原題:The Adventures of Pluto Nash

2002年8月16日全米公開

2002年/アメリカ/カラー/35mm/95分/DTS / Dolby Digital / SDDS 配給:ワーナーブラザース

2004年12月03日よりDVD発売開始 2003年10月03日よりビデオレンタル開始 2003年10月03日よりDVD発売&レンタル開始 2003年5月17日より六本木他、全国ヴァージンシネマズにて独占公開

公開初日 2003/05/17

配給会社名 0085

公開日メモ 冥王星でナイトクラブを経営するSFコメディ

解説


画面を埋め尽くすCGイフェクトに、理詰めで完壁な未来考証、人間存在の意義へ肉薄する重厚なテーマ性……どうも最近のSF映画というのは、そんなハードなヴィジュアルと問題意識を持った作品ばかりになってしまった感がある。いや、それもまたSFならではの愉しみではあるんですけどね。かつてこのジャンルに横溢していたはずの茶目っ気とか突拍子もなさ、「そんなワケあるはずねえじゃん」と百も承知しながら大唾ついてみせる稚気たっぷりの遊びゴコロ、そんなものはどこへ行ってしまったんだろう。自由気ままに夢見る想偉/創造力……いわゆるセンス・オブ・ワンダーの喪失は、思いのほかSFの世界観そのものを狭<してしまっているように思えてならない。そんなご時世に「待った!」をかけるように、とんでもなくユニークでエキサイティング、でもなんだかレトロでゆる〜いムードがいっぱいという稀有な作品が登場した。押しも押されもせぬアメリカン・コメディ界の大スター、エディ・マーフィが、宇宙時代のアウトロー・ヒーローに扮するアクション・アドヴェンチャー・コメディ『プルート・ナッシュ』である。 2087年の月世界。何年も前にすべての天然資源が採り尽くされてしまったこのちっぽけな衛星は、21世紀の西部開拓時代といった様相を呈していた。そんなワイルドな世界のなかで、飛びぬけてホットでファンタスティックなクラブのオーナーこそプルート・ナッシュ。かつて星間密輸界のカリスマとして鳴らしたこともある彼だったが、月世界支配を目論む謎のカジノ王レックス・クレイターの誘いを突っぱねたため、執拗に命を狙われるハメに。しかし黙って嘆いているようなプルートではなかった。用心棒ロボットのブルーノと歌手志望のウェイトレス、ディーナを道づれに、ドーム都市リトル・アメリカから青い岩肌むき出しの月面峡谷、そして歓楽都市ルナ・ビーチヘと、想像を絶する冒険の旅を繰り広げていく!もちろんエディ・マーフィの映画だから笑いもたっぷり用意されてはいるものの、基本は西部劇やハードボイルド、そして1940〜50年代に隆盈を迎えたパルプ小説、B級SF映画の香りがいっぱい。それゆえエディの演技も、近作『ナッティ・プロフェッサー』シリーズや『ドクター・ドリトル』シリーズのような“ひたすら爆笑路線”とは一線を引くクールな魅カが大全開になっている。かつてエディをスターダムにのし上げた『48時間』('82)や『ビバリーヒルズ・コップ』('84)、あるいは自身の監督・主演作『ハーレム・ナイト』('89)で見せたような、半分シリアスなカッコ良さで久びさにキメてくれるのだ。やはりエディのワン・アンド・オンリーな魅力はそんなトコロにこそある!ファンにはコレがまず嬉しいところ。 由来を知らなくっても懐かしいちょっとテープなSF的ガジェットや、映画フリークをニヤリとさせる小ネタ、ひと癖もふた癖もあるキャスティングなど、オタク心を刺激する仕掛けが随所に施されていてニヤリとさせっぱなしの本作だが、なんと(見かけによらず)製作費1億ドルの超大作!確かに、リトル・アメリカの巨大セットなどを眺めているとそれもむべなるかな、なのではあるが、それにしてもマニアックな趣味の世界でこれほどの大金を使ってしまう大胆さ、気っぷの良さ(?)に拍手である。しかしながら今の世はせちがらい。内容が映画の設定同様に未来的すぎちゃった?のかどうかは別として、あのゴールデン・ラズベリー賞では、最悪作品賞、最悪主演男優賞、最悪監督賞、最悪脚本賞、最悪スクリーン・カップル賞(エディとロザリオ・ドーソン...じゃないよ)の堂々5部門にノミネート。......しかし、そんなウワサを鵜呑みにしてはいけません。少なくともエディ・マーフィ主演映画では、数あるヒット作をさしおいて、ここ数年で一番の面白さと断言する識者もきっと多いことだろう!監督は怪獣映画の大傑作『トレマーズ』('90)や古典的モンスター映画をリメイクした『マイティ・ジョー』('98)で、マニアの絶対支持を誇るロン・アンダーウッド。脚本はアメコミ・ヒーローたちを徹底的にパロディ化した『ミステリー・メン』('99)の作者として、知る人ぞ知るニール・カスバート。まさに木作は、モノの判った作者たちの手で作られるべくして作られた映画といえるのではないだろうか。

ストーリー



2080年。ここは月にあるドーム都市、リトル・アメリカ。さびれ果てたバーの片隅で、店主の場違いな歌謡ショウを渋い顔して聴いてる男.,….彼こそ、ムショから戻って一週間の密輸業者プルート・ナッシュ(エディ・マーフィ)だ。そろそろ足を洗おうかと本気で考えていたプルート、スター歌手を夢見ながら慣れぬ商売に四苦八苦してる店主トニー(ジェイ・モーア)の窮状を見て、この店を譲り受けようと即決してしまう。それから7年。トニーのバーはプルートの手で、リトル・アメリカ随一のホットなクラブ「クラブ・プルート」へと変貌を遂げていた。連夜、街じゅうのヒップな奴らや噂を聞いてやってきた地球からの観光客で大入満員。そんな時、クラブに現われた怪しげなふたり組。正体不明の月の頭役レックス・クレイターに遣わされたモーガン(ジョー・パントリアーノ)とケルプだ。有無を言わさぬ高圧的な態度でクラブを売れと迫るモーガンに、店を巨大カジノにする気だなと感づいたプルートはきっぱり断り、追い返す。
その夜。ウェイトレスとして雇ったばかりの美女ディーナ(ロザリオ・ドーソン)と談笑中、ヴィデオフォンで最後通告してきたモーガンにキレたブルートよ何も聞かずに受話器を置いた。その直後、背後のガラスが猛火をあげて木っ端微塵!愛するクラブをメチャメチャにされたプルートは爆破犯を必至で追跡、場末のクラブへ追いつめる。しかしそれは、逆にプルートを誘いこみ抹殺してしまおうとするモーガンの罠だったのだ。後を追って駆けつけたボディガード・ロボット、ブルーノ(ランディ・クエイド)の二挺マグナムも加わって壮絶な大銃撃戦、敵が混乱している隙にプルートー行は辛くも逃げ出す。今やリトル・アメリカじゆうに敵の目が光っているのは明白だ。旧知の情報通ローランド(ピーター・ボイル)を通じて、景慕レックスの情報を仕入れたプルートは、執勘な刺客の網をかいくぐり、いったん街を離れることに。月のハイウェイをひた走り、着いたところは昔プルートが密輸品の隠し喝所にと拝借していた廃坑の展望ドーム。しかし、ここも安全ではなかった。追ってきたモーガンたちと、月の渓谷を縫うようにして展開する超高速スペースカー・チェイス!敵のレーザービームを逃れたと思ったのも束の間、プルートの愛車は峡谷深く落下してしまう。青い月面を彷徨いつつ、いよいよ絶体絶命かと覚悟を決めたとき、運良く通りがかったのがバカ陽気なプエルトリカン、フィーリックス(ルイス・ガスマン)。彼のスペース・トレイラーに送られて、一行はいよいよレックスの牙城、月のラスヴェガスともいうべき歓楽都市ムーン・ピーチへ乗り込んだ!そしてついに辿りついた、宿敵レックスの正体とは??

スタッフ

監督:ロン・アンダーウッド
脚本:ニール・カスバート
製作:マーティン・ブレッグマン、マイケル・ブレッグマン、ルイス・A・ストローラー
製作総指揮:ブルース・バーマン
撮影:オリヴァー・ウッド
音楽:ジョン・パウエル
特殊効果監修:ニック・デイヴィス

キャスト

プルート・ナッシュ:エディ・マーフィ
ブルーノ:ランディ・クエイド
ディーナ・レイク:ロザリオ・ドーソン
モーガン:ジョー・パントリアーノ
フルーラ・ナッシュ:パム・グリア
ジェームス:ジョン・クリーズ
バベット:ジャセイント・レン
トニー・フランシス:ジェイ・モーア
フィーリックス・ラランガ:ルイス・ガスマン
ローランド:ピーター・ボイル
ジーノ:バート・ヤング
ミゲル:ミゲル・A・ヌネズ・Jr

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