色あせてカラフル

10年前に始まった学生と映画館との共同企画「トリウッドスタジオプロジェクト」は、本作『色あせてカラフル』で記念すべき 10 作品目となります。

19〜20 歳の学生が製作した作品をただ評価（品定め）するのではなく、大人（映画館・学校）がもっと積極的に関わり、責任を負って企画を一緒に脚本化・映像化し、宣伝して観客に観てもらう所までを、1 年間のサイクルで行うこの企画。
今回は、企画趣旨に賛同してくれた研ナオコさんや田中要次さん、また学生と同世代の若手俳優の方々（佐藤玲さん、黒羽麻璃央さん、落合モトキさんら）にも出演して頂き、学生監督の映画としては珍しい豪華なキャストを組むことが出来ました。

本作品のテーマは［過去の自分との関わり］。主人公の持つ「隠しておきたい過去への対処法」という普遍性のあるテーマを、大ベテランである研さんや田中さん、そして同世代の俳優の皆さんによって、シリアスに、軽やかに描くことが出来ました。

新しいプロジェクトとして学生たちと始めた 10 年前と比べ、映像を取り巻く環境は劇的に変わりました。機材の簡易化により少人数での製作が可能になり、本数が増えるに伴って多様化が進んでいますし、上映（公開）形態も同様です。映画館や DVD レンタルといった形だけでなく、配信や映画専門ではないスペースでの上映も増えています。
「映画製作」というものに対する考え方も様々ですが、本プロジェクトは、一つの作品を 30 人超の学生で製作する事、そして、「暗くしてスクリーンを見つめさせられる」という意味で［映画］を観るのに最適な場であろう映画館での観客との対話を目的に続けています。その事が、それぞれの多様性をより深めることだと思っています。