原題:L'albero degli zoccoli

1979年4月28日日本初公開

1978年/イタリア/カラー/187分/スタンダード/DCP 配給:ザジフィルムズ

2016年3月26日(土)より、岩波ホールほか全国順次ロードショー!

(c)1978 RAI-ITALNOLEGGIO CINEMATOGRAFICO – ISTITUTE LUCE Roma Italy

公開初日 2016/03/26

配給会社名 0089

解説


今なお伝説として語られる1978年のカンヌ国際映画祭。

3時間7分に及ぶ長尺の上、むしろドキュメンタリーに近いといっていいほどドラマチックな粉飾のない素朴な映画が他のコンペ作品を圧倒し、審査委員の満場一致という当時異例の決定でパルム・ドールを受賞しました。
イタリアの巨匠エルマンノ・オルミ監督の『木靴の樹』です。

その後、ニューヨーク批評家協会外国語映画賞やセザール賞外国語映画賞など各国の映画賞を総なめ。
翌年日本でも公開されると、それまでの興行常識を覆すほどロングラン・ヒットを記録、多くの批評家、文化人、著名人たちをうならせた本作が、26年ぶりに再公開決定。
79年の初公開時のメイン劇場だった東京・岩波ホールには、実に37年の時を経て戻ってくることになります。

『木靴の樹』は、19世紀末の北イタリア、ベルガモの農村を舞台に大地主の厳しい搾取のもとにあって、貧しい生活を強いられながらも移り行く四季のめぐりのなかで、大地とともに力強く生きる農夫たち4家族の生活が描かれています。
悠然とひろがる大自然のなか、子供の誕生や結婚、教会でのお説法、トマトの栽培、豚や牛の飼育といった当時の小作農夫たちのあたりまえの日常生活の愛すべきエピソードが、人工照明を一切使わず自然光だけを用いた静謐な映像でつづられていくなか、ふとしたきっかけから1つの家族に悲劇がおそいます。

本作は、映画の舞台であるベルガモ地方出身のオルミ監督が、幼いころから祖母に聞いていた昔話をもとに、20年間構想をあたためた作品。
出演者は全て素人のベルガモの農民たちを起用し、監督・脚本・編集・撮影全てオルミ自身で担当。

経済システムや生活スタイルの変化に伴い人々の価値観が変わっていく中でも、ヒューマニズムを信じ、市井に生きる人々を優しく見つめながら社会に埋もれた声にならない声を伝え続け83歳になったいまなお映画を撮り続けるオルミ監督。
同劇場にて4 月23日(土)公開の最新作『緑はよみがえる』の公開を前に、この普遍的名作を堪能する絶好の機会と言えます。

ストーリー






19世紀末の北イタリア、ベルガモ。
貧しいバティスティ一家は、小作人として農場に住み込んでいた。
同じ村に暮らすのは、6人の子どもと父を養うルンク未亡人、美しい娘マッダレーナのいるブレナ一家と彼女を愛するステファノ、けちで知られるフィナール一家であった。
4家族は皆、そこに住む土地、住居、家畜に農具等、すべての領主から借りて生計を立てていた。
ある日、バティスティ家のミネク少年の大事な木靴が割れてしまう。
村から遠く離れた学校に通う息子の為に、父親は河沿いのポプラの樹を伐り、新しい木靴を作ろうとする。だが、その樹木もまた領主のものであった。
貧しい暮らしながら、気高く、美しく人生を生きる農民たちの姿を描いた感動の名作。
監督・脚本・撮影・編集は、イタリアの巨匠エルマンノ・オルミ。
出演者は全て素人の農民で、オール・ロケーション、自然光での撮影による徹底したリアリズムが、全編に溢れる詩情の映像美を生みだしている。

スタッフ

監督・脚本・撮影:エルマンノ・オルミ
美術:エンリコ・トバリエリ
衣装:フランチェスカ・ズッケリ
編集:エルマンノ・オルミ
音楽:J・S・バッハ

キャスト

ルイジ・オルナーギ
フランチェスカ・モリッジ
オマール・ブリニョッリ
カルメロ・シルバ
マリオ・ブリニョッリ
エミリオ・ペドローニ
テレーザ・ブレッシャニーニ
カルロ・ロータ
ジュゼッペ・ブリニョッリ
マリア・グラツィア・カローリ
ルチア・ペツォーリ
フランコ・ピレンガ
バティスタ・トレバイニ

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