原題:The New Rijksmuseum

10 年間も!閉館していた世界的美術館、そこでは何が起こっていたのか? 仁王像からレンブラントまで、芸術品に新たな命が吹き込まれる。 “美”をつくる現場を追うドキュメンタリー映画、待望の完結編

2014年/オランダ/カラー/97分/オランダ語・英語/DCP/日本語字幕:松岡葉子 配給:ユーロスペース

2014 年12月20日(土)より渋谷・ユーロスペースにて公開 他全国順次

©2014 Column Film BV

公開初日 2014/12/20

配給会社名 0131

解説


10年も!閉館していた世界的美術館、そこでは何が起こっていたのか?
金剛力士像からレンブラントまで、新たな命を吹き込まれた美術館がついに完成する。
美術館の改修をめぐって、館長やキュレーター、建築家、政治家、そして市民までをも巻き込んだ、笑いと涙の大騒動の舞台裏。

2004 年、世界有数のアムステルダム国立美術館が創立以来の大規模な改装のため閉館した。当初、再オープンは 2008 年の予定。だが美術館を貫く通路の新しい設計に、「自転車が通りにくくなる!」と自転車王国アムステルダムの市民が猛反発。おかげで工事は中断をかさね、工期は果てしなく遅れてゆく。
それでも館長やキュレーター、建築家ら、このプロジェクトに関わる全ての人々は、時にくい違う本音をぶつけあいながらも、“みんなに開かれた美術館”の完成をめざして、努力を続けていった。そしてそれは、美術館の輝かしいグランドオープンへと実を結んでゆく—。
2010 年公開の「ようこそ、アムステルダム国立美術館へ」では描ききれなかった、大騒ぎな 10 年の全てがついに明らかになる。

金剛力士像も海をわたってアムステルダムでご開眼。
レンブラント、フェルメール…至宝の数々に新しい命が吹き込まれるまで。
本作は、国家最大の美術館が 10 年も閉ざされた“事件”の顛末を追うばかりでなく、展示品の選定会議、オークションでの作品購入、絵画の修復作業、芸術品の眠る収蔵庫など、美術館商売の裏側をかいま見ることが出来る。美術館にたずさわる個性あふれる人々によって、新しい美術館が息づいてゆく様子を鮮やかに切りとった、美術館ドキュメンタリーの決定版!

ストーリー







2004 年、レンブラントの「夜警」やフェルメールの「牛乳を注ぐ女」などを所蔵する世界有数のアムステルダム国立美術館が、開館以来の大規模な改装工事のため閉館した。スペイン人の建築家クルス&オルティスの革新的な設計、ルーヴル美術館を手がけたフランス人のジャン=ミシェル・ウィルモットによる内装によって、2008 年には新たな美術館として生まれ変わるはずだった。

だが公共の通路でもある美術館のエントランス部分の設計が「自転車で走りにくい!」と、自転車王国アムステルダムの市民が猛反発。予期せぬ事態に、館長ロナルド・デ・レーウや建築家らはなんとか彼らを説得しようとするが、サイクリスト協会の“通路を救え”キャンペーンに同調した地元の委員会は設計案をあえなく却下。エントランス案の修正を迫る。おかげで改装プロジェクトは中断、工期は果てしなく遅れてゆく。民主主義をふりかざし、美術館の思想を理解しようとしない外野の声に妥協を強いられ続けたデ・レーウ館長はなんと、工事開始の目途もたたぬまま辞任すると言い出した。
美術館の改装は一向に進まないが、学芸員たちにとって、この閉館は膨大なコレクションを修復し、展示を見直すまたとない機会だ。17 世紀美術担当からコレクション・ディレクターへ昇格したタコ・ディベッツは、自身のヴィジョンを実現する大役に胸をおどらせ、工事中の館内からレリスタッド市の収蔵庫、そしてオークションへと意欲的に走りまわる。
改装にともない新設されるアジア館の館長メンノ・フィツキは、アジア館の目玉にと日本で出会った金剛力士像を迎え入れる準備を進める。海を渡ってきた金剛力士像を見つめる彼の眼には、芸術への愛と責任ある仕事への不安が入りまじる。

一方で、美術館を陰から支える人たちもいる。管理人のレオ・ヴァン・ヘルヴェルンもその一人。彼にとって美術館はいわば我が家であり、壁のヒビさえも全て覚えていると豪語する。
修復家たちはオランダの宝でもある収蔵品の数々を、類まれな集中力で丹念に修復してゆく。長い間眠っていた名画は彼らの手で鮮やかに蘇り、日の目を見るのを待っている。
2008 年、退任したデ・レーウに代わり新館長にはヴィム・パイべスが就任した。やり手のパイべスは美術館スタッフを奮い立たせ、精力的に仕事に取りくんでゆく。だが却下された最初のエントランス案を見つけた彼はそれに固執、騒動を蒸し返してしまう。やっと改装工事が始まるも、資金難や工事現場でのトラブルとパイべスの苦労はたえない。そのうえまたしても美術館の望むエントラス案は却下され、市民の意見をくんだ妥協案にさし戻される。やがて再オープンは 2013 年まで延期された。

美術館の館長や学芸員、建築家、内装家、政府の役人、工事のプロジェクト・マネージャー、そして市民。それぞれの主張は果てしなくぶつかり絡み合う。あまりにも長い年月、妥協と失望を味わい続けてきた彼らはもう疲労困憊だ。だがその努力は着実に、美術館を息づかせていた。2012 年、ようやく改装工事が終わるが、再オープンまで残された時間はわずか。美術館スタッフ総出で展示品の搬入が始まる。
2013 年 4 月、ようやく新しい美術館が完成した。騒動があったことなど微塵も感じられない堂々とした美術館の姿に、プロジェクトに関わったすべての人が誇らしげだ。ベアトリクス女王と大勢の市民が見守る中、輝かしいグランドオープンを迎えたアムステルダム国立美術館は、市民に開かれた美術館として新たな歴史をあゆみはじめた。

スタッフ

監督:ウケ・ホーヘンダイク
撮影:サンダー・スヌープ
グレゴール・メールマン
編集:ハイス・ゼーベンベルヘン

キャスト

アムステルダム国立美術館の館長
学芸員
建築家
アムステルダム市民

LINK

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