原題:GODS AND MONSTERS

神は人間を生み、人間は怪物を産み落とした

アカデミー賞脚色賞、ゴールデン・グローブ賞最優秀助演女優賞ほか映画賞22部門受賞 ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2000出展作品::http://www.nifty.ne.jp/fanta/yubari/index.htm

1998年11月4日全米公開

1998年作品/アメリカ映画/カラー/106分/ドルビーステレオ 配給:ギャガGシネマ(担当:永田) 宣伝協力:@nifity映画フォーラム・Gods and Monsters日本公開推進委員会

2007年06月01日よりDVDリリース 2000年12月23日、銀座テアトルシネマで待望のレイトロードショー 2000年4月25日よりDVD発売 2000年2月25日スペシャルプレビュー開催 2000年2月25日ビデオレンタル&発売開始

公開初日 2000/12/23

公開終了日 2001/02/02

配給会社名 0025

公開日メモ 第71回アカデミー賞3部門を含む世界の映画賞全22部門受賞!16部門ノミネート!

解説


「フランケンシュタイン」「フランケンシュタインの花嫁」「透明人間」で知られ”ホラーの帝王”と称された英国出身の映画監督、ジェイムズ・ホエール。彼は隠居生活を送っていた1957年、ロスアンゼルスの自宅で謎の死を遂げた。その知られざる最後の日々を描いたクリストファー・ブラムの小説「Father of Frankenstein」を元にビル・コンドンが4年をかけて脚本を書きあげみずから映画化したのがアカデミー脚色賞受賞の本作である。
1930年代のハリウッドにあって同性愛者であることをまったく隠そうとしなかったホエールの生き方は、様々な醜聞、憶測を呼んだ。間接的にではあるが(ホエールの引退の原因はあくまでスタジオとの軋轢にある)、それによって彼はハリウッドから忘れられ、ひっそりと隠遁するような晩年を過ごしたのである。この物語は全くのフィクションだが、想像力豊かに、「ホエールだったらこう撮っただろうというやり方で」(コンドン)幻想的に、時に皮肉なユモアを交えて、老監督の生と死を描き出している。
ホエールを演じるのは、これは「一生ものの役」と言うサー・イアン・マッケラン。彼はこの演技で数々の主演男優賞を受賞、オスカーにもノミネートされた。元海兵隊員の庭師、クレイトン・ブーンにはブレンダン・フレイザー。どちらかというとコメディの軽い役が多かった彼は本作の繊細な演技で見事新境地を開拓し、役者としての評価を一気に上げた。ホエールの献身的かつ口やかましいメイド、ハンナにリン・レッドグレーヴ。ハンガリー訛りのぶっきらぼうな、それでいてひたむきでチャーミングな女性をコミカルに演じ、ゴールデングローブ賞を獲得した。
ミステリアスで繊細な音楽を手掛けたのは「ファーゴ」をはじめとするコーエン兄弟作品で知られるカーター・バーウェル。印象的な物悲しいワルツは「世界大戦で破壊されたヨーロッパの文化への葬送音楽のよう」(コンドン)に、繰り返し現れてはホエールを苛む。
この作品で軸となっているのはホエールの傑作「フランケンシュタインの花嫁」(’36)である。『神』たろうとする人間とその被造物である『怪物』。そのどちらもが、苦悩するホエールの姿とどこかだぶって見えてしまう。コンドンは「花嫁」のセットを忠実に再現した『夢』の場面、映画のシークエンスなどを利用して、作品世界とその創造者の人生とを巧みに織り合わせてみせた。
ハリウッドの内幕に関わる内容が敬遠されたためか、この映画の製作は困難を極めた。たった300万ドルの製作費で、3週間の撮影でできあがった、ハンデだらけのインディペンデント作品。3人の主要キャストでほとんどがホエールの自宅のセットで撮影された、実に「室内楽みたいな」(レッドグレーヴ)珠玉の映画なのである。であるからこそ、ハリウッド印の祭典、アカデミー賞において三部門ノミネート、部門受賞という評価は大変重要な意味を持つ。マッケランは言う、「ハリウッドの状態を知りたければ、彼等がオスカーを与えようとする作品をみればいい。(この作品が評価されたということは)ハリウッドも成長したということだね」。
ビル・コンドンはアカデミー賞受賞スピーチをこう締めくくった。「60年前、ハリウッドは彼(ホエール)に背を向けました。彼が自分の生き方を変えようとはしなかったからです。…だから、ミスター・ジミー、この賞はあなたのものです」

ストーリー

30年代に恐怖映画で一世を風摩した映画監督ジェイムズ・ホエールは、映画界から引退、LA郊外の自宅でひとり暮らしている。発作を起こし入院、退院してきたばかりである。映画プロデューサーで元恋人のデヴィッド・ルイス(「椿姫」「愛情の花咲く樹」で知られる)が見舞いに来ているが、ふたりの雰囲気はどことなくぎごちない。久々に趣味の絵を描こうとスタジオに向かうホエールは、新しく入った海兵隊あがりの庭師、クレイトン・ブーンに眼を留める。
ホエールはクレイトンに「絵のモデルにならないか」と持ちかける。ブーンは彼が有名な「フランケンシュタイン」の監督と知って、ホエールに興味を抱く。
発作以降、ホエールの記憶は混乱をきたしていた。旧い思い出がつぎつぎと目前に募るのだ—北イングランドでの貧乏な少年時代、フランドル戦線の塹壕での淡い恋の記憶そしてハリウッドでの黄金時代。
彼に仕えて15年になる住み込みメイドのハンナは、ホエールはその肉体の「罪」によって地獄に堕ちるといいつつも、彼の体を心配し、クレイトンの存在がホエールの害になるのではと気を揉んでいる。ハンナの口からホエールがホモセクシュアルであることを聞かされたクレイトンは彼と衝突するが、それでもしだいにふたりは打ち解けて行くのだった。
ある日、ホエールの元に、映画監督のジョージ・キューカーからパーティの招待状が届いた。隠れゲイであるキューカーとは折り合いが悪いホエールは、嫌々ながらクレイを伴って出かけた。そこで思いがけずボリス・カーロフら、彼の「モンスター」たちと再会するはめになる。過去の記憶が再び彼を襲い、ホエールは目眩を覚える。そんなおり急の嵐に見舞われ、ふたりはホエールの家に逃げ帰るが、ハンナは留守にしていた。まさにフランケンシュタイン誕生の夜のような、雷鳴の轟く夜が更けていく…。

スタッフ

監督/脚本:ビル・コンドン
原作:クリストファー・ブラム
製作:ポール・コリックマン、グレッグ・ファインバーグ、マーク・R・ハリス
製作総指揮:クライヴ・バーカー、スティーヴン・ジャーコウ、デヴィッド・フォレスト、ボー・ロジャース
撮影:スティーヴン・M・カッツ
編集:ヴァージニア・カッツ
キャスティング:ヴァロリー・マッサラス
衣装:ブルース・フィンレイソン
デザイン:リチャード・シャーマン
音楽:カーター・バーウェル

キャスト

ジェイムズ・ホエール:イアン・マッケラン
クレイトン・ブーン:ブレンダン・フレイザー
ハンナ:リン・レッドグレーヴ
ベティ:ロリータ・ダヴィドヴィッチ
ハリー:ケヴィン・J・オコナー
ディヴィッド・ルイス:デイヴィッド・デュークス
ホエール(少年時代):ブランドン・クレイラ
サラ・ホエール:パメラ・セーラム
ウィリアム・ホエール:マイケル・オハガン
エドマンド・ケイ:ジャック・プロートニク
デイジー:サラ・アン・モリス
ドワイト(クレイの友人):マーク・キーリー
ベイン医師:デイヴィッド・ミルバーン
エルサ・ランチェスタ一:ロザリンド・エアーズ
コリン・クライヴ:マット・マッケンジー
ジョージ・キューカー:マーティン・フェレロ
マーガレット王女:コーネリア・ヘイズ・オハーリー
ボリス・カーロフ(現在):ジャック・ベッツ
アーネスト・セシガー:アーサー・ディグナム
マイケル・ブーン:ジェシー・ジェイムズ

LINK

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http://www02.u-page.so-net.ne.jp/ka2/take-m/gandm.html
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