囁く砂
原題:Whispering Sands
第4回NHKアジア・フィルム・フェスティバル出品(2001/12/16〜23)::http://www.nhk-p.co.jp/event/asia/asia.html 2001年プサン国際映画祭コンペティション部門出品 第46回アジア・パシフィック映画祭最優秀撮影賞・最優秀音響賞・新人監督審査員特別賞
2001年/インドネシア=NHK/カラー/110分
平成13年12月16日(日)から23日(日)まで8日間 アジア・フィルム・フェスティバル(会場:東京国際フォーラム・Dホール)
公開初日 2001/12/16
公開終了日 2001/12/23
配給会社名 0262/0263/0261
公開日メモ 平成13年12月16日(日)から23日(日)まで8日間アジア・フィルム・フェスティバル(会場:東京国際フォーラム・Dホール)
解説
貧しい小屋で薬草を商い、時には堕胎の手伝いもする母とたった一人の娘。娘に対する母の思いは異常なまでに深い。小屋に容赦なく吹き寄せる砂。毎日は砂との戦いであり、母と子の戦いでもある。そんなある日、行方不明になっていた父親が突然帰還したことにより、家族は否応なく新たな出発をしなければならない時を迎える。母と娘を通して無条件の愛・力・忍耐が、美しい映像でシンボリックに描かれる、女性による女性たちを描いた愛のドラマ。
口監督プロフィール
ジャカルタ芸術学院映画・テレビ学科卒。専攻は監督。卒業制作作品『The Only Day』が1992年アセアン・ヤング・シネマ・フェスティヴァルで大賞を受賞。ブリティッシュ・シェヴニング賞奨学金を得て、英国のイースト・アングリア大で映画学修士を取得。短編ドキュメンタリー、テレビドラマ、コマーシャルの脚本、監督を手掛けるほか、映画学校で講師も務めている。ドキュメンタリー『僕はガヨの歌い手 The Little Gayo Singer(Ceh Kucak Gayo)』(1995)は、山形国際ドキュメノタリー映画祭’97に招待された。1998年には、女性監督ミラ・レスマナ、それに男性監督リリ・リザとリザル・マントヴァニらと共に4人の監督によるオムニバス映画『KuldeSak(袋小路)』を完成させる。本作が長編劇映画初監督作品となる。
ストーリー
1960年頃、海沿いの村。ブルリアンは、娘ダヤと一緒に粗末な家に住んでいる。夫アグスは、草人形を使って客を引く行商の薬売りで、ダヤが小さい頃から旅に出かけたままだ。ダヤが覚えているのは、人形を操る父の面影だけだった。ブルリアンは薬売りのかたわら、産婆を手伝い出産や堕胎の手助けもしている。
ある日ダンサーとして旅暮らしをしている、ブルリアンの妹ドゥリマが訪れた。妹は、反乱軍が迫っているし、治安も悪化しているので、逃げるように説得するが、ブルリアンはここに残ると言いはる。しかし家は火を放たれ、母子はわずかな荷物を手に村を逃げ出す。
パシール・プティ(「白い砂」の意)を目指して砂の中を彷徨った2人は、ようやくあばら家に落ち着く。ブルリアンは、砂が吹き付ける小屋で薬を売る商売を始め、ダヤは、スクマという名の、不具だが美しい声の少女と友達になる。スクマには両親がなく、年老いた祖父と2人で暮らしていた。
ある日、一座とともにドゥリマがやって来る。彼女はダヤに赤い伝統衣装を与える。ブルリアンは、娘に踊りを見せることには反対するが、ダヤはこっそり夜通しでショーを見に行く。翌朝家に帰ったダヤは、母親が赤い衣装を燃やしているところに出くわす。ダヤはヒステリックに、なんでお母さんは自分が好きなものを全部取り上げるのだ、父さんのことも取り上げたのだと言う。
しかし、アグスが突然あばら家を訪れ、引き取ってほしいと懇願する。アグスはダヤに、都会の豊かな暮らしを語り、俺はいつか偉くなってみせるのだ、そしたら、お前とお母さんに何でも買ってやると語る。
スクマと遊んでいるダヤ。そこへ反乱軍が現れる。一団が通り過ぎたあとには、殺されたスクマが残されていた。ダヤは耳を砂につけ、地中に行ってしまったスクマの声を聞こうとする。
アグスは悲しむ娘を散歩に誘い、金貸しの家に連れて行き、何やら相談事をしている。そしてある日、アグスはダヤを再び金貸しの所に連れて行く。そこで金貸しはダヤに、マスターベーションしてみせるように言う…。
砂に倒れこみ、打ちひしがれているダヤを見て、ブルリアンは全てを悟る。彼女は自ら薬を調合し、夫に飲ませる。ゆっくりと倒れていくアグス。
翌朝、小屋は砂に埋もれている。アグスは生き埋めになったのだ。金貸しの家も焼け落ちている。今はただの砂山になった場所で、ダヤは地下の声を聞こうと耳をあてる。
——村外れ。ブルリアンはスクマの祖父にダヤを預け、旅立たせる。母子はすがり合って泣くが、ブルリアンの決心は変わらない。そして娘を送り出した後、ブルリアンは一人立ちつくし、悲しみに暮れるのだった。
スタッフ
監督:ナン・トリフェニ・アハナス
エグゼクテイブ・プロデューサー:シャンティ・ハルマイ、上田信(NHKエンタープライズ21)、
クリステイン・ハキム、ハリス・ラスマナ
制作:シャンティ・ハルマィ、デシレ・ハラハップ
撮影監督:ヤディ・スガンディ
音楽:トルシ・アルゲスワラ
音響デザイン:ビル・ジェド
美術:フランシス・X・R・パアト
編集:スントット・サヒッド
キャスト
ブルリアン:クリステイン・ハキム
アグス:スラメット・ラハルジョ・ジャロット
ダヤ:ディアン・サルトロワルドヨ
スウイト:デイデイ・プテット
ドゥリマ:カルリーナ・イナワティ
産婆スリ:デウィ・サウィトリ
スクマ:デッシ・フィトリ
祖父:ドクター・プルノモ
反乱兵:ディク・ドアンク
LINK
□公式サイト□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す