2017年/日本

2017年12月2日(土) 新宿ケイズシネマほか全国順次公開

解説

『宮崎駿の<世界>』『怪獣使いと少年~ウルトラマンの作家たち』『お前がセカイを殺したいなら』などの著作を持ち、批評・エッセイ・ノンフィクションの書き手として活動してきた切通理作の初監督作品。
タイトルは、切通が尊敬してやまない映画監督ツァイ・ミンリャンの『青春神話』からインスパイアされたもの。出会ったら即セックス!とばかり、<やり残した青春>に復讐する二十代後半の男女を中心に、愛に不器用な壮年世代、<手も握らない純愛>に目覚める中年世代のドラマが、神話的に交錯。夜の学校を現代の<竜宮城>に見立てて、「映画でしか取り返せない時間」が描かれる。
主演のコンビには、ウェット&メッシーというアート表現の活動も話題の新世代女優・深琴と、塚本晋也監督の『野火』等で印象的な助演を見せ、内田伸輝監督作品『ぼくらの亡命』で初主演した須森隆文。また女性でありジェンダーレスを追求する黒木歩が撮影監督となり、性愛のフェッティッシュな身体感を極限までさらけ出します。

<監督・切通理作のコメント>
僕は青春映画を見てると、無意識に学生の時の自分に戻っています。「こんな学校に通ってみたいなあ」とか。だけど映画館の場内が明るくなると、白髪混じりの自分が居て、狐につままれたような気分で席を立つしかない。そんな浦島太郎のような体験を、映画にしてみたいという気持ちが、いつからか沸き上がってきました。
自分が映画というものを通して知った、楽しいこと、面白いこと、現実に果たせなかったこと……を一晩に集約した、現代のおとぎ話を目指しました。
 時間表現である映画の中で、時の移ろいとともに人が変化していくのを見つめようと<舞台を絞り込んだ上で遊ぶ>と決め、全国から探してロケハンした6カ所でひとつの学校を表現。徹夜に近い日もありながら、撮影を敢行しました。
そこに主人公として、20代半ばになっても成長しきれない、ぼんくら女子とこじらせ男子を放り込みました。「青(性)春のやり直し」をベースにしつつ、フェチ心をそこはかとなくちりばめた映画です。キネマ旬報で「ピンク映画時評」を22年連載している僕が、自分なりに<エロい映画>のありかたを問いかけた一つの結果を、かたちにしたものでもあります。自ら心を閉ざし、ここではないどこかを求めているさまよえる魂に、本当の居場所はここだよと問いかける、まさに映画でしかできない魔法。
 そして魔法が解かれた後は、ほんの少し、生きていくことに顔を向けられる。そんな映画にしたく思いました。

ストーリー

青井深琴と野島喬は同じ高校の卒業生だが、4歳違うため、一緒に居た時期はない。いまは20代の会社員となった彼らはひょんなことから出会って意気投合、男女の仲も意識して、一晩を過ごすことになる。

だが喬はラブホテルではなく、通っていた校舎に深琴をいざなう。深琴は次第に、喬が<青春のやり直し>をしたがっていると思うようになる。自身も、学校時代で良い思い出のなかった深琴は、喬とともに、誰も居ない学校を治外法権に「復讐」の夜にしようと盛り上がる。

だが母校はその晩ずっと無人ではなかった。「呑みすぎちゃったかな」と学校に戻ってきた当直の女教師・山崎を、裏門で待ち受ける影。

いまこの学校は、大人になってしまった者の、一晩だけのAmazing Placeと化そうとしていた。

スタッフ

監督・脚本:切通理作 製作:シネ☆マみれ 制作総指揮:友松直之 撮影監督:黒木歩 撮影・照明:田宮健彦 美術:貝原クリス亮 録音:鬼脚音二郎 名田仙夫 音楽:KARAふる MA:石川二郎 編集:西村絵美 切通理作 スペシャル編集:長田直樹 制作・助監督:高野平 衣装・監督助手:菊嶌稔章 撮影/照明助手:高嶋正人 ホームレスメイク:松井理子 結髪:切通香奈子 ダンス指導:衣緒菜 現場応援:KOH 白石雅彦 スチール:SHIN メイキング・予告編:北島直樹 パンフレット:今井敦 題字デザイン:うとまる 文芸協力:大木萠 制作協力 アウトサイド

キャスト

深琴
須森隆文
飯島大介
安部智凛
川瀬陽太
佐野和宏
松井理子 
友松直之

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https://youtu.be/kW-VsCzjDPM
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