原題:Shabondama elegy

1999年ロッテルダム映画祭で全回ソールドアウト!賛否両論の嵐を呼んだ禁断のラブストーリー!! アムステルダム=東京、国境もジャンルも全て越えたコラボレーションによる全く新しい映像の誕生!

1999年9月9日ニュージーランド公開

1999年/日本・オランダ/35mm/カラー/86分/ 配給:スタンスカンパニー

2004年1月31日よりアップリンクファクトリーにてロードショー

公開初日 2004/01/31

配給会社名 0038

公開日メモ 護送中に逃亡した男、ジャックとポルノ女優、ケイコの愛と激情の七日間を捉えた,ニュー・デジタル・シネマの最高傑作。

解説

限りない自由とテクノ・ミュージックに踊るアムステルダム・クラブ・シーンをデジタルカメラの目まぐるしい映像で劇的に描き切った「アムステルダム・ウェイステッド!」がヨーローッパで大ヒットし、日本でもロングランを記録した注目の映像作家イアン・ケルコフ。
彼が日本のキャスト、スタッフとの共同作業によって東京を舞台に作り上げた最新作が今秋公開される「シャボン玉エレジー」(Shabondama elegy)だ。

この作品は1999年2月3日ロッテルダム国際映画祭でワールドプレミア上映され、デジタル・フィルムの可能性を追求したその斬新な映像と極限の愛を捉えた衝撃的な内容で全上映回がソールドアウトという大反響を巻き起こした。また、新聞の映画評では賛否両論が飛び交い、ベルリン映画祭のマーケット上映でも世界各国から大きな注目を集めることとなった。

トリシア・ウォーデンとジャック・ヘンリー・アボットの詩にインスパイアされて書き下ろされたケルコフによるオリジナル脚本をもとに、設定を日本に置き換えて語られるのは、精神的なトラウマを抱える一人の若いポルノ女優ケイコと組織から追われ、彼女のもとに匿われている一人の男ジャックの激しい愛と裏切りと傷ついた心の癒しの物語り。狭いアパートの部屋を主な舞台として展開される激しい愛と心の葛藤。濃密な空間の中で交錯するヨーロッパと日本の文化。そして生み出されてゆく新しい関係性…。
短くも激しいその日々のポートレイトの中に、二人の秘密と嘘そして過去がインサートされ、パズルのように組み立てられた物語りが、二人の心の闇を照らし出してゆく。

主役の二人は10日間の撮影中、広尾のロケセットに実際に生活し、2台のデジタルカメラが彼らの演技と生活をドキュメントし続けた。その画期的な方法によってドキュメンタリーともフィクションともつかない微妙なニュアンスが映画全体に漂い、シナリオを越えた未知のドラマがそこから産み落とされた。この方法論は主役のジャックを演じるオランダの人気俳優トム・ホフマンのアイデアによるものだったが、この経験は長い俳優歴を誇り、オランダのあらゆる映画賞を受けているトムにとっても全く未知の領域に踏み込むものだった。一方、この作品で映画デビューを飾った星乃舞は、自分の全てを曝け出す体当たりの演技で、ベテラン俳優に負けない存在感を発揮し、海外の映画祭でも大きな反響を呼んでいる。

デジタル・カメラによる映画作りのあらゆる方法論をラジカルに展開してみせるこの作品は、今、ヨーロッパで最も注目を浴びている映画ムーブメント“デジタル・ニュー・シネマ”の最先端として、公開されるやいなや大きな注目を集めています国境を軽々と越えて生み出されたこの映画は、新しい映画の可能性を指し示す刺激に満ちた作品となっています。

ストーリー

男と女が関係を始める最善の方法はどん底から始めることである。
逃亡者と労働者の娘なら最高のスタートを切れる。
何故なら彼らには失うものは何もないからだ。

ジャックは自分の刑期を軽くしてもらう代わりに自分の仲間を売った男。
証人として出廷する途中、彼は自分の首に賞金が懸けられ、仲間に消されるかもしれないことを知る。彼は1週間以内に殺されようとしていた。ジャックはその場から逃亡し、彼の前妻の妹であり、妻に隠れて密会をしていたケイコのもとに逃げ込む。ジャックは30代後半、ケイコは20才でポルノ女優として出発したばかりだった。ケイコはジャックを匿う。ケイコには父親にレイプされた過去があった。
ジャックはその性的なトラウマから彼女を救い出すために危険な治療を請け負う。
その刺激的で啓発的なジャックの行為は激しさを増し、彼は次第にケイコの父親の記憶と重なって行く…。

ケイコのアパートを立ち去ることの出来ないジャック。仕事のために外出するケイコ。彼女の行動がジャックをますます刺激してゆく。
ジャックのかつての妻レイコがやってきて、ケイコにジャックの行方を尋ねるがケイコは知らないフリをするのだった。

ケイコはを頼ってヤクザのボスに会いに行き、ジャックを売り渡すことを約束する。
ボスの提示した金額は100万円だった。
それは、未来を持たないジャックと未来を得ようとするケイコの間の哀しい取り引きだった。
しかし、彼女はジャックとの最後の日々を過ごすため、あと三日彼を殺すことを待ってくれるようにボスに懇願する。ボスは彼女の申し出に同意する。そして、ケイコはボスの理不尽な要求に答える。しかし、ヤクザが簡単に約束をはずもなかった。ボディガードとヒットマンがジャックのもとに送り込まれる。
家に戻ったケイコが見たものは…。
全ては遅すぎた…。

 この映画のほとんどは7日間という限られた時間とケイコのアパートという限られた空間の中で演じられる激しい愛の描写とそこから生まれるカタルシスの描写である。そこにお互いの記憶、嘘、イメージが時間的な順番を無視して挿入され、二人の心理的な背景と精神的な繋がりを詩的に浮き彫りにしてゆく。また、その描写は閉じられた空間にサスペンスと広がりを与えてゆく。

デジタル・カメラの映像はその空間を詩的な世界に変容する。

スタッフ

監督・脚本:イアン・ケルコフ
プロデューサー:鈴木章浩(スタンス・カンパニー)、針生夏樹(KUKI)
撮影:辻 友彦
音楽:大友良英
エグゼクティブ・プロデューサー:中川徳章
制作・配給:スタンス・カンパニー

キャスト

ジャック:トム・ホフマン
ケイコ:星乃 舞(新人)
レイコ:伊藤清美
ヤクザのボス:田中要次
精神科医:松本幸三
ヒットマン:宮崎光倫
ボディガード:ヒロシ
キタノ:北野雄二
ケイコの父:山崎友之
ケイコ(子供時代):設楽希実

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