17歳
原題:Jeune & jolie
2013年/フランス/カラー/94分 配給:キノフィルムズ
2014年2月15日公開
(C)MANDARIN CINEMA - MARS FILMS - FRANCE 2. CINEMA - FOZ
公開初日 2014/02/15
配給会社名 1093
解説
全世界が待ち望む、フランソワ・オゾン監督最新作
センセーショナルにしてエレガント、
刺激に満ちた新たな挑戦が幕を開ける──!
いったい彼には、いくつの才能があるのだろう? 新作を発表するたびに、全く違うジャンルの新しいテーマを打ち出し、世界を驚きと興奮で包み続けてきたフランソワ・オゾン監督。深い感動をもたらした『まぼろし』、絢爛豪華なミステリー『8人の女たち』、ハートフルコメディ『しあわせの雨傘』などが大ヒットを記録、オゾンは他に比べる者のない真の異才として、日本でも熱い人気と深いリスペクトを獲得している。
そんなオゾン監督の待望の最新作が完成、第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された。映画を見ることにかけては熟練した目を持つカンヌの観客たちが、オゾンの次なるテーマに息をのんだ。女性心理を巧みに描いてきたオゾンが、17歳の少女の大きく変化していくセクシュアリティに真正面から向き合うという、センセーショナルな試みを果たしたのだ。
毎回ガラリとテイストを変えるオゾン監督作だが、全作を通じて最大の共通点がある。それは、計算され尽くした映像と脚本によって、作品全体から極上のパフュームのごとく香り立つ、至上のエレガントだ。いつものごとく洗練され、いつになく攻撃的な、オゾンの新たなる挑戦が幕を開ける──!
少女と女の狭間
名門高校に通う17歳のイザベルは
放課後のベッドで何を思うのか—
イザベルは、すべてに恵まれた少女だ。名門高校に通い、母親は大病院のドクター、生活に困ったことなど一度もなく、休みのたびに家族で長期のバカンスに出かける。両親の離婚で実の父とは別れたが、母親の再婚相手と何の問題もない。気品に溢れた美しさで異性から注目を浴び、17歳の誕生日を迎える直前には、夏のリゾート地で初体験を終えた。だが、秋の訪れと共にイザベルは変わっていく。放課後、SNSを通じて知り合った不特定多数の男たちと密会を重ねるようになったのだ。ある日、初老の男が行為の最中に急死、イザベルはその場から逃げ去るが、まもなく警察によって彼女の秘密が家族に明かされる。快楽のためではなく、ましてや金のためでもないと語り、あとは口を閉ざすイザベル。いったい彼女に何が起きたのか──?
17歳、それは少女と女の間に挟まれた、揺れ動く1年間。その年齢だけが持つ瑞々しさに溢れ、根拠のない自信による不遜さと傲慢さを放ち、ひたすら刺激を求める無鉄砲さに身を任せ、それでいて中身は呆気ないほど幼い。そんなイザベルを、「愚かだ」と達観する人もいれば、「若いって素晴らしい」と憧れと嫉妬で見つめ、「もう戻れない」とため息をつく人もいるだろう。だが、四季の移り変わりと共に物語が進むうちに、私たちは気づく。時に強く、時に儚く、時に迷えるイザベルの眼差しが揺り起こすのは、私たち自身の17歳であることに。眠りから覚めた17歳の自分と向き合うという、かつてない刺激的な体験を与えてくれる、それが『17歳』である。
カンヌで大絶賛された、オゾンの新たなるミューズ
フランス映画界の次世代スターの誕生
イザベルに扮するのは、本作が映画初主演となるマリーヌ・ヴァクト。「彼女の瞳のなかに、内なる世界と神秘を感じた」と語るオゾンが見出した新たなるミューズだ。モデル出身で、イヴ・サンローランの香水のイメージモデルでも注目を集めたが、なんといっても本作のカンヌ上映で世界的なブレイクを果たした。かつてカトリーヌ・ドヌーヴが主演したルイス・ブニュエル監督の傑作『昼顔』に並び賞され、「うっとりさせるような美貌」「まばゆい演技」と、各国のマスコミから大絶賛された。今、フランス映画界の次世代を担う存在として、最も期待されている女優である。
その他、『ふたりの5つの分かれ路』『輝ける女たち』のジェラルディン・ペラスがイザベルの母を、『サラの鍵』『タイピスト!』の味わい深い名優フレデリック・ピエロが義父を演じている。また、『まぼろし』『スイミング・プール』に出演、大女優にしてオゾンの永遠のミューズ、シャーロット・ランプリングが重要な役どころを演じ、ミステリアスな17歳の心理に、ひとつの答えを提示している。
4つの季節の終わりに流れる、フランソワーズ・アルディの揺れる思春期の歌。高校生たちが語り合う、天才詩人アルチュール・ランボーが「17歳ともなれば、まじめ一筋ではいられない」とうたった詩「物語」。若さと美しさをキーワードに、幾層にも緻密に構成されたオゾン・ワールドが、ここに完成した。
ストーリー
夏。初めての体験〜私はもう、あの少女じゃない。
眩しい太陽の下、海辺に寝そべるイザベル。華奢な身体にまだあどけないが顔立ちだが、眼差しはどこか大人びている。パリの名門アンリ4世高校に通う彼女は、医師である母親とその再婚相手の義父、弟のヴィクトルと共にリゾート地でのバカンスを楽しんでいた。
イザベルは、ドイツ人の青年フェリックスと知り合う。母親から彼を食事に招待するように言われるが、相変わらず小さな子どものように干渉されるのにはウンザリしていた。
その夜、フェリックスに誘われたイザベルは、ヴィクトルに協力を頼み、親に黙ってこっそり裏口から出かけていく。海辺でフェリックスと抱き合った時、視線を感じて波打ち際に目をやると、もう一人の自分が冷ややかにこちらを見ているような気がしたが、初めての体験が呆気なく終わる頃には、その姿は消えていた。
翌日、海辺で家族とくつろぐイザベルのもとへフェリックスがやって来るが、なぜかイザベルは素っ気ない態度を示す。「彼女、変わってるね。初めてだよ、あんな子は」と、思わずヴィクトルに呟くフェリックス。
数日後、家族と友人に祝福されながら、バースデイ・ケーキに立てられた17本のキャンドルを吹き消すイザベル。その場にもフェリックスは呼ばれていない。そしてバカンス最後の日、イザベルはフェリックスに別れの挨拶すらせず、立ち去っていく──。
秋。放課後の秘密〜17歳は、まじめじゃない。
パリの瀟洒なホテルの回転ドアをくぐり抜け、6095室のドアをノックするイザベル。部屋の中で待っていた初老の男を見て一瞬躊躇する彼女に、男は「そう、年齢はウソだ。君もサイトの写真と違う」と語りかける。イザベルは自身のサイトを開き、それを見て連絡してくる不特定多数の男と会っていた。放課後になると駅のトイレで母親のブラウスに着替えてルージュをさし、待ち合わせの場所へと向かう。名前はレア、年齢は20歳、身分はソルボンヌ大学文学部の2年生と偽っていた。
夕食前に帰宅したイザベルは、クローゼットに男から受け取った300ユーロを隠す。それが、彼女が自分で決めた金額だ。もちろん家族には秘密にしていたが、母親は自分のブラウスがなくなったことにしか気づいていない。
ある日、両親と芝居を観に行ったイザベルは、劇場で数日前に関係を持った初老の男を見かける。休憩時間に視線を交わす二人。席に戻ると、男から「水曜、同じ時間に、6095室で」というメールが届く。彼の名前はジョルジュ、既婚者で娘もいた。彼はイザベルの若さと美しさに心を奪われ、それから度々連絡してくるようになる。イザベルもジョルジュの紳士的な態度が気に入って定期的に会うが、他の男たちとの約束を減らすことは無かった。
イザベルは、熱心に活動を続けていた。もはや、ためらいも恐怖もない。そんな時、事件はベッドの上で起きた。心臓発作を起こしたジョルジュが、あっという間に息を引き取ってしまったのだ。気が動転したイザベルは浴室で転んで額を切るが、何とか服を着ると、逃げるように部屋を立ち去っていく──。
冬。17歳の真実〜危険なのは、私じゃない。
何も知らない母親の病院に、突然警察官がやってくる。ジョルジュが最後に一緒にいた相手がイザベルだと割り出され、彼女の放課後の行動に捜査が及んだのだ。「法的には未成年は被害者なので証人で済みますが、捜査はします」と言われ、何のことか全く呑みこめないでいる母は、ホテルの防犯カメラに撮られたイザベルの写真を見てもまだ、娘を信じていた。
母親がようやく事態を理解したのは、警察官がイザベルの部屋から見つけた、大量の札束を見た時だった。「なぜ黙ってたの? なぜこんなことしたの? 何があったの?」すべての問いに、イザベルは何も答えない。その日から、イザベル自身が、答えを見つける心の旅が始まった──。
スタッフ
監督:フランソワ・オゾン
製作:エリック・アルトメイヤー
ニコラス・アルトメイヤー
脚本:フランソワ・オゾン
撮影:パスカル・マルティ
美術:カティア・ビシュコフ
衣装:パスカリーヌ・シャバンヌ
編集:ロール・ガルデット
音楽:フィリップ・ロンビ
キャスト
マリーヌ・バクト
ジェラルディン・ペラス
フレデリック・ピエロ
ファンタン・ラバ
ヨハン・レイセン
シャーロット・ランプリング
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