原題:Bajari: Gypsy Barcelona

山形国際ドキュメンタリー映画祭2013コンペティション部門正式出品作

2012年/スペイン/デジタル/1:1.66/ドルビーSRD/84分/日本語版字幕:原田りえ 配給:パンドラ、ピカフィルム

2014年8月9日(土)よりユーロスペースにて公開

公開初日 2014/08/09

配給会社名 0063/1518

解説


世代から世代へ受け継がれる伝統
 『ジプシー・フラメンコ』は、固い絆で結ばれたバルセロナのジプシー・コミュニティーの中で、フラメンコという遺産が、どのように受け継がれていくのかを、鮮やかに映し出した作品である。それは同時に、フラメンコの魅力の源泉を辿ることに繋がってゆく。
フラメンコはスペイン社会の片隅の深い部分に根づいている生きた芸術だ。この伝統的な音楽と踊りは、ダンスの学校や音楽の本で学べるものではなく、ジプシー・コミュニティーの中で、父から息子へ、母から娘へと血統を通して独占的に継承される世界でも数少ない芸術の一つと言えよう。フラメンコはジプシーの一族の中で守られ、タブラオ(※①)で磨き上げられ、その芸術性が街角で完成されてきたのだ。
 『ジプシー・フラメンコ』は、若き踊り手カリメ・アマジャと5歳の少年フアニート・マンサーノの二人の歩みを追う。カリメは、才能ある新進のミュージシャンや踊り手と共に、ジプシーのフラメンコと、バルセロナのルンバの伝統を融合させた舞台を創り上げていく。フアニートは、腎臓に問題があると心配する両親をよそに、いつか舞台で踊る日を夢見てフラメンコ・シューズを手に入れる。彼らがそれぞれの人生で経験することは、生き続ける伝統を発見する旅でもある。

ストーリー




映画『バルセロナ物語』(※②)を見ている人々の中に、画面を凝視する5歳のフアニートがいる。見事なステップを踏むカルメン・アマジャを見て、「マシンガンのようだ」と。
     「踊ることは生きること」—カルメン・アマジャ
メキシコにいる母、メルセデス・アマジャ・ラ・ウィニーと電話で話しているカリメ・アマジャ。「バルセロナのミュージシャンたちから、一緒に舞台をやらないかと誘われた」「お母さんも一緒にって」「いいわ」と応じる、ラ・ウィニー。
バルセロナの海岸でミュージシャンの男たちが、映画『バルセロナ物語』について話している。
「純粋なフラメンコとしてカルメンの踊りを表現したい」
「あの瞬間をよみがえらせる踊り手はカリメだけ」
「カリメならあの力強さを表現できる」
お祭り中の市内を歩くカリメ。
鳩を遊ばせ、羽に色を塗る父親に「誕生日につがいの鳩を欲しい」とせがむフアニート。
ソモロストロの街角で、得意げに踊り、歌うフアニート。
馬に蹄鉄を打つミュージシャンの男が歌う。
“ジプシーとして生まれただけで 悪い人間だと決めつけないでくれ” 
三々五々集まり練習を始めるミュージシャンの男たち。
ソロモストロが映し出される。カルメン・アマジャの生まれたところだ。カルメン所縁の地を訪ねるカリメと母、ラ・ウィニー。カルメン・アマジャと書かれた碑が塀の先に見える。
練習するミュージシャンたちのところにカリメが現れ、踊り始めると、息を凝らして見つめるミュージシャンたち。「圧倒された」「想像以上だ」「ゾクゾクする」と、その踊りに驚嘆する。
「母はもっと伝統的な踊りを踊る」
「私はソレア。母はルンバがいいと思う」
フアニートがシャンプーの後、ミュージシャンの男に連れられ、靴を選んでいる。踊り手のポーズをとり採寸してもらうフアニート。
練習するミュージシャンとカリメ。語るカリメ。
「今でもメキシコのスタジオに戻ると特別な力を感じる」
「刺激を受けて創造的になれる」
「彼女の魂と愛したものは受け継がれていく」
「全身全霊を捧げて踊れば、彼女の魂も共にある」
タブラオ<エル・コルドベス>で、大人たちに交じり、ショーを見つめるフアニート。
合流したラ・ウィニーとカリメが練習する。カルメン・アマジャの泉を訪ねる二人。
練習する二人。カルメンの写真を背後に、演奏するミュージシャンたち。
街中の噴水を浴びながら友だちと一緒に踊りに興じるフアニート。
メルセ祭(※③)の本番で踊るカリメとラ・ウィニー。カリメの衣装はパンツスーツ。フラメンコを踊る際、パンツスーツで踊った初めての人、カルメン・アマジャに倣うように。
“母親はメロディー 父親はリズム 踊りながら私に受け継がれたものを 見つめる”
“ビバ!カルメン”“ビバ!ソロモストロ”
二人の踊りを見つめるフアニートは、合わせて手を叩き、歌う。

※①タブラオ 舞台のある居酒屋やレストランのこと。
※②映画『バルセロナ物語』(原題Los Tarantos)1963年製作のスペイン映画で第36回アカデミー賞外
 国語映画賞候補になった名作。監督はロベータ・ベレータ。ジプシー版「ロミオとジュリエット」のよ
 うな悲恋物語。カルメン・アマジャだけではなく、アントニオ・ガデスも出演している。
※③メルセ祭 9月24日、メルセ聖母の日と中心として開催されるバルセロナ最大のお祭り。

スタッフ

監督エバ・ビラ 製作トノ・フォルゲラ
オリオル・イベルン
製作総指揮ホルディ・アンブロス
ホルディ・バリョ
脚本エバ・ビラ撮影ホアン・ティスミネツキー編集エルネスト・ブラシ
ヌリア・エスクエラ
ビクトル・コサコフスキー

キャスト

カリメ・アマジャ
メルセデス・アマジャ・ラ・ウィニー
フアニート・マンサーノ

LINK

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