原題:Prince&Princesses

6つの国の6組の王子様とお姫様の物語。

2000年シネキッド シネキッド映画賞佳作選出 2001年シカゴ国際児童映画祭 審査員賞・児童審査員賞受賞 2001年ヴュルツブルグ国際週末映画祭 児童賞

フランス公開2000年1月26日

1999年/フランス/カラー/70分 配給:ワイズポリシー、ツイン

2012年06月20日よりDVDリリース 2007年07月18日よりDVDリリース 2004年12月03日よりビデオレンタル開始 2004年12月03日よりDVD発売開始 2004年8月7日シネセゾン渋谷にて先行モーニングショー

公開初日 2004/08/07

配給会社名 0043

解説


6つの国のプリンスとプリンセスのお話しを、フランスアニメ映画界の巨匠『キリクと魔女』のミッシェル・オスロ監督とそのスタッフが心を込めて描いた6篇の珠玉のファンタジー。童話の登場人物たちを通して語られる人間の可愛さ、愚かさ。それらを独自のエスプリとユーモアで描くミッシェル・オスロの世界。日本でもおなじみのアンデルセン、シャルル・ペロー、グリムといった作家達とはひと味もふた味も違う物語と影絵の手法を用いて繰り広げられる光と影の見事なまでのイリュージョンにあなたは必ず魅了されることでしょう。

だれも知らないおとぎの国のお話。
『白雪姫』『シンデレラ』『おやゆび姫』『眠りの森の美女』……。
王子さまとお姫さまの物語は数々あるけれど、
これからご覧頂く物語は、あなたがまた知らないおとぎの世界へ誘います。

アフリカの伝承民話をアニメに融合させた『キリクと魔女』が、本国フランスで一大社会現象を巻き起こしたミッシェル・オスロ監督。その彼が、今度は、ファンタジックな影絵の手法をモチーフに、プリンスとプリンセスの6つの愛のおとぎ話を物語ります。中世の版画や北斎の浮世絵を取り込んだ画期的な光と影のイリュージョンで見事に織りあげられた珠玉の逸話の数々は、われわれを幻想美の世界に陶酔の裡に誘います。

このアニメ作品は、もともと1989年にミッシェル・オスロが、「もしもの映画」“Chine si”と題するテレビシリーズとして製作したものです。そして、その中から王子と王女をめぐる選りすぐりの秀作を集めたのが、この『プリンス&プリンセス』で、製作から10年余の歳月を経た2000年に劇場公開、「ミッシェル・オスロは、おとぎ話を断念することなく、新しいテクノロジーを創造する。つねにユーモアと愛を持ち続けながら」(リベラシオン紙)と、フランスのマスコミからも大絶賛された話題作です。
オスロ独特ともいえる、影絵の中にエジプトのパピルス画や、中世の版画、それに葛飾北斎の浮世絵といった伝統的な絵画を取り込んだ斬新なアニメスタイルは、古さを感じさせるどころか、CGや3Dなどテクニカルなアニメ技術に慣れ親しんだわれわれの眼には、むしろ新鮮に焼きつくことでしょう。

今年のアカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされた『ベルヴィル(仮題)』やヨーロッパ映画初の全編最先端CGを駆使した『ケイナ』んど、今、新たな可能性が開きつつあるフランス・アニメ界から届し、たユ—モアとエスプリあふれる暖かな愛の肌触り。クラシックな味わいを醸し出しながら、アンデルセンやシャルル・ペローグリム兄弟といった御馴染みの童話作家たちとひと味もふた昧も違う、人間の愛おしさと愚かさをみつめたプリンスとプリンセスの愛のファンタジーは、普遍性たっぷりにわれわれの心と共鳴しあうに違いありません。

スタッフは、『キリクと魔女』『ベルヴィル』など現在、最も注目を集めるプロデューサー、ディヴィエ・ビュルネールをはじめ、長年、ミッシェル・オスロと仕事を共にしてきた精鋭メンバーが結集、彼らが全精力をかたむけて紡ぎあげた粋を尽くした極上の愛のイリュージョンは、観る者を、ひととき夢見る少年・少女の時代へとタイムスリップさせてくれるはずです。

なお、日本語吹き替え版には、プリンセス役に原田知世さんが挑戦。また、プリンスをはじめ、そのほかのユニークなキャラクターには松尾貴史さんが絶妙の声色で扮し、日本語版ならではの魅力を発揮、ミッシェル・オスロのアニメ世界に、また一味違った華を添えてくれることも注目です。

ストーリー


◆「プリンセスとダイアモンド」
ある森の奥深くに、魔法にかけられたプリンセスが囚われの身となっていました。そんなある日、ひとりのプリンスが従者を連れて、草原にやってきました。プリンセスを救い出すためです。プリンスが草原に隠された一粒のダイアモンドを発見したとき、どこからともなくプリンセスが現われて、こう告げます。
「草原に隠された111個のダイアを探し出し、美しい首飾りを作りあげれば、私の魔法は解けて、自由になります。しかし、制限時間を過ぎると、あなたは蟻になります」。果たして、プリンスのチャレンジは、あえなく時間切れとなり、蟻に変身してしまうのでした。ひとり残された従者は、プリンセスが止めるのも訊かずに、この賭けにチャレンジします。果たして、彼はプリンセスにかけられた魔法を解くことができるのでしょうか……。

◆「少年といちじく」
ファラオの時代のエジプト。貧しいけれど心優しき青年が、季節外れにもかかわらず立派に実をつけたいちじくを、ファラオとなったプリンセスにお届けします。権力を欲しいままにし、贅沢三昧のファラオといえども、この熟れて美味ないちじくには、舌がとろけそうでした。「奇跡の果実です」。そう言う青年に、プリンセスは喜び、豪華なほうびを与えます。翌日も、また翌日も、青年はいちじくをファラオに届け、そのたびにほうびを頂戴して帰ります。そんな青年に嫉妬したのが、欲深い行政官でした。行政官は青年に悪知恵を吹き込みますが……。

◆「魔女」
中世のある村に、悪名高き魔女が支配する古城がそびえたっています。魔女を退治すると、プリンセスの夫に迎えられると聞いて、これまで数多くのプリンスが襲撃を試みましたが、難攻不落の古城はいっこうにビクともせず、逆に反撃に遭って、ほうほうの態で撤退を余儀なくされていました。そんな攻防の一部始終を、高い木の上から偵察していたひとりの青年が、魔女退治のため、城へと向います。腰に携えていた短剣さえ投げ捨て、丸腰の彼は、城門に立って、こう告げます。「僕を城に入れてくれる?」。果たして、勇敢な青年の運命やいかに。

◆「泥棒と老婆」
葛飾北斎の時代、19世紀初頭の日本。肩掛けを巻いた老婆が、夜道をひとり歩いていると、見知らぬ青年から声をかけられます。西宮の自宅に帰るという老婆に、力自慢の青年は背負って送り届けると言います。「何と親孝行の息子」。老婆は、喜んで青年の親切に従います。ところが、人気のない通りに差し掛かるや、青年の態度は一変、老婆の肩掛けを奪おうとします。しかし、老婆も負けてはいません。背負われたまま、足を青年の胸に絡みつけ、彼のあばら骨を折ろうとします。「こんな年になっても、まだまだ元気さ。首をしめることもできるよ」。こうして、痛さにたまりかねた青年は、老婆を背負ったまま、思いがけない一夜を過すことになります。

◆「冷酷なプリンセス」
西暦3000年の未来。冷酷なプリンセスは、巨大レーダーと死の光線を使って、求婚者を探し出しては、次々と命を奪って楽しんでいます。そんなとき、美しい声で鳴くウタドリが、プリンセスの心を魅了しました。探査船に乗って現われたプリンセスは、ウタドリ使いの青年にウタドリを譲るよう命じます。それを受けて青年は、無謀にも生か死かの勝負を、プリンセスに挑みます。「私を待つものは死か、女王陛下のお側か」。日没までに、見つけ出されて殺されるか、それともプリンスになるか。「愛しています」「狂っている」。果たして、ウタドリ使いの青年は、氷のように冷ややかなプリンセスの心を溶かすことができるのでしょうか?

◆「プリンス&プリンセス」
ロマンティックな庭園で、ロマンティックなプリンスがロマンティックなプリンセスと永遠の愛を誓いあっています。「永遠に命を捧げる」「命を賭けて」。こうしてふたりは、熱烈なキスを交わします。すると、どうしたことでしょう、プリンスはヒキガエルに変身してしまいました。「ヒキガエルにキスするなんて、ごめんだわ」。そう拒絶するプリンセスを説き伏せ、ふたりはもう一度、口づけします。すると、次に変身したのは、プリンセスの方でした。ナメクジになってしまったのです。こうして、口づけのたびに、さまざまな昆虫や動物に姿を変えるふたりは次第に利己的な態度を見せ始めます。果たして、プリンスとプリンセスがもとの姿に戻るときは来るのでしょうか……。

スタッフ

監督・脚本:ミッシェル・オスロ
製作:ディディエ・ピュルネール、ジャン=フランソワ・ラギオニ

キャスト

日本語吹替え
原田知世
松尾貴史

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