原題:H-STORY

HIROSHIMA−そこはいつしか  新たな愛の生まれた場所になった。誰も気づかないうちに・・・。 ベアトリス、彼女さえ・・・。

第24回ぴあフィルムフェスティバル上映 第54回カンヌ国際映画祭・ある視点部門出品

2003年8月2日よりテアトル新宿にてレイトショー公開

2001年/日本/カラー/111分/35ミリ 配給:東京テアトル

公開初日 2002/07/04

公開終了日 2002/07/04

配給会社名 0049

解説



すべてはHIROSHIMAから始まった・・・。
広島 − 自身の故郷であるその場所で撮影に臨む監督、諏訪敦彦。『2/Duo』と前作『M/OTHER』で脚本なしの即興演技での創作という新しい形としての映画を浸透させ、話題を呼んだ。
自身の故郷としての“広島”と被爆地としての“ヒロシマ”。あたりまえに過ごした日常があったその地で彼はメガホンを握った。戦争当時と、そしてテキストが生まれた当時と共有できるものが少なくなってしまった今、彼はHIROSHIMAに何を求めたのであろう。
彼はこう語る。広島を表現する以上、そしてこれから新しいものを生み出していく以上、ただ避けて通れない道だった。そこには特別な意味など必要なかった。

今までにこんな映画があっただろうか。
一台のキャメラが撮影現場のすべてを見つめる—触れられずただ見つめるだけ。その視線の先にあるものはいつでもそう、“彼女”だった。5人のコラボレーションと創作
今回は本番とメイキングを1台のカメラに収めるという、前代未聞の試みがなされている。“ダル”“町田”“諏訪”“シャンプチエ”“馬野”という5人によって姿を現したのであり、どれ一つが欠けてもこの作品は創られなかったであろう。互いが反発するわけでもなく融合するわけでもないコラボレーション。これは一つの斬新な芸術を生み出した。
女優としてのベアトリス・ダル、そして一人の女性としてのベアトリス・ダル。これはフィクションなのか、ドキュメンタリーなのか。すべてを掬い取る視線の中にそれはただただ収められていく・・・。
名画のような美しい陰影のニュアンス、その中で彼女は、そしてHIROSHIMAはどう映るのだろうか。
撮影に『ゴダールの決別』のキャロリーヌ・シャンプチエ。『二十四時間の情事』でエマニュエル・リヴァが演じたヒロイン“彼女”に『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』『ガーゴイル』のベアトリス・ダル、岡田英二演じた“彼”に馬野裕朗。そして俳優として作家として異彩を放つ町田康。カンヌ国際映画祭をはじめ高い評価を受けた本作品。待望の公開! 

ストーリー


もう消せないのだ。出会ってしまったから・・・。
できるのは、ただ見つめること。
『二十四時間の情事』のリメイクとしてスタートした『H story』。
名のない日本の男とフランスの女。彼らはヒロシマで出会った。
「私はヒロシマですべてを見たわ」「いや君は見ていないよ」
被爆地であるヒロシマ、そして自分の過去への無関心と忘却を恐れる女。そんな女をただ見つめ続ける男。彼らは互いをヒロシマ、ヌベールと呼び、そして愛しあった。
40年前に書かれた、マルグリット・デュラスの「ヒロシマ・モナムール」。この古いテキスト通りに演技することに違和感を覚えるベアトリス・ダル。超えられない時間という大きな壁。苛立ち。躊躇。「なぜ今リメイクなのか」。この問いに「避けて通れなかったんだ」とだけ答える監督。スランプに陥ったダルとの対話を繰り返しながら、彼も同じく模索し続けていた。あるわけもない答えを・・・。
そして迎えた撮影の中断。それでもカメラの視線の中に彼女はいた・・・。
撮影が半ばに差し掛かったころ、撮影現場を訪れた町田康の出現で流れは思わぬ方向へ進んでいった。ベアトリス・ダルと町田康。通じない言葉を交わす彼ら。スランプに陥ったダルを見つめる町田と受け入れるベアトリス・ダル。彼にだけ心を放った瞬間がそこにはあった。ダルが一人の女になったその時でさえ、彼女はまだその視線の中にいた。まるで遠くからずっと愛撫し続けているかのように・・・。
HIROSHIMA−そこはいつしか、新たな愛の生まれた場所になった。誰も気づかないうちに・・・。ベアトリス、彼女さえ・・・。

スタッフ

監督:諏訪敦彦
プロデューサー:仙頭武則
撮影監督:キャロリーヌ・シャンプチエ 
照明:和田雄二
録音:菊池信之
美術:林千奈
音楽:鈴木治行
編集:諏訪敦彦、大重裕二
制作:サンセントシネマワークス  
製作:電通、IMAGICA、WOWOW、東京テアトル
配給:東京テアトル

キャスト

町田康
ベアトリス・ダル
馬野裕朗

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