原題:Quartet

北野武、宮崎駿監督と共に 世界を湧かせている作曲家が映画を創ったら……。 日本初の本格的な音楽映画がここに誕生!

2000年/日本映画/ビスタ/全6巻/3,101m/113min/SRD、ドルビーSR 配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 配給・宣伝協力:東急レクリエーション

2002年3月25日DVD発売/2002年3月25日ビデオ発売&レンタル開始 2001年10月6日より渋谷東急3ほか全国松竹・東急系にてロードショー公開

公開初日 2001/10/06

公開終了日 2001/11/02

配給会社名 0042

公開日メモ 『もののけ姫』(宮崎駿)、『BROTHER』(北野武)、『はるか、ノスタルジィ』(大林宣彦)、『時雨の記』(澤井信一郎)、『はつ恋』(篠原哲雄)など、現代日本映画を代表する監督たちの秀作、話題作の音楽監督を一手に担い、海外からも熱い注目を集める久石譲がついに映画監督に挑戦した。

解説



映画音楽の第一人者、久石譲が映画監督に初挑戦!

誰にも忘れられない夢がある。誰にも捨てられない友がいる……。

『もののけ姫』(宮崎駿)、『BROTHER』(北野武)、『はるか、ノスタルジィ』(大林宣彦)、『時雨の記』(澤井信一郎)、『はつ恋』(篠原哲雄)など、現代日本映画を代表する監督たちの秀作、話題作の音楽監督を一手に担い、海外からも熱い注目を集める久石譲がついに映画監督に挑戦した。その記念すべき第1回作品『カルテット』は、久石自身がかねてより温めていたオリジナル・ストーリーをもとに、弦楽四重奏団を組んだ4人の若者の挫折と再起、愛と友情を描くさわやかな青春ドラマだ。

自分で選んだ道なのに、なぜ進めない?

音楽大学の同級生だった相葉明夫、坂口智子、山田大介、漆原愛の4人は、卒業を控えた最終学年の夏、担当教授の青山徹の半ば強制的な勧めで弦楽四重奏団(カルテット)を組まされ、アンサンブルコンクールに出場することになる。だが、思わぬアクシデントで結果は散々。それぞれに苦い思いを胸にキャンパスを後にした。その3年後、とある有名オーケストラのオーディション会場で偶然再会した彼らは再びカルテットを組み、もう一度コンクールに挑戦することになる。考え方も技術もバラバラで、どうしても演奏がかみ合わない4人だったが、練習を兼ねたドサ回りのツアーを通して、徐々に一つになっていく。だが、迎えたコンクール当日、会場に明夫の姿はなかった。実は4人が受けた一流オーケストラからコンサートマスター就任の要請を受けた明夫は、その日、同時刻に演奏会のステージに立たねばならなかったのだ。そしてコンクールは始まる。明夫が選んだ道は?残された3人の運命は?

監督デビュー作とは思えない鮮やかな演出

有能なプレイヤーとして将来を嘱望されながら、亡き父親の存在を越えられないでいる明夫。さえない演歌歌手のバック奏者を務めながら、それでもヴァイオリンを捨てられない智子。同棲相手との第一子誕生間際に教職を失ってしまう大介。そしてチェロの演奏に確信が持てないまま父親が経営する会社の破産という現実にさらされる愛。そんな人生の転換期を迎えている4人が再会し、再び弦楽四重奏団を組んだ時、それぞれの中に大切な何かが浮かび上がっていく……。どこにでもありそうな、けれどもかけがえのない青春のひとコマを、流れるようなカメラワークとテンポのよい編集で一気に見せるドラマは、監督デビュー作とは思えない滑らかな語り口をたたえ、音楽家・久石譲の映像クリエイターとしての隠れた一面を鮮やかに映し出している。4人の若い音楽家たちの内面に深く踏み込み、各人の微妙な心の変化をあますことなく描くその手腕には、これまで仕事を共にしてきた名監督たちとの経験がフルに生かされていると言っても過言ではなく、むしろ名匠、巨匠の手法、感覚を間近で感じ取ってきた者だからこそ成し得た仕事と言えるだろう。

絵コンテは、なんとオリジナル40曲の譜面

もちろん日本屈指の作曲家としての久石譲もまぶしく輝いている。撮影一ヶ月前に劇中使用音楽約40曲を作曲したばかりか、海を渡ってロンドンの一流弦楽四重奏団バラネスク・カルテットとそれらを録音。演奏シーンの撮影には現場で実際に音楽を流しながら、譜面を絵コンテ代わりに俳優、カメラの動きを決定するという異例の方法がとられた。映画で音楽はどう使われるべきか、どう見せる=聴かせるべきか。これまでになくリアルな演奏描写、スキのない音楽配置は、出演陣に課せられた弦楽器の演奏訓練、及び半端なクラシックの使用に甘えないオリジナル曲の創作を含め、映画音楽を知り抜いた才人ならではの演出で、結果、従来の日本映画にはない本物の“音楽映画”となった。

瑞々しい4人の若手俳優と脇を固めるベテランたち

弦楽四重奏団を組む4人の若者にはフレッシュな顔ぶれが揃った。第1ヴァイオリンの相葉明夫には『ひまわり』の袴田吉彦、第2ヴァイオリンの坂口智子には『釣りバカ日誌イレブン』の桜井幸子、ヴィオラの山田大介には『MONDAY』の大森南朋、そしてチェロの漆原愛にはこれが映画初出演となる現役東京芸大生の久木田薫がオーディションで選ばれている。また、彼らを陰に日向に気遣う音楽大学助教授・青山徹には『しあわせ家族計画』でピアノに奮闘する父親像が記憶に新しい三浦友和、明夫の父の親友でその遺志を息子に伝える藤岡俊吉に『ラヂオの時間』の藤村俊二、さらに愛を見守る漆原家の家政婦・白川小百合を『Shallweダンス?』の草村礼子がそれぞれ演じ、若い4人を脇で支えている。

日本映画界の第一線で活躍するスタッフが集結!

久石自身による原案をもとに、『君を忘れない』『ホワイトアウト』などの脚本を担当し、『恋は舞い降りた。』で監督も手がけた長谷川康夫が約1年をかけて久石と共同で脚本を執筆。撮影には『金融腐蝕列島/呪縛』の阪本善尚が久石たっての希望で登板。大林宣彦作品で知り合った両者の息の合った映像処理も本作品の見どころの一つだ。そして音楽監督には、勿論久石譲自身が兼任。編集終了後もできあがった映像を見ながら音楽を追加作曲し、より緊密な作品の完成に尽力している。撮影は2000年8月20日から9月22日まで行われ、東宝・砧スタジオのほか、東京都内、熱海などでロケが敢行された。

ストーリー



第24回日本アンサンブルコンクールの会場では、今まさに一組の弦楽四重奏団(カルテット)が演奏の真っ最中だ。第1ヴァイオリン・相葉明夫(袴田吉彦)、第2ヴァイオリン・坂口智子(桜井幸子)、ヴィオラ・山田大介(大森南朋)、そしてチェロ・漆原愛(久木田薫)。彼らは同じ多摩音楽大学に学ぶ生徒で、担当教授の青山徹(三浦友和)により、明夫の卒業とひきかえに弦楽四重奏団を組まされたのだった。一見順調に見えた演奏は徐々に乱れ始め、大介が譜面を一枚落としたことでさらに混乱をきたしていく。苛立つ明夫の横で智子が鼻をムズがらせ、愛のチェロも音がどこかおかしい。次の瞬間、智子はがまんできずにくしゃみをし、それと同時に愛のチェロの弦がプツリと切れる。中断される演奏、呆然と立ちつくす4人、ざわめく客席……。

 3年後の夏、4人は各々の道を歩んでいた。智子はポップス演歌のバック演奏者、大介は足立音楽学院の教官助手、愛は大学院に進みチェロの修行中、そして明夫は盛岡交響楽団のコンサートマスターを務めていた。そんなある日、盛岡交響楽団に仙台交響楽団との合併の話が起きる。職を追われた明夫が再就職の当てを求めて母校に顔を出すと、そこには新東京管弦楽団の団員募集の告知があった。オーディションの日、会場にやってきた明夫は控え室で智子とばったり顔を合わせる。驚く二人は同じく会場に飛び込んできた愛と大介の姿も発見する。智子はポップス演歌の仕事を失い、愛はチェロコンクールに落選し、大介は助手をクビになったばかりだった。

 結局誰もが満足な結果を得られなかったオーディション後、バツの悪い思いでそれぞれの事情を打ち明けられない4人は、アンサンブルコンクールの募集ポスターを見つける。今年の優勝賞金は400万円。同棲相手の遠山満子(内山裕子)が臨月を迎えた大介には喉から手が出るほど魅力的な金額だった。智子もまたコンクールヘの再挑戦に思いを馳せる。一方、もとより弦楽四重奏に興味の無かった明夫にはコンクール出場などどうでもよかった。愛もまた自身のチェロの才能に見切りをつけようとしていた矢先だった。そこへ折しも愛のライバルともいうべき大学院生の伊達響子(椋木美羽)が通りかかり、コンクールに出場することを4人に告げる。彼女が選んだ第1ヴァイオリンは、ジュニア時代の明夫のライバル、芸大生の保坂(山崎潤)だった。「相葉くんにはカルテットなんて無理だから……」挑発的な態度の響子に愛は勿論、明夫の心も決まる…。

スタッフ

製作:安田匡裕、金子恒彦、細田泰、伊達寛
企画:秋元康、森江宏
エグゼクティブプロデューサー:遠谷信幸、森島恒行、藤澤文女
プロデューサー:小滝祥平、川城和実、椋樹弘尚
脚本:長谷川康夫、久石譲
監督・音楽:久石譲
監督補:森谷晁育
撮影:阪本善尚
照明:椎原教貴
録音:橋本文雄
美術:及川一
装飾:松本良二
編集:奥原好行
演奏:Balanescu Quartet、新日本フィルハーモニー交響団
製作:カルテットパートナーズ
    エンジン・ネットワーク/NHKエンタープライズ21/秋元康事務所
    電通/バンダイビジュアル/ワンダーシティ
    ソニー・ピクチャーズエンタテインメント/TOKYOFM/デスティニー

キャスト

相葉明夫:袴田吉彦
坂口智子:桜井幸子
山田大介:大森南朋
漆原愛:久木田薫
白川小百合:草村礼子
村上元博:升毅
小橋:石丸謙二郎
藤岡俊吉:藤村俊二
青山徹:三浦友和

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