原題:NADIE CONOCE NADIE

謎を解くたび事件が起こる。セビリアに仕掛けられた巨大ゲームの罠。 誰が?何のために…?

第13回東京国際映画祭コンペティション出品作品 1999年ゴヤ賞(スペイン・アカデミー賞)最優秀特殊効果賞受賞

1999年/スペイン映画/カラー/スコープサイズ/ドルビーデジタル/スペイン語/108分/ 字幕:林完治/スペイン語監修:今井佐知子/ 後援:スペイン大使館 配給:ポニーキャニオン 配給協力:シネカノン 宣伝協力:トライエム・ビクチャーズ

2001年6月30日より銀座シネ・ラセットにてロードショー公開

公開初日 2001/06/30

配給会社名 0068

公開日メモ 謎を解くたび事件が起こる。セビリアに仕掛けられた巨大ゲームの罠。 誰が?何のために…?

解説


《新星エドゥアルド・ノリエガがと個性派ジョルディ・モリャの初競演》
事件に巻き込まれるクロスワード・パズル作家シモンには、スペイン女性の母性本能をくすぐり現在本国でNo.1の人気を誇るエドゥアルド・ノリエガ。正統派二枚目のルックスに似合わず、幅広い役柄にチャレンジしており、猟奇趣味のあるオタク役や、自分の美貌に執着する男、どもりのある屈折した青年などを演じたかと思えば、コメディ映画に出演し、三枚目役を軽やかに演じるなど意欲的である。テレビ出演は断固拒否し、映画1本に絞っているあたりも頼もしく、21世紀を担っていく映画俳優としてスペインでの評価は高まっている。
一方、シモンの同居人”カエル”を演じるジョルディ・モリャもゴヤ賞(スペインのアカデミー賞)の主演男優賞にノミネートされるなど演技派俳優として活躍中である。「(モリャは)カットごとに違う演技でくるので、こちらがどう受ければよいのか予測できない」(エドゥアルド・ノリエガ)と言われるほど、演技の幅が広い。
性格的には正反対の二人で、常にリラックスしているノリエガに対し、キャラクター同化型のモリャは現場ではピリピリした雰囲気を漂わせていたという。

《スペインから登場した期待の映像集団》
ルイス・ブニュエル、ビクトル・エリセ、カルロス・サウラ、ペドロ・アルモドバルと、数こそ少ないものの個性派の監督を輩出してきたスペイン映画界が、90年代に入り続々と新感覚の若手監督を生み出した。また、日本でも今年はスペイン年と名づけたくなるほど、これまでになく種々様々なタイプの作品が公開される。
中でも最注目なのが、『テシス・次に私が殺される』(95)で彗星のごとく登場したマテオ・ヒル、アレハンドロ・アメナーバル、エドゥアルド・ノリエガの3人組。『テシス』では演出をアメナーバル、彼とマテオが共同脚本、ノリエガが主演という組み合わせで、この形態は2作目『オープン・ユア・アイズ』(97)でも継承されている。
彼らの登場はペドロ・アルモドバル登場以来の、スペイン映画界において衝撃的な事件であった。弱冠22歳という若さ、そして若さに溺れない着眼点の素晴らしさ、計算され尽くした繊密なストーリー展開、斬新な映像手法、ノリエガの新鮮な演技と全ての面において絶賛され、それまでアルモドバルが持っていたスペインの歴代興行収益No.1を新人にしてあっさりと『テシス』で抜き、輝かしい記録を打ち立てたのである。

《ハリウッドも注目する才能》
2作目の『オープン・ユア・アイズ』(97)においては、公開されるや否やトム・クルーズがリメイク権を獲得し、既に彼のプロデュース及び主演(原題『Vanilla sky』)で製作されている。またオリジナルと同じ役でペネロペ・クルスが出演しているのも話題のひとつ。
日本でも第11回東京国際映画祭で見事グランプリを獲得したことは記憶に新しい。
さらにアメナーバルは同じくトム・クルーズ製作でニコール・キッドマン主演の『The Others』を監督し、ハリウッド・デビューを果す。(2002年日本公開予定)
そして本作『パズル』も、すでにハリウッドの目利き達の間で評判になり、リメイク権争奪中である。

《セビリア最大の祭り、聖週間を見事に映像化!》
本作は聖週間に沸くセビリアの街も見所のひとつ。4月に行われるキリスト教最大の行事で、復活祭などを祝う聖週間は、イタリアと並ぶカトリック教国スペインにとっては、大事なお祭りである。特にセビリアは有名であり、各地から観光客が押し寄せる。その聖週間が舞台になっている上、宗教的にも大事なフェスティバルを妨害するという設定はショッキングであり、原作の出版時から大いに話題を呼んだ。撮影にあたりマテオ監督は「あの熱気をスクリーンに再現できるのか」と相当悩んだと伝えられているが、結果は素晴らしい出来栄えとなった。

《セビリアの名所が随所に登場》
劇中、重要なキーポイントとなる《ヒラルダの塔》(97.4m)は、セビリアのランドマーク。市外を見渡せる展望台の高さは地上70mだが、12世紀に造られたにも関わらず、ひとつも階段がないのが不思議である。
また、セビリア市内で最も高い建造物である《アラミリョ橋》や、ドン・ファンのモデルになった貴族が、貧しい人々のために建立した神の救済病院内にある《神の救済教会》、そしてその教会の隣に位置する《マエストランサ闘牛場》、’92セビリア万博会場などなど。セビリアの名所がストーリーの要所要所で巧妙に使われている。

ストーリー



聖週間に沸くセビリア。小説家志望の青年シモン(エドゥアルド・ノリエガ)は、新聞のクロスワードパズルの作成で生計を立てている。いきつけのバールで働く恋人アリ(パス・ベガ)や、両親を亡くし、気ままな生活を送る英語教師の同居人”カエル”(ジョルディ・モリャ)、チェス仲間のアンドレス神父など人間関係には恵まれてはいるものの、刺激に乏しい毎日を送っていた。1本の電話がかかってくるまでは……。
2日後に掲載されるクロスワードパズルに、ある言葉—ADVERASARIO(敵対者)—を入れろ、という半ば脅迫めいたものである。薄気味悪く思いながらも、”カエル”に「ただのイタズラだ」とそそのかされ、指示通りの言葉を入れてしまう。しかし、その言葉に符号するかのような事件が教会で起こり、死者が出る。
単なる偶然か?それともこの言葉は事件を引き起こす暗号だったのか?
情報を入手しようと新聞社を訪れたシモンは、事件を追っている記者、マリアから「最近、セビリアで起きている連続殺人事件と関わりがあるのでは」と聞かされる。興味を引かれたシモンは、連続殺人の写真を撮影しているカメラマンに会いに行くというマリアに同行する。部屋中に貼られた残酷な死体写真に圧倒されるものの、次第に魅入られていく。その時、1枚の写真がシモンの目に飛び込んできた。まさか!なぜ?あまりの衝撃に部屋を飛び出すシモン。なぜあれが被害者の体につけられていたのか……。
シモンの中でうっすらと疑惑が芽生え始める。そして「創世記」と題された父親殺しを告白した小説と、古文書館の管理番号を発見する。マリアと共に古文書館を訪れたシモンは、カエルを悪魔として唯一崇めた悪魔教団の挿絵を目にする。
やはり、”カエル”が今回の事件の黒幕だったのか。彼のパソコンに現れるアイコンと同様のマークがついた死体、机の中から発見した父親殺しを告白した小説、悪魔として崇められるカエルの古書。全ては”カエル”への疑惑を指していた。しかし、あまりにも揃い過ぎている……。
友人を疑うことに罪悪感を感じたシモンは、アンドレス神父の元へ赴く。しかし、そこにあったのは、神に抱かれるかのように横たわる神父の死体。
「何が起きている!説明しろ!」
半狂乱のまま自宅に戻り、シモンは”カエル”に掴みかかる。しかし突然のことに事態を飲み込めず、「誤解だ。いったいどういうことなんだ!」という”カエル”の叫びで正気を取り戻すシモン。これまでの経緯を話すシモンに「親友だと思っていたのに。残念だよ。」と眩ぐ”カ
エル”。
彼への疑惑は薄れたものの、誰かがこの張り巡らされたパズルのような謎の中へ自分を導いている。いったい誰が?何のために?
そして、聖金曜日を2日後に控え、熱気が絶好調に達したセビリアの街に第3の事件が起こり、多数の死者が出る。同時刻、パソコン上に突如、現れたロールプレイングゲームの中で、一連の事件を阻止すべきプレイヤーとして設定されていたのは他ならぬシモンであった。
もうこのゲームから降りることはできない。倒すべき相手がわからぬまま、孤独な戦いに踏み込んでいく。悪夢のような最後の罠がシモンに仕掛けられようとしていた……。

スタッフ

製作:エンリケ・ロペス・ラビー二ュ
監督・脚本:マテオ・ヒル
撮影:ハビエル・サルモネス
音楽:アレハンドロ・アメナーバル
美術:トニ・ガリンド
特殊効果:ダイクリ・デジタル・ピクチャーズ
原作:ファン・ボニリャ

キャスト

シモン:エドゥアルド・ノリエガ
"カエル:"ジョルディ・モリャ
マリア:ナタリア・ベルベケ
アリ:バス・ベガ

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す