でかわいい」と原作に惚れ込み、難役に挑んだのは、『ヴァイブレータ』で各賞を総なめし、『大停電の夜に』など出演作が目白押しの演技派女優寺島しのぶ。35歳、男なし、金なし、仕事なし… だけれど、孤独を受け入れ、自然体で生きている、新しい女性像を見事に演じきり、多くの女性たちから”優子は私!”と共感を集めている。原作は、絲山秋子のデビュー作「イッツ・オンリー・トーク」(文藝春秋刊)。「袋小路の男」で川端賞、「沖で待つ」で芥川賞も受賞している。新しい、リアルな女性像を描き、今最も注目の作家である。負け犬も、ニートも、バリキャリも、コマダムも… みな心のどこかに橘優子は存在している、”いま”を生きる女性すべてが必見の映画が誕生しました。

“こんな男にそばにいてほしい”豊川悦司、最高の演技!!  

「チャーミングなダメ男ぶりが魅力的」「一歩引いたところから温かい目で見ている姿がとてもよかった」「飄々として、大人のやさしさがにじみ出ている」「テキトーなようでいて温かい、優しい嘘をつくのが上手」… と、女性ファンのハートをわしづかみした豊川悦司。『日本沈没』『大停電の夜に』などでのクールで男前の役から一転、本作では、離婚寸前で一文無しの居候役。ベタな福岡弁や、カラオケで尾崎豊を熱唱するコミカルな演技の一方、料理を作り、髪を洗い、優子につくす大人の包容力をさりげなく見せ、女性たちから「癒された〜」と熱く支持された。優子をとりまく男優陣も豪華。『春の雪』で三島文学に挑み、『どろろ』など新作多数、今最も注目の妻夫木聡が、気の弱いチンピラ役に挑戦、その初々しい演技が実にチャーミング。廣木作品の常連、田口トモロヲ(『ラマン』『理髪店主のかなしみ』)が’趣味のいい痴漢’を、松岡俊介(『800 TWO LAP RUNNERS』)が’EDでマザコンの都議’を、大森南朋(『ヴァイブレータ』)が’大学時代の同級生’を演じ、廣木作品特有の、日常生活の隙間に潜む孤独と優しさを繊細に表現した。そのほか、名優柄本明が、登場シーンは少ないながら琴線に触れる演技で、涙をさそう。 音楽は、Dragon Ashでも活躍する古谷建志と、俳優の武田真治、上杉俊祐、吉川寛の4人によって結成されたバンド形式のプロジェクトnido。独特のリズムは、鈴木一博(『NANA』)による透明感のある映像、俳優の見事な演技とあいまって、鮮烈なコラボレーションを奏でている。 また、舞台となった蒲田の、猥雑で、温かい街の雰囲気も味わい深い。時代遅れのデパート屋上の観覧車、商店街の居酒屋、池上本門寺、六郷土手、銭湯… 心の傷を癒すには最適な街である。

“がんばらないでいいよ。がんばっている女の子へのエールをおくりたい”
と廣木監督 2003年、『ヴァイブレータ』で映画界に衝撃を与えたコンビが再び挑んだ。荒井晴彦の脚本は、厳しくも暖かい眼差しで人生に救いを見出し、廣木隆一の演出が、やわらかな関係の中のささやかな交流を輝かせている。どこか欠けていて、何かを諦めて、それでも何かにしがみついて生きていかなければならない人間たち。彼らを通して、「生きていること」「生きていくこと」を、愛しく、切なく、コミカルに描き出す。廣木監督は語る「仕事に、家庭に、子供に、それを全部やることはほんとうに大変。男よりも女のハードボイルドは半端じゃない。孤独で、強い。女の幸せって何? って、がんばってる女の子へのエールというか、応援したい。あまりひとりでがんばってほしくないけど。楽に生きようよ、って。がんばんないでいいよ、って」。

ストーリー







「俺、誰かにおやすみって言われたの久しぶりばい」「できないって?」「セックスできない。EDなんだ…。してあげたいんだけど、ごめん」

『蒲田は、「粋」がない下町。だからなんだな、きっと。初めて来たときから、どこか懐かしくて、夢で歩いたことがあるみたいにしっくりきた』 

 むかしむかし、あるところにうどんという名前の金魚とそばという名前の金魚がおりました。二匹はそれとなくしあわせに暮らしました。

優子と…

 一流大学卒→大手企業総合職と、キャリア街道を突き進んできた優子(寺島しのぶ)だが、両親と親友の突然の死をきっかけに、うつ状態へ落ち込む。趣味のいい痴漢に出会い、東京の端っこ・蒲田に越してきたことで、うつ病のやくざ、元同級生でEDの議員、そしていとこ祥一が優子の周りに集まってくる。彼らとの関わりの中で、少しずつ優子の固くなっていた心がほぐれていく…。

優子といとこ祥一

 ある日、ひょっこりいとこの祥一(豊川悦司)がたずねてくる。幼い頃は”姫””殿”と呼ばれていた仲のよかったふたりだが、今は少し微妙な関係だ。しかも、競馬ですって車を駐車場から出せないから泊めてくれ、という祥一の能天気ぶりにあきれる優子。躁状態の優子は、競馬で大当たりし、カラオケボックスでも特上寿司を食べまくり、マイクを離さないはしゃぎぶりだったが、突然うつ状態へ。あまりの豹変ぶりに最初こそ戸惑い気味だった祥一も、優子の代わりに薬をもらいに行ったり、シャンプーをしてあげたりとかいがいしく世話を焼く。祥一が「縁日ですくった」金魚に”うどん”と”そば”と名づけて、金魚鉢をのぞき込む優子の表情は晴れ晴れとしていた。だが…。

優子とわけありのチンピラ安田

 蒲田に越してきた優子は「Love KAMATA」というサイトを立ち上げる。東急プラザの屋上遊園地、タイヤ公園、池上本門寺の力道山像など、気になった風景をデジカメで撮り簡単なコメントを添えたシンプルなもの。ある日、うつ病のやくざ・安田(妻夫木聡)から「タイヤ公園に案内して欲しい」とメールが届く。それっぽくキメた優子の前に現れたのは、「俺のビッグマックを盗ったトンビを45オートで撃ち殺した」と自慢する、まだ幼さの残る青年だった。居酒屋でお互いになんの遠慮もなく、クスリ談義をしながら、今までにない気楽さを感じる優子…。

優子と趣味のいい痴漢k

 出会い系サイトで知り合った50歳の建築家kさん(田口トモロヲ)は、趣味のいい痴漢。車はオペル・アストラ、食事はゴージャスなフレンチ・レストラン。そして痴漢をするなら場末の映画館。とスタイルにこだわるkさんに連れられてきた蒲田は”粋” がない下町で、不思議と気に入り引っ越してきた。彼は優子を常にエレガントにエスコートしてくれる。普段はジャージにワークブーツの優子もkさんと会うときだけは、念入りにメイクをし、おしゃれをして出かける。そんなkさんにも秘密があった…。

優子とEDの議員本間

 蒲田駅前を歩いていた優子は、突然拡声器で「橘優子さん!」と呼びかけられる。大学時代ともに政治を学んでいた本間(松岡俊介)だった。「何よ! そんなので人の名前を呼ぶなんて!」むくれる優子に、都議会議員に立候補している本間はそつのない笑顔をみせる。同級生の卒業後の話を肴に屋台で飲んだ帰り、本間を部屋に誘う優子。「できないんだ。EDなんだ」と告白する本間に「私たち友達でしょ。庭付き一戸建ての本間が欲しいんじゃないから、安心してよ。」と笑顔で答える優子。翌朝、重い空気の中、口数少なく別れるふたり…。 夏から秋へ。ゆるやかに結びついていた彼らとの関係は、ゆるやかに変化していくが、それは優子にとっても新しい時間へのはじまりでもあった。

スタッフ

監督:廣木隆一
原作:絲山秋子
脚本:荒井晴彦
プロデューサー:森重晃
音楽:nido
照明:上妻敏厚
美術:原田恭明
録音:深田晃
編集:菊池純一
スタイリスト:宮本まさ江
助監督:宮城仙雅
制作担当:湊谷恭史

キャスト

寺島しのぶ
豊川悦司
松岡俊介
田口トモロヲ
妻夫木聡
柄本明
大森南朋

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