原題:Last Scence

2002年/日本/カラー/1時間40分/ヴィスタ・サイズ 配給:オズ+オムロピクチャーズ

2003年04月25日よりビデオ発売&レンタル開始 2003年04月25日よりDVD発売&レンタル開始 2002年11月9日よりよりテアトル新宿にて公開予定

公開初日 2002/11/09

配給会社名 0216/0343

公開日メモ 映画撮影所の過去現在を、一人の男優の生きて来た道を辿り描かれるバックステージ、ムービーオマージュ。

解説


 かつて、日本映画にも黄金期があった。そしてその時代、映画産業に関わった人々の映画への熱き思いは産業的には苦戦を強いられる日本映画にも脈々と息づいている。妻の死をきっかけに酒に溺れ、スクリーンから姿を消したかつての大スターと映画に希望と夢をもつ、若く純粋な女性映画スタッフ。『ラストシーン』は世代に隔たりのあるふたりの束の間の交流を通して、受け継がれる、映画への想いを軸とした切なくハートフルな人間ドラマである。
監督は『女優霊』『リング』などで知られるヒットメーカー、中田秀夫。『リング』がスティーブン・スピルバーグ率いるドリームワークスによってリメイクされ(10月全米公開、11月日本公開)、ハリウッドからもオファーが相次ぐ、注目の監督が数ある企画のなかから新たに選んだ題材は日本映画へのオマージュといえる心優しいドラマだった。
“第七の芸術”ともいわれる映画は19世紀の末に生まれたいわば20世紀を代表する文化、産業として成長してきた。現在でも映画は最もポピュラーなエンターテインメントのひとつだが、そのシェアはハリウッド映画が8割以上。日本映画の現実は厳しいものであることは否めない。そんな日本映画にも黄金時代があった。全盛期である1950年代には、映画人口は11億人を数え、1960年には1年間に547本という日本映画が公開されていたのだ。
だが、テレビという新しい娯楽の出現によってその勢いも急速に衰えをみせる。皇太子(現在の天皇)のご成婚、東京オリンピックなどの影響で、一般家庭におけるテレビ保有率が一気に伸びたことも拍車をかけた。『ラストシーン』の冒頭で展開されるのは日本映画黄金期の象徴ともいえるスターシステムの崩壊の断片である。中田監督はスターシステムとともに崩れ去った撮影所システムの末期に、映画界入り。小沼勝や澤井信一郎などについて、その技術のみならず、精神を受け継いだ中田監督にとって、この映画を撮ることは古きよき時代の日本映画を知る最後の後継者としての使命だったのかもしれない。現代的なミオという少女の純粋さと映画への熱き想いは、まさに中田監督の視線そのものなのである。
実際に日本映画の変遷を背景にしながらも『ラストシーン』の基軸となるのは人と人との絆に他ならない。看板スターと大部屋俳優、撮影所世代とテレビ世代、死に行く者と生き残る者。決して交わらないであろう嚇赤的な人々が、この映画の中では奇跡ともいえる接点を見出すのである。なぜ往年のスターが撮影所に戻ってきたのか?
さりげない謎が解き明かされるラスト・シーンはまさに時代や空間を超えて繋がる人間の引力を象徴する感動的なシーンである。ちなみにこの映画はジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズエピソード2』で使用し、話題となった「ソニーHDカム1080/24p」で全編が撮影された世界で最初の劇場用映画となった。また、出資はテジタル映画の配給・製作を手がける韓国の製作会社「デジタルネガ」と100%外国資本の日本映画でもある。日本映画への新たな希望を託したこの作品が画期的なチャレンジを通して日本映画産業の活性化に一石を投じることになったのは、決して偶然ではないだろう。

ストーリー


1965年。皇太子(現在の天皇)のご成婚、東京オリンピックにより加速したテレビという新しいメディアの台頭が、日本映画界に暗い影を落とし始めた頃のことである。とある映画撮影所のスタジオでは『愛の果て』撮影の合間に主演のスター女優・吉野恵子の引退の記者会見が行われていた。スターの地位の移ろいやすさを懸念した恵子は結婚・引退という道を選んだのだ。スタジオでは、共演のスター俳優三原健が、ひとり憤慨を隠しきれず、荒れていた。コンビを組んできた恵子の引退により、三原は次作の主演を若手にさらわれたのだ。スタッフに当たり散らし、控え室に戻った三原を待っていたのは妻の千鶴の姿だった。酒でうっぷんを晴らす三原を優しく諭す妻にも三原はつらく当たり追い返すのだった。その直後、スタジオに千鶴の訃報が届く・・・。
 2000年。同じスタジオ。現在はテレビ・ディレクターが人気テレビ番組の映画化『ドクター鮫島 THE MOVIE』を撮影中である。映画の現場に不慣れな監督に違和感を感じながらもスタッフたちはなんとか撮影を続けている。小道具のアシスタントとして撮影現場をかけまわるミオも夢を抱いて映画界に入ったものの、不条理な現実を目の当たりにして意欲を喪失気味だ。そんなとき、ひとりの老人が急に降板した病床にある男の代役として小さな役を演じるためにやってくる。それはかつてのスター三原健の変わり果てた姿だった。妻千鶴の死後、三原は酒に溺れ、仕事を失い、いつの間にか映画界からも、世間からも忘れられた存在となっていた。なぜ今再び、三原は撮影所に現れたのか。スター時代の三原を知らないミオは、この不思議な老人の存在に、次第に心を動かされていく・・・・・・。

スタッフ

監督:中田秀夫
プロデューサー・原案:一瀬隆重
脚本:中村義洋、鈴木謙一
製作:DIGITAL NEGA
製作協力:JAGO ENTERTAINMENT
製作プロダクション:オズ
提供:日活、なみおかシネマテーク、秀作工房、オズ
配給:オズ+オムロピクチャーズ

キャスト

西島秀俊
若村麻由美
麻生祐未
麻生久美子
ジョニー吉長
生瀬勝久
小日向文世
小橋賢児
野波麻帆
坂田聡(ジョビジョバ)
竹中直人(特別出演)
笹野高史
大杉漣
水川あさみ
宮崎景子
星野有香
柳ユーレイ
渡辺一志
小林隆
諏訪太朗
山本亘
坂本長利
根岸季衣

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す