原題:new year's day

僕たちが大人になれない、12の理由

2001年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭コンペ部門出品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/yubari/

2000年/イギリス映画/ 配給:アーティストフィルム、東京テアトル

2001年6月30日よりシネスィッチ銀座ロードショー

公開初日 2001/06/30

配給会社名 0023

公開日メモ 『ニュー・イヤーズ・デイ約束の日』は、死と直面せざるをえなかった二人の少年の、心の軌跡を繊細につづった感動作だ。少年たちは自分たちの命の期限を1年と定め、"B00K OF LIFE"(「命の書」)に記した「12の約束」を遂行することを誓い合う。

解説


17歳という時代を、最も輝きに満ちた年だと言う人がいる。でもこの時代は、同時に最も複雑で、最も苦悩に満ちた時代でもあるのだ。子供じゃない、でも大人にもなりきれない。周りの大人にわかってもらえず、揺れる季節……。とくに、抱え込むものの大きい男の子にとっては、社会の中での自分の位置を見失いかねない、微妙な時期。
イギリス南部に住む二人の少年、ジェイクとステイーヴンは、まさにこの季節のただ中にいた。そして皮肉な運命のいたずらが、ただでさえ複雑なこの季節に、想像もできないほどの苦悩を与える。悲劇は、いきなりやってきた。クラスの仲間と最高の思い出を作っていたスキー旅行の最中、雪崩が発生。生存者は、ジェイクとステイーヴンだけだったのだ。彼らは1瞬にして、すべてを失ってしまう。かけがえのない仲間たちに、想いを伝えたばかりのガールフレンド。心に抱いていた未来への希望、生きる意味さえも……。

『ニュー・イヤーズ・デイ約束の日』は、死と直面せざるをえなかった二人の少年の、心の軌跡を繊細につづった感動作だ。少年たちは自分たちの命の期限を1年と定め、”B00K OF LIFE”(「命の書」)に記した「12の約束」を遂行することを誓い合う。やがて彼らは約束=友人たちの果たせなかった夢を通して、本当に大切なものを見つけてゆく。家族の愛、自然の美しさ、ちょっとした名誉、思いやりの心、命の重み、そして「未来」へと続く「約束」を。

絶えず押し寄せてくる悲しみと闘い、友情と孤独を噛みしめながら、人生の価値を見いだしていく少年たちの世界。不安と混乱の中でけなげに運命と立ち向かい、未来を選び取っていく彼らの姿は、かつて17歳だったすべての人の心に訴えかけてくる。あのころ感じたもどかしさや切なさ、「希望」の持つ力。ナイフのように鋭敏で、ガラスのように繊細だった時代がリアルに甦り、心を熱く満たしてくれるはずだ。この映画の魅力は、ひたむきで純真な少年たちを演じた俳優抜きには語れないだろう。21世紀のイギリス映画界を背負う若手として、ブレイク必至の二人である。まず、人1倍やさしいジェイクを演じるのは、アンドリュー・リー・ポッツ。何本かのテレビや舞台に出演し、,本作で映画デビューを果たした新星だ。その真っ直ぐな瞳、小動物のようなかわいらしさで、女性たちの母性本能をくすぐること間違いなし。彼の演技を見て感情移入しない人はいない、と思わせるほどの逸材なのだ。1方、クールなニヒリストの仮面の下に傷つきやすさを秘めたステイーヴン役は、1500人の中からオーディションで選ばれたボビー・バリー。学生演劇の経験はあるものの、本格的な演技はこれが初めて。アイス9というバンドを組んでおり、本作のサントラではミュージシャンとしても参加。現在はロンドン大学に在籍しながら、映画の脚本を執筆中というから、将来が楽しみ。彼のいかにも英国少年といった粋なファッションの着くずし方も、話題を呼びそうだ。
監督にあたったのは、イギリス育ちのインド人監督クリシュナーマ。数本のテレビ映画や短編を監督した後、『A Man of Importance』で長編デビュー。本作が長編第2作となる俊英だ。最近、若い世代のイギリス映画というと、『トレインスポッティング』に代表されるようなオフビートなものが注目を浴びているが、本作はひと味違う。音楽や映像の勢いに頼らず、脚本と演技の深さを生かし、静かな感動を呼び覚ます手腕が高く評価されているのだ。サントラではレナード・コーエンからニナ・シモン、ポール・ウェラーなど、ヴァラエティ豊かなサウンドを、効果的に使いこなしている。
脚本を書いたのは、『スター・ウォーズ:エピソード1』などに出演した(引き続き『エピソード2』にも出演の予定)俳優のラルフ・ブラウン。自らの経験を本に脚本を仕上げた彼は、本作にはスキー旅行を引率する教師の役で出演も果たした。
また、カウンセラーのべロニカ役に『秘密と嘘』でオスカー候補となったマリアンヌ・ジャン・バプティスト、ステイーヴンの母親役に『ベスト・フレンズ』のジャクリーン・ビセットと、脇役陣にも豪華な顔ぶれがそろっている。

ストーリー

僕はジェイク。母さんと幼い妹、弟と4人でイギリス南部に暮らしている。親友のステイーヴンは金持ちのお坊ちゃんで、ニヒリストでちょっとワル。僕とは正反対だけど、すごく気が合うんだ。16歳のクリスマスを、僕はステイーヴンや仲のいいクラス仲間と過ごせるんでゴキゲンだった。フランスヘ、スキー旅行さ。バスの中から大はしゃぎでビデオを回し、スキー場でもテンションは最高潮。僕は思いきって、密かに恋していたルアンダに想いを告げた。そしてファースト・キス。みんな最高の笑顔で、16歳の”今”を満喫してた。

まさに、そんな時だった。突然、そのすべてを奪い去る出来事が起こったのは。凄まじい雪崩(なだれ)が、僕らを襲ったんだ…。

気がついたのは、冷たい雪の中だった。近くに埋まっていたステイーヴンを掘り起こし、必死で叫んだのを覚えている。次に目覚めたときは、病院の中。僕の大切な友人たちが、変わり果てた姿で横たわっていた。なぜだ!?1体どうしたっていうんだ…!生き残ったのは、僕とステイーヴンだけだった。僕はステイーヴンと固く抱き合い、心の底から、泣いた。

大晦日にはみんなの葬儀が行われ、僕は弔辞を読んだ。「明日から新年です」と、僕は言った。「新しい希望、新しい夢を…」。でも、そんな気にはとうてい、なれなかった。カウンセラーのべロニカはいい人だけど、心を開く気にもなれない。

翌日の「ニュー・イヤーズ・デイ」、僕とステイーヴンは岬の記念碑で落ち合った。僕はどうしていいか、わからなかった。”死”を殺したかった。死にたかった。僕たちは、なんだって生きてるんだ!?

僕が死ぬ気で崖から飛び降りようとすると、ステイーヴンが言った。
「生きろ。オレたちには死ぬ前にやることがある。お前が計画に加わったら、1緒に死んでやる」。彼の計画は、こうだ。彼が”B00K OF LIFE”に書き込んだ12の約束をやり遂げる。未来を書き換えてから、1緒に飛び降りる。期限はきっかり1年、来年のニュー・イヤーズ・デイだ。約束の意味は分からなかったけど、ステイーヴンの気迫に何かを感じて僕は同意し、血の誓いをたてた。12の約束のいくつかは、こんな感じだ。

1.全国紙の新聞の1面にデカデカと載る
2.学校を燃やす
5.車を大破させる
8.警官を殴る
9.ティンブクトゥでアイスクリームを食べる
10.タバコをやめる
12.理解を示し、嘘をつかず、友だちを大切にする

僕たちは、次々とこの課題をクリアしていった。ムチャなこともやった。学校放火やヘロインではステイーヴンの裏切りが腹にこたえたけど、彼は「信頼しろ」という。僕はこの仕事にいつしか楽しみを見いだしつつ、疑問に揺れていた。ステイーヴンは、どういうつもりなんだ。
時々、逝ってしまった友だちの顔が浮かんでは、寄せる波のように悲しみがやってくる。そんなとき、母さんが自殺未遂で倒れてしまった。弟や妹は、僕が守らなきゃいけないんだ。

クリスマスの日、僕はルアンダの家族を訪ねた。そして、ルアンダの家族もまた、愛する人を失った悲しみに苦しんでいて、僕にとてもやさしくしてくれた。少しだけ生きる勇気が湧いてきた。僕にはまだ、死ぬ準備が出来ていない。…ステイーヴンを死なせたくない。

ついに「ニュー・イヤーズ・デイ」がやってきた。その日、ステイーヴンは「12の約束」の本当の理由を教えてくれた。強烈に殴られたような衝撃が僕を貫く。その秘密は、スキーに行ったあの日に撮っていたビデオに隠されていたんだ。
1年間も僕に事実を隠し、騙してきたステイーヴンが許せなかった。幸せなまま死んでいった友人たちがうらやましかった。僕らにはあれから、苦痛ばかりじゃないか!
僕らは”死”との闘いに負けたのか?
崖から飛び降りるべきなのか、生きるべきか……。
そして僕らは、ついに選び取ったんだ、ひとつの”未来”を…!

スタッフ

監督:スリ・クリシュナーマ
脚本・出演:ラルフ・ブラウン

キャスト

ジェイク:アンドリュー・リー・ポッツ
スティーブン:ボビー・バリー

ジャクリーン・ビセット

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