原題:Divorcing Jack

これぞエンターテイメントの勇気!今までなかった、北アイルランド流ハードボイルド・ワンダーランド。

'98英国インディペンデント映画賞【最優秀男優賞】ノミネート(デヴィッド・シューリス) '98サンセバスチャン映画祭【新人監督賞】ノミネート '99ファンタスポルト映画祭【批評家賞】&【最優秀脚本賞】受賞 'OOケルティック・フィルム・フェスト2000上映作品(映画祭題:「バイバイ、ジャック」)

1998年/イギリス/(北アイルランド)/110分/カラー/35㎜/ヴィスタサイズ/ドルビーデジタル/日本語字幕:松岡葉子 提供:アットエンタテインメント 配給:アットエンタテインメント

2001年11月2日DVD発売/2001年11月2日ビデオ発売&レンタル開始 2001年6月16日よりシブヤ・シネマ・ソサエティにて公開

公開初日 2001/06/16

配給会社名 0104

公開日メモ 北アイルランド製作の映画として初めて、国際市場で商業的成功をおさめたと同時に、この特別なエリアの政治状況を題材にした、初めての抱腹絶倒クライム・サスペンスである。シリアスなテーマのハズなのに悲惨な状況を笑い飛ばす、こんなにおかしい北アイルランド映画は、今までなかった。全篇これ字幕にしにくいジョークと、ダブルミーニング満載の秀逸な脚本だが、何といっても注意したいのは、作品のタイトルだ。「ジャック」という言葉から、ひらひらはためくあるものが想起されることだろう。

解説


北アイルランドの微妙な政治状況を背景に、アナーキーなユーモアで疾走するコリン・ベイトマンの同名ベストセラー小説を原作に、作者自らが脚色している。風刺と皮肉のスパイスをどっさり利かせた台詞の応酬、いずれもパワフルな登場人物たちの造形は、作者ベイトマンの本領である(東京創元社より、翻訳本が今夏、出版予定/詳細未定)。
また、意表をつくハイペースな展開の中で、多彩な人物を鮮やかに描いた俊英D・キャフリーの手腕も見事で、クラシック映画ファンなら必ずニヤリとする、ニクい演出も用意されている。また、BGMには近年再評価されているUKパンクバンド「ザ・クラッシュ」の”BANKROBBER”、”white riot”と、”shouId l stay or shouId I go”が効果的に使われている。
本作は、北アイルランド製作の映画として初めて、国際市場で商業的成功をおさめたと同時に、この特別なエリアの政治状況を題材にした、初めての抱腹絶倒クライム・サスペンスである。シリアスなテーマのハズなのに悲惨な状況を笑い飛ばす、こんなにおかしい北アイルランド映画は、今までなかった。全篇これ字幕にしにくいジョークと、ダブルミーニング満載の秀逸な脚本だが、何といっても注意したいのは、作品のタイトルだ。「ジャック」という言葉から、ひらひらはためくあるものが想起されることだろう。
ちなみに本作が完成したのは1998年春。現実には、99年11月にスタートした北アイルランド自治政府の初首相に、議会最大野党(UUP)党首デヴィッド・トリンブルが、98年7月の段階で選ばれている。しかし、自治政府の機能凍結や解除など、状況は二転三転し、現在はIRAの武装解除が最大の焦点となっている——。
看護婦役のレイチェル・グリフィスや、殺しても死にそうにない様なマフィア役のジェイソン・アイザックス等、芝居功者揃いのキャスティングも、この作品の大きな魅カだが、主人公のコラムニスト、ダン・スターキー役を演じるデヴィッド・シューリスのハマリ具合は、尋常ではない。ファンにとっては、彼の魅カが最大限に活かされた快作であり、間違いなく代表作となる1本である。
「2件の殺人容疑でIRAとアルスター義勇軍と警察と英国軍に追われ、妻は行方不明で、コメディアンを殴って足を撃たれた」主人公。置かれた状況がヤバ過ぎて、その中で必死になっている姿が、かえって笑えてしまう。このダメ男、どうしようもなく格好悪いのが、最高にダサカッコ良い!
しっかり者の女たち、飲んだくれの男たち、でも、みんなどこかヌけてる北アイルランド流ハードボイルド・ワンダーランド。
さあ叫ぼう、みんなで眉にしわ寄せて、困った顔して、そして大きな声で
「ディボーシング・ジャ〜ック?!」

ストーリー



《警察・軍隊・IRA、さらにはマフィアも!逃げろスターキー、耳犯人を探したせ!キュートなダメ男がベルファストの街を残走する!》

ダン・スターキーは、北アイルランドの二流タブロイド紙「ベルファスト・イブニング・ニュース」にオフィスを間借りしている、飲んだくれで皮肉屋で、恐妻家のコラムニスト。頭は切れるが、いわゆる世の一流水準からはハズれたダメ男。しっかり者のパトリシアと結婚しているが、子供はおらず、オヤジと呼ぶにはまだ早い”セミ・オヤジ”だ。パーティでの大騒ぎと酒が大好きで、「セックス・ピストルズ」の大ファンでもある。
時はおりしも、北アイルランド初の首相選挙の真っ最中。今日もまた、首相候補ブリンをからかったクソ記事を書いて、編集長に雷を落とされた。特ダネのあてもなく、公園で飲んだくれていたその日、よせばいいのに、たまたま知り合った若くてカワイイ美大生のマーガレットに手を出してしまい、妻から追い出される始末。泊まる所もなくなり、彼女の部屋に転がり込めば、さっきまでの僅かな理性はどこへやら、たらまち疼く下半身。欲望の赴くまま一戦交えて腹が減り、そんな時はやっぱり”フィッシュ&チップス”!とばかりに雨の中へ飛び出して、やっと買って帰って来ると、なんとマーガレットは血まみれ!!何者かにメッタ刺しにされていた。彼女のダイイング・メッセージは、「ディボーシング(離婚する)…ジャックぅぅぅ…」離婚するジャック?ジャックって誰?離婚するって——、誰と!?
意味不明な言葉を残して息絶えた、一夜の不倫相手。気がつけば服に血糊がべったり…。その直後、階段で物音が。勇敢にもスターキーは暗闇の人影に飛び掛ったのだが、あれっ?誰?このおばさん。しかも打ち所が悪かったらしく、死んでいるではないか!状況から見て、言い逃れ出来そうにない。とにかくジャックって奴を捜し出せ!
かくして不良中年ダメ男スターキーの、真犯人探しが始まった。ボストンから来た政治記者パーカーのカを借りて、自分の無実を証明しようとするのだが、今度は妻のパトリシアが何者かに誘拐されてしまう。二つの事件の容疑者として警察・軍隊はおろか、なぜかIRAやアルスター義勇軍、果てはマフィアからも追われるハメに。
とんでもない事件に巻き込まれたスターキー。この裏には、何か巨大な陰謀がうごめいている。追っ手をかわしながら捜査を進めるうちに、死んだマーガレットが以前、ジャックと言う名のスタンダップ・コメディアンと付き合っていたことが判明。さらに元カレのIRAくずれ、パット・キーガンも怪しい。だが、事件を解く重要な鍵は、実はマーガレットからもらった、あるプレゼントにあったのだ——。
家族・親友・ゆきずりの”銃を携帯する尼さん(?)”まで、あらゆる第三者を巻き込みまくり、ベルファストを、ぜいぜい言いながら走るスターキーの活躍は、いかに?!
この実体験をもとにすれば、彼はベルファストはおろか、英国全土をも揺るがす特ダネをものにすることになる。ただし、生きて帰れたらのばなしだが…。

スタッフ

監督:デヴィッド・キャフリー
原作/脚本:コリン・ベイトマン
撮影監督:ジェイムズ・ウィランド
編集:ニック・ムーア
音楽:エイドリアン・ジョンストン
製作:ロバート・クーパー
共同製作:フランク・マニオン

キャスト

ダン・スターキー:デヴィッド・シューリス
リー・クーパー:レイチェル・グリフィス
"カウ"パット・キーガン:ジェイソン・アイザックス
マーガレット:ローラ・フレイザー
パーカー:リチャード・ガント
パトリシア:レイン・メーガウ
マイケル・ブリン:ロバート・リンゼイ
タクシー・ドライバー:ブロナー・ギャラガー

LINK

□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す