原題:我適父親母親 THE ROAD HOME

チャン・ツィイーのデビュー作! 巨匠チャン・イーモウが描く壮大で清冽な感動ラブ・ストーリー

☆ベルリン映画祭2000プレミア上映::http://www.berlinale.de/

2000年2月15日ベルリン映画祭プレミア

2000年/米中合作/カラー/シネマスコープ/全5巻/2448m/上映時間1時間29分/SRD.SR /字幕翻訳:太田直子・水野衛子 原題「我的父親母親」<私の父親母親>、 英題"The Road Home"〈故郷への道〉/原作:講談社 配給:ソニーピクチャーズエンターティンメント

中国映画の全貌 2007にて上映::http://www.ks-cinema.com/schedule.html 2004年12月22日よりDVD発売開始 2001年8月10日DVD発売&レンタル開始 2001年8月10日ビデオ発売&レンタル開始 2001年2月23日〜3月9日より渋谷東急Bunkamuraル・シネマにて再ロードショー公開 2000年12月2日より渋谷東急Bunkamuraル・シネマにてロードショー公開

公開初日 2000/12/02

配給会社名 0042

公開日メモ 移ろいゆく四季と広大な大地を舞台に、親子2代にわたる壮大な愛の物語が一本の道を通して語られ、恋愛ドラマ。

解説



文字を知らない少女は、料理で恋い焦がれる気持ちを愛する人に伝えようとした。青年教師は教壇からの声で彼女の想いに応えた……。
「あの子を探して」で見る者の心をピュアな感動で包み込んだ中国の巨匠チャン・イーモウ(張芸謀)監督が、同じく教育の現場を背景にしながらも雰囲気をがらりと変え、詩的で清冽なラブ・ストーリーを贈り届けてくれた。

舞台は、中国北部に位置する小さな村。都会で働くビジネスマン、ルオ・ユーシェンは、父の訃報を聞いてこの村に戻って来た。年老いた母は、今はほとんど見られなくなった古くからのしきたりにのっとった葬儀をすると言い張って周りの人々を困らせている。石のように頑固な母の様子を見ながら、ユーシェンは村の語りぐさになっている父と母の恋物語を思い出していた。
都会からやってきた若い教師と、彼に恋して何とかその想いを伝えようとする18歳の少女。手作りの料理に込めた少女の恋心は、やがて彼のもとへと届くのだが……。
町へと続く一本道で、来る日も来る日も愛する人を待ち続ける少女。雄大な中国の大地を舞台に、移ろいゆく美しい四季の風景の中で、親子二代にわたる壮大な愛の物語が語られてゆく。一途で、胸が詰まるような少女の純情。彼女が愛する人を追って一生懸命走る姿を見るだけで、いつの間にか目に涙があふれてくる。不思議に懐かしい思いに心が満たされていく。

チャン・イーモウは監督テビュ一作「紅いコーリャン」でいきなりベルリン映画祭の金熊賞を受賞した。その後「秋菊の物語」と「あの子を探して」で、2度にわたってヴェネチア映画祭の金獅子賞を獲得。「菊豆」と「紅夢」で米アカデミー外国語映画賞にノミネートされ、「To Livc(未公開)」ではカンヌ映画祭の映画批評家連盟賞に輝いた。世界の3大映画祭を制し、映画界の頂点に立つたイーモウは、またもや本作で2000年のベルリン映画祭銀熊賞を受賞するという快挙を成し遂げた。
一本の道を通して語られる父母の清冽な初恋の物語。父の誠実さの証としてここに集い、同じ道を野辺へと送るために進む人々の葬列。そのあまりにエモーショナルで素直な感動に、ベルリン映画祭は号泣した。
「紅いコーリャン」でコン・リーを見出したチャン・イーモウは、今回、新星チャン・ツィイーを主役に抜擢した。弾けるような笑顔がチャーミングな彼女は、その存在全体で映画を輝かせ、生き生きと躍動させる。本作への出演をきっかけに、チョウ・ユンファ、ミシェル・ヨー主演、ヨーヨー・マの音楽でアン・リーが監督したアクション大作「クラウチング・タイガー(11月日本公開予定)」に起用され、堂々ユンファと渡り合うヒロインを演じて話題になった。また、『ELLE HONG KONG』の表紙も飾るなど、早くも”第二のコン・リー”として世界の注目を集めている。

ストーリー



モノクロームで映し出された田舎の雪道を走るランドローバー。都会でビジネスマンとして働いているルオ・ユーシェン(スン・ホンレイ)は、村長から父の急死の連絡を受け、数年ぶりに故郷、三合屯(サンヘチュン)へと帰って来る。長年、村で教師をしていた父は、新校舎建設のために心臓病をおして金策に走り回り、吹雪の中で命つきたのだった。悲嘆に暮れる母は、古ぼけた校舎の前で一人佇んでいた。
母(チャオ・ユエリン)は、古いしきたり通りに葬式をあげたいと思っていた。町の病院から遺体を担いで村まで運び、棺にかける布も自分で織ると言って譲らない。若い者はみな町に行き、村には老人と子供しかいないし、担ぎ手を雇うには金が要る。いくら村長らが車で運ぼうと勧めても、頑固な母は聞こうとしない。ユーシェンは、母が布を織る音を聞き、部屋に飾られた父母の新婚当時の写真を手に取りながら、昔聞いた二人のなれそめを思い出していた。それは、村の語りぐさになった恋の物語である。
画面が鮮やかなカラーに変わり、村への一本道を馬車がやって来る。乗っているのは町から教師として赴任してきた20歳のルオ・チャンユー(チェン・ハオ)。18歳のチャオ・ディ(チャン・ツィイー)はたちまち恋に落ち。
村をあげて校舎の建設が始まった。梁に巻く布を織るのは、村で一番美しい娘ディの仕事になった。そして、その日以来デイは遠くの井戸に通うようになった。そばに学校があったからだ。
建設に携わる村人たちの食事は女たちが用意する。しきたりで建築現場に近寄れない女たちは、テーブルに弁当を置いて遠くから眺めるだけ。チャンユーに首ったけのディは、心を込めて作った弁当を彼に食べてもらおうと置き場所を工夫する。彼女は言葉に代わって料理が恋心を伝えてくれると信じていた。

やがて校舎が完成し、教室から先生の声が聞こえてきた。ディは文盲だつたが、チャンユーの授業の声を耳にすると幸せな気分になった。それは彼女の生活の一部になり、40年間も続いた。先生が家の遠い子を送り届けると聞けば、通り道で待ち伏せして彼の姿を追った。来る日も来る日も、子供たちと歩く先生を遠くから見やった。
ある日、道で目を合わせた二人は初めて会釈した。はにかみ、嬉しさに舞い上がって籠を置き忘れるディ。籠を拾って渡してやり、生徒たちに彼女の名を聞くチャンユー。ディの努カは実を結び、二人の問には恋心が通じ合った。デイは相変わらず校舎の外で先生の声を聞き、彼もデイに会うために井戸へ水を汲みに来た。ディはそんなチャンユーを食事に誘った。
翌日、家の前で出迎えるデイの姿は、チャンユーには一幅の画のように映った。ディはいつも建設現場へ運んだ”青花の椀”に、思いのたけを込めて料理を盛りつける。そして、次は餃子を食べに来るように勧める。しかし、夫の死を嘆き悲しんだ余り盲目になったという母は、身分の違うチャンユーとの恋を諦めるように娘を諭す。

チャンユーが餃子を食べに来る日、学校に一人の男が訪れた。チャンユーは何か”過ち”を犯して、町に呼び戻されたのらしい。ディに別れを告げに来て、冬休みの前までには帰って来ると約束するチャンユー。そして彼は、ディの赤い服に似合う髪飾りをプレゼントする。チャンユーが男とともに去ったと聞いたディは、一口でも餃子を食べてほしいと、青花の椀を抱えて走り出した。草原を横切り、林をぬって、必死に馬車を追いかけるディ。

しかし、丘の中腹で転倒し、割れた椀から餃子がこぼれ落ちる。しかも、髪飾りもなくなっている。鳴咽するディ。
彼女は何日も何日も、朝から晩まで、髪飾りを探して走り回った。ある日、家の庭に落ちているのを見つけたが、彼女の顔は暗く沈んだままだった。母は「使った人が娘の心を持っていってしまったから」と、割れた青花の椀を職人に修理してもらう。
やがて冬がやって来た。ふと授業の声が聞こえたような気がして、学校まで走るディ。

しかし、そこに彼の姿はない。剥き出しのままの梁に巻いた赤い布を見つめるディ。チャンユーは布を見て彼女を思い出すために天井を張らせなかったのだ。ディは教室の障子を張り替え、きれいな切り絵を貼った。そうしてチャンユーが帰って来るのをひたすら待った。その様子を見て、村長はディの気持ちに気づいた。瞬く間に二人の恋愛は村人の知るところとなった。
チャンユーが帰って来ると言った12月8日。ディは雪の降りしきる道に立って馬本を待った。しかし、彼は現れない。熱に浮かされながら、母が止めるのも聞かずに町へ向かって歩き始めるディ。道で倒れているのを発見され、家に運ばれてきた娘が不欄で、母は一日だけでもいいから会いに来てくれと、チャンユーへの伝言をたのむのだった。

スタッフ

美術:ツァオ・ジュウピン
サウンド:ウー・ラーラー
編集:チャイ・ルー
音楽:サン・パオ
撮影:ホウ・ヨン
製作総指揮:チャン・ウェイピン
製作:チャオ・ユイ
脚本:パオ・シー
監督:チャンイーモウ

キャスト

チャン・ツィイー
スン・ホンレイ
チャオ・ユエリン
チェン・ハオ

LINK

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