原題:Lost and Delirious

すべてを超えた強い愛と情熱の物語

2001年/カナダ/100min/ドルビーSRD 提供:ニューセレクト/配給:アルバトロスフイルム

2002年11月08日よりビデオ発売&レンタル開始 2002年11月08日よりDVDセル&レンタル開始 2002年4月27日よりシネスイッチ銀座にて公開

公開初日 2002/04/27

配給会社名 0012

公開日メモ カナダ・トロントで実際に起きた事件を元に描き、思春期特有の強い感情のほとばしりを大胆かつ繊細に描いた衝撃の話題作。ポーリーには『コヨーテ・アグリー』のパイパー・ペラーボ、マウス役には『キャメロットガーデンの少女』『シックス・センス』のミーシャ・パートンと次世代を担う若手女優達の共演が物語に一層の彩りを加えている。

解説


2001年サンダンス映画祭での本作の上映後、会場は深い衝撃と共感につつまれ、女優たちが舞台上に現れると割れんばかりの拍手が沸きおこった。カナダの人気作家スーザン・スワンの小説“The Wives of Bath”を映画化した本作は、思春期特有の強い感情のほとばしりを、大胆かつ繊細に描いたラブストーリーである。
ポーリーとトリー、そしてメアリーこと“マウス”という三人の十代の女の子たちをめぐっての、“友情や、忠誠心によって育まれる、性より強い愛”というテーマは、寄宿舎という閉じられた舞台によっていっそう際立つ。官能的であると同時に暴力的な争いをとおして少女は、愛するということの意味を、また愛を定義することがいかに困難かを知る。
校長役のベテラン女優、ジャッキー・バロウズは的確にこう言い表す。「この映画は、女の子たちの間に生まれる奇妙な忠誠心と、それが引き起こすもの、思春期特有の情熱や理想、そして何もかもが強烈で意味をもつ、あの独特な時期を描いた作品です」
監督レア・ブールの名は、日本では耳慣れないかもしれないが、海外の映画界ではオリジナリティあふれる作家性において突出した存在と認められている。映画祭での受賞は枚挙に暇がなく、近年は6本目の長編作品“Emporte-moi”がベルリン国際映画祭、トロント国際映画祭ほか多くの映画祭に出品され高い評価を得た。ボーリー役のペラ一ボは、「“Emporte-moi”を観たとき、やられたと思いました。もしレアと仕事をする機会が訪れたら、それがどこであっても行かなければと心に決めました」と言っている。キャリアは短いながら、話題作『コヨーテ・アグリー』(00)などで確かな演技力を見せたペラーボは、念願の本作を“愛の限界を超えようとする映画”と捉え、情熱的で複雑なポーリーという女の子を見事に演じた。「彼女たちはおたがいの半身みたいな存在だから、ボーリーにとってトリーを奪われるとは、まるで大地が消えて無くなるようなこと。トリーは恋人だという以上に、ホーリーを世界と繋いでいるものでもあるんです」
トリー役のパレによれば、「性別に関係なく、その人をその人として愛するということを描いた映画」ということになるのだが、ポーリーの激しい愛にさらされたとき、理性に屈するというかたちで逃げることしかできない誰もが持ち得る弱さを、パレは丹念に演じている。そしてこの映画の語り部でもあり二人を見守る内気な少女マウスを演じたのはミーシャ・パートン。『キャメロット・ガーデンの少女』(97)や『シックス・センス』(99)、『ノッティングヒルの恋人』(99)などで絶賛されたことは記憶に新しい。ボーリーとトリーのあいだで立ち尽くすしかないマウスのせつなさを、怯えたような大きな瞳で表現し心に迫る。
「女の子たちの年齢がかなり若いということで物議をかもすかもしれませんが、ストーリー自体は誰にでも通じるものです」と言うパレ。三人の女の子たちはまるで違う性格ではあるが、一人の少女のなかにひそむ多様な感情と考えることもできるかもしれない。その三者三様を、彼女たちが実に印象深く演じたことは、サンダンス映画祭での熱狂的な歓声が証明している。監督は、比較的経験の少ない女優たちが見せた才能に感嘆し、彼女たちにいくつかのボイントと、彼女たちが冒険できる幅を示すだけでよかったと言っている。そして女優たちは、深い信頼のなかで自由に本能を発揮し見事なアンサンブルを奏でた。

ストーリー


まだ肌寒さの残る季節、メアリーこと“マウス”は最愛の父と別れて女子寄宿学校に編入する日を迎える。3年前に母親を亡くした彼女は、父の再婚相手とうまくいかず、晴れない気持ちを抱えて新しい場所へ向かうことを決めた。
マウスはトリーとポーリーという二人の女の子と同室になる。美しく、育ちがよさそうで、人気者のトリー。束縛を嫌い反抗的な態度を隠さない、アウトサイダー的なポーリー。対照的な二人ではあったが、彼女達は深く信頼しあい、とても仲がいい。小柄でやせっぽちでまだ幼さを漂わせているマウスに比べ、彼女達の態度は自信にあふれ大人びていて、マウスは緊張を隠しきれない。心優しい学校の庭師ジョーには、ガーデニングを習いながら悩みを聞いてもらっている。
マウスは少しずつ学校にも慣れ、日を追うごとに彼女達ともうちとけてゆく。ポーリーは複雑な家庭環境にあり実母と養母を恨んでいて、それが彼女に暗い影を落としていること、トリーは裕福な家庭に育ちながらも干渉的な母親が疎ましく、けれど家族の期待を裏切ることには踏み込めないでいること…、それぞれが抱えている思いを理解し、いつしか三人には親密な空気が生まれていった。
ある日寄宿舎に近い森でジョギングをしていた三人は傷つき飛べずにいるハヤブサを見つける。引き留める二人をよそに、ポーリーは自分が面倒をみると言って連れ帰る。孤高の猛禽に自分の何かを託すかのように、ハヤブサの世話にのめりこむポーリー。ある朝マウスが目を覚ますと、ポーリーとトリーが裸で同じベッドにいた。ポーリーは悪い夢にうなされていたトリーをなぐさめていたと言うが、マウスには二人が愛しあっていることがわかっていた。彼女は二人の関係を自然に受け入れる。
三人の親密な関係はつづき平和な時間が過ぎていたある日、トリーの妹とその同級生がベッドの二人を見てしまう。激しく動揺したトリーは、両親に知られることを恐れ、あからさまにポーリーを避けるようになる。そしてレズビアンという烙印を払拭するかのように、兄の友人ジェイクとつきあいはじめる。一度は永遠の愛を誓いあった二人の関係が音をたてて崩れる。絶望の底に落ちてゆくポーリー。思いつめ衝動的な行動にはしる彼女を、マウスは黙って見守るしかなかった。
ついにポーリーはジェイクに決闘を申し入れ、ハヤブサとフェンシングの剣をたずさえてマウスとともに森へ向かう。待ちかまえていたジェイクとの長い闘い。ついに彼女は、ジェイクの足に剣を突き立てる。甲高い鳴き声をあげて飛び立つハヤブサ。彼女はその場を立ち去り傷ついた者たちが取り残された。助けを求め学校に駆け付けたマウスが見たのは、ハヤブサを肩にのせ、校舎の屋上に立つポーリーの姿だった……。

スタッフ

製作:ロレーヌー・リシャール、ルイ・フィリップ・ロション、グレツグ・デュメット
監督:レア・プール
脚本:ジュデイス・トンプソン
撮影:ピエール・ギル
衣装:アリーヌ・ギルモア
編集:ゲタン・ユオ
音楽:イヴ・シャンベルラン

キャスト

ボーリーン・オスター:パイパー・ベラーボ
ヴィクトリア・モラー:ジェシカ・パレ
メアリー・ブラッドフォード:ミーシャ・バートン
フェイ・ヴォーン:ジャッキー・バロウズ
ジョー・メンジーズ:グレアム・グリーン
エレノア・バネット:ミミ・クジック
ジェイク:ルーク・カービー
カー:キャロリーヌ・ダヴェルナス
コーディリア:エイミー・スチュワート
モーリー・ブラッドフォード:ノエル・パートン

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す