原題:Rembrandt

2000年セザール賞<美術賞>受賞

1999年8月9日フランス公開

1999年/フランス=ドイツ=オランダ合作/1時間43分/ドルビーSR 字幕翻訳:寺尾次郎/宣伝協力:巴里映画/ 協力:学校法人ヤマザキ学園、専門学校日本動物学院/ オニョン・ピクチャーズ/フランス2シネマ(フランス)共同製作 配給:アルシネテラン

2000年12月16日よりシャンテシネにて公開 2001年4月27日DVD発売/2001年4月27日ビデオ発売

ビデオ時に変わった場合の題名 レンブラント

公開初日 2000/12/16

公開終了日 2001/02/02

配給会社名 0013

公開日メモ ヨーロッパの中でもいち早く市民社会が成立し、東インド会社を中心としたアジアとの貿易によって巨万の富を蓄えた17世紀オランダ。その経済的繁栄は芸術の世界においても“黄金の時代”と呼ばれる栄華をもたらし、奇跡的にも多くの天才画家を輩出した。フェルメール、フランツ・ハルス、そして、その中でも、特に突出して光を放っていたのがレンブラントである。

解説

レンブラントがキャンバスに描いた、美しき永遠の女神(ミューズ)たち
 飾り縁のついたつば広の帽子をやや深めに被り、優雅に微笑むサスキア、ベッドの上で肌を露に艶やかな表情を見せるヘンドリッキエ、そして、ふくよかで優しさに満ちた眼差しをこちらに投げかけているヘルティエ。愛を捧げることによって、レンブラントにインスピレーションを与え続けた3人の女性たちは、今もキャンバスの上で、生き生きと変わらぬ美しさを湛えている。天分を与えられ、光と影を操った画家レンブラントは、実人生においては、自身が芸術であるがごとく、数奇な運命に翻弄されていく。本作品は、波乱万丈の人生を送ったレンブラントと彼に愛され、その愛に殉じた女性たちとの物語である。
 ヨーロッパの中でもいち早く市民社会が成立し、東インド会社を中心としたアジアとの貿易によって巨万の富を蓄えた17世紀オランダ。その経済的繁栄は芸術の世界においても“黄金の時代”と呼ばれる栄華をもたらし、奇跡的にも多くの天才画家を輩出した。フェルメール、フランツ・ハルス、そして、その中でも、特に突出して光を放っていたのがレンブラントである。
 世の人々が求める肖像画家としての絶頂期を経て、失寵、仲間の裏切り、破産、妻や息子の死…と、光から闇の世界へ転げ落ちるレンブラント。粗野で奔放、官能的、しかし一方で、優しく寛大でもある画家は、独特の魅力で多くの人を惹きつける一方で、敵も多く人々の誤解を招くことも多かった。そんな彼を公私にわたり支え、エネルギーを与え続けた3人の女性ー彼女たちはレンブラントの女神(ミューズ)であった…。

ゴッホやピカソも魅了する巨人レンブラント
 この“魂の画家”の偉業がオランダで再び評価されたのは、死後100年ほど経った18世紀のことであった。そして今日では、ゴッホやデューラー、ゴヤらをこえ、最も自画像の多い画家として君臨し、またラファエロやルーベンスと並ぶ宗教画家としても認められているレンブラントは、美術史上、最も重要な画家の一人として認知されている。そんなレンブラントを師と仰ぎ、模写を繰り返すなどしてオマージュを捧げている巨匠あるいは天才と呼ばれる画家たちの何と多いことか。18世紀から19世紀にかけて活躍したスペインの巨匠ゴヤ、19世紀フランス・ロマン派の旗手ドラクロワ、言わずと知れたゴッホ、ピカソ…と枚挙に暇がない。現代画家においても例外にもれず、いつの時代もレンブラントは人々を刺激し続けているのである。

絵画を彷彿とさせるセットと豪華なキャストによって蘇る17世紀芸術絵巻
 世界的に著名なその作品群とはうらはらに、闇に埋もれたままであったレンブラントの生涯。構想・準備に4年、制作費13億円を費やして、この画家の素顔と彼を取り巻く女性たちとの生活に光を与えたのが、自身画家であり、彫刻家であり、また映画監督でもあるシャルル・マトンである。彼は様々な文献やオランダ絵画などの資料を基に、レンブラントの絵画を彷彿とさせる17世紀のオランダの街並みや室内の装飾、人々の衣装を再現した。さらに、現代人の感覚に魅力的に映るよう人々の衣装や髪型をアレンジ、また劇中でレンブラントが描く人物は、キャストに顔を似せたオリジナルのカバーバージョンを制作。その独創的な視点が評価され見事2000年セザール賞の美術賞を受賞、衣装賞にもノミネートされた。
 キャストにはヨローッパを代表する俳優陣が集められた。レンブラント役にクラウス・マリア・ブランダウアー(メフィスト)、妻サスキア役にヨハンナ・テール・ステーへ(不滅の恋/ベートーヴェン)内縁の妻ヘンドリッキエ役にロマーヌ・ボーランジェ(太陽と月に背いて)後にレンブラントを追い詰めるトゥルプ博士にジャン・ロシュフォール(髪結いの亭主)友人ヤン・シックスにジャン=フィリップ・エコフェ(王妃マルゴ)、説教教師にリシャール・ボーランジェ(ディーバ)と
フランス映画ファンには見逃せない錚々たる顔ぶれである。

ストーリー

 オランダ第1の都市アムステルダム。運河を滑る船の中には、野望に胸を膨らませた25歳のレンブラント・ファン・レインの姿があった。美術商オイレンブルフと契約したため故郷レイデンからこの大都市に上京してきたのだ。見る物すべてが新鮮に映るこの街で、オイレンブルフ家に身を寄せながら、レンブラントの創作活動は始まった。

サスキア
 時代の寵児となり、アムステルダム中の名士から肖像画の依頼が舞い込むようになったある日、レンブラントはオイレンブルフから姪のサスキアを紹介される。彼女をモデルに絵筆を走らせるレンブラント。目の前のキャンバスには美しく聡明な女性が微笑んでいる。2人が愛し合うようになるのにさほど時間はかからなかった。レンブラントとサスキアは間もなく結婚、順調な仕事にも助けられ、至福の時が訪れる。美しい妻によってインスピレーションを与えられたレンブラントは、溢れる泉のように、彼女の姿をキャンバスに焼き付けていった。しかし子宝には恵まれず、長男ルンバルトゥスに続き、2人の娘コルネリアも生後まもなく亡くなると、夫婦は深い悲しみに襲われる。それでもついに息子ティトゥスが誕生。画家としての名声と妻子との幸せは続かなかった…。レンブラントにとってまさに公私共に黄金の時代を迎える。しかし幸福は長く続かなかった妻サスキアが結核のために30歳の若さで死去、レンブラントは心と芸術上の支えを失い、絶望の淵に沈んでいた。創造の女神を失ったレンブラントは、時代の好みからも見放され、次第に肖像画家としての地位とパトロンとを失っていく。

ヘルティエ
 サスキア亡き後、息子ティトゥスを母親代わりに育てていたのは乳母のヘルティエだった。レンブラントに信頼を寄せる彼女は、やがて画家の愛人として、献身的に全てを捧げるようになる。おだやかな日々が取り戻されたかのように見えた。しかし、家政婦のヘンドリッキエを雇い入れたことによりその均衡が崩れていく。レンブラントはヘンドリッキエを事実上第2の妻とし、ヘルティエとの関係を終わらせようとしたのだった。解雇されたヘルティエは、婚約不履行でレンブラントを訴えることとなる。

ヘンドリッキエ
 サスキアがティトゥスに残した財産の用益権が、レンブラントの再婚時には半分に減らされることから、ヘンドリッキエとは内縁の関係が続いていた。そんな中、ヘンドリッキエはレンブラントとの娘コルネリアを出産。世間からの風当たりは強くなる一方だったが、一家は手に手をとって団結し、レンブラントはヘンドリッキエの姿を追い求め、絵筆を握り続けた。しかし、そんなレンブラントをアムステルダムの名士たちは反逆者とみなすようになる。肖像画からの収入が途絶え借金を抱えるようになったレンブラントは、事実上破産に追い込まれる。それでも、レンブラントは古いキャンバスを引っ張り出し、ヘンドリッキエをモデルに絵を描き続ける…。

スタッフ

監督:シャルル・マトン
脚本:シルヴィ・マトン
台詞:シャルル・マトン
撮影:ピエール・デュプエ
音楽:ニコラ・マトン
編集:フランソワ・ジュディジエ
美術:フィリップ・シフレ
衣装:エーヴ=マリー・アルノー
録音:ベルナール・バ、パトリス・グリゾレ、ドミニク・エヌカン
芸術監修:シルヴィ・マトン
ヘアデザイン:サノー・ド・ペルペサック
メイク:ドミニク・コラダン
下絵・模写:イザベル・ブラン
美術:ゲンナロ・ロザート(オランダ)
製作総指揮:アニャ・グラフェール(ドイツ)
製作:アンベール・バルザン
共同製作:フィベケ・ヴィンデロフ、ペーテル・ファン・フォゲルポール、エリック・シュト
製作補:クリストファー・グラニエ=ドフェール
オニョン・ピクチャーズ/フランス2シネマ(フランス)共同製作

キャスト

レンブラント・ファン・レイン:クラウス・マリア・ブランダウアー
ヘンドリッキエ・ストッフェルス:ロマーヌ・ボーランジェ
ニコラス・トゥルプ:ジャン・ロシュフォール
サスキア・ファン・オイレンブルフ:ヨハンナ・テール・ステーヘ
ヤン・シックス:ジャン=フィリップ・エコフェ
ヘルティエ・ディルクス:カロリーネ・ファン・ホウテン
説教師:リシャール・ボーランジェ
ヘンドリク・ファン・オイレンブルフ:フランク・ド・ラ・ペルソンヌ
ヨースト・ヴァン・デン・フォンデル:ジャック・スピセール
マリア・ティッセルシャド:カロリーヌ・シオル
ホーフェルト・フリンク:フランソワ・ドライーヴ
アガタ:ベアトリス・アヴォワーヌ
ティトゥス・ファン・レイン:レオナール・マトン
ティトゥス(6、7才)/レンブラント(8才):ジュール・マトン
コルネリア・ファン・レイン:リュドヴィーヌ・サニエ
公証人:ジャン・オコトレル
カレル・ファブリティウス:エメリック・ドマリニー

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