原題:花様年華 In the Mood for Love

愛は、もうはじまっている

2000年カンヌ映画祭 最優秀男優賞(トニー・レオン) 高等技術院賞(クリストファードイル、リー・ピンビン、ウィリアム・チャン)

2000年/香港/1時間38分/ドルビーSR/カラー/ヨーロピアンヴィスタ/日本語字幕:岡田壮平/ 提供:松竹、衛星劇場、レントラックジャパン、博報堂 配給:松竹→アスミック・エース(2013年)

2013年08月07日よりDVDリリース 2013年7月20日よりシネマート六本木、シネマート心斎橋にてロードショー 2005年04月27日よりスペシャル・エディション版DVDリリース 2001年12月21日DVD発売&レンタル開始 2001年11月21日ビデオ発売&レンタル開始 2001年3月31日よりBunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマにてロードショー

公開初日 2001/03/31

配給会社名 0003

公開日メモ 世界中が待ち望んだウォン・カーウァイの新作。2000年カンヌ国際映画祭に出品され、彼の新たな方向性を示した演出によって熱い興奮をもって迎えられた注目の作品である。

解説


世界中が待ち望んだウォン・カーウァイの新作。2000年カンヌ国際映画祭に出品され、彼の新たな方向性を示した演出によって熱い興奮をもって迎えられた注目の作品である。
これまではセンシュアルで奔放な映像感性が評価されることの多かったカーウァイが、この作品では明確な計算のもとにむしろ内省的で、文学的ともいえる世界を構築している。何気ない台詞に込められた深い人間洞察。大胆なスタイルの語り口。主人公ふたりに徹底して寄ったミニマムな設定を課し、男と女の内奥に分け入る。
そこに漂う人の憐れ、情の強さとともに、1960年代前半という、もはや帰り来ぬ記憶としての時代に対する憧撮が惨み出る。初めてカーウァイが素直に想いを吐露した脚本と、その演出力の素晴らしさに酔わされる。
スタイリッシュだが、映像はこれまでのように動き回ることも過剰なところもない。むしろ静かに対象をみつめている。撮影は、カーウァイの盟友、クリストファー・ドイルと、『童年往事/時の流れ』や『恋恋風塵』などホウ・シャオシェン作品で知られるリー・ピンビンのみごとなコラボレーション。スクリーンにはまごうことなき本物の感情がみなぎる。切なさ、苦悩、怒り、とまどい、愛。匂いたつような情感が映像に溢れている。
最小限度の意匠で時代の空気を再現してみせた美術はウィリアム・チャン、マン・リンチャン、アルフレッド・ヤウ。カーウァイ作品すべてに参加しているチョンは衣装と編集も引き受けている。
音楽は国際的な作曲家、ヴァイオリニストとして知られるマイケル・ガラッソ。『恋する惑星』でガラッソの曲が使われたことから今回の起用となった。加えて、カーウァイはナット・キング・コールの名唱を効果的に挿入するのを始め、既成のナンバーを巧みに織り込み、映像をさらに補強している。

<紫煙とチャイナドレスの息を呑む美しさ。>
キャスティングがまた絶妙である。『欲望の翼』以来、『恋する惑星』、『楽園の暇』、『ブエノスアイレス』と4本のカーウァイ作品に出演し、カーウァイの想いの代弁者として画面から魅力を発散するトニー・レオンが、ここでは内省的なおとなの男を演じきる。感情を押さえながら、ふとした煙草を喫う仕草に垣間見せるあたりでも、その存在感と円熟した演技力が心に残る。カンヌ国際映画祭主演男優賞に輝いたのもうなづけるところだ。
対するのは『欲望の翼』、『楽園の暇』に出演し、スタンリー・クワンの『ロアン・リンユイ 阮玲玉』やピーター・チャンの『ラヴソング』で情感溢れる演技を披露したマギー・チャン。節度と慎みをもちながら、沸き上がる感情に抗しきれない心の揺らぎを、しっとりとみせてくれる。
なによりもほっそりとした肢体をチャイナドレスに包み、色香を漂わせる。その姿の美しさには溜め息が出るばかりである。
共演は、香港映画界1960年代の名優ライ・チン。歌手として伝説的な存在であるレベッカ・パン。そして、表情が’60年代的であるという理由で小道具係から抜擢されたスー・ピンラン。
カーウァイ世界はここで新たな頂点に到達した。人間を描ききる21世紀の匠としての確かな手応えがこの作品にはある。

ストーリー













1962年、香港。新聞社の編集者であるチャウ(トニー・レオン)と、商社で秘書として働くチャン(マギー・チャン)は、アパートの隣人として出会う。
互いの妻と夫が不倫していることを知った二人は、次第に時間を共有するようになり、知らぬ間に自分たちも恋に落ちてしまう。
家庭を持つ貞淑な男と女は戸惑いつつも、心が揺れ動いていく———。
この運命の皮肉ともいえる出会いにより、チャウとチャンの美しく切ない、大人の愛のドラマがはじまる。

スタッフ

製作:ブロック2ピクチャーズ、パラディ・フィルム
制作:ジェット・トーン・プロダクション
製作・監督・脚本:ウォン・カーウァイ(王家衛)
製作総指揮:チャン・イーチェン(陳以)
共同プロデューサー:ジャッキー・パン(彭綺華)
撮影:クリストファー・ドイル(杜可風)、リー・ピンビン(李屏賓)
美術:ウィリアム・チャン(張叔平)、マン・リンチャン(文念中)、アルフレッド・ヤウ(邱偉明)
編集・衣裳:ウィリアム・チャン(張叔平)
音楽:マイケル・ガラッソ(MICHEAL GALASSO)

キャスト

トニー・レオン(梁朝偉):ミスター・チャウ
マギー・チャン(張曼玉):ミセス・チャン
ライ・チン(雷震):ミスター・ホー
レベッカ・パン(藩迫華):ミセス・スーエン

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