原題:Kyoto Elegy

過去、現在、未来。男に抗う女たちの強くも切ない物語。

第18回上海国際映画祭「パノラマ部門」 エディンバラ国際映画祭「New Perspective部門」 第27回東京都国際映画祭「アジアの未来部門」 第38回ヨーテボリ国際映画祭 第7回沖縄国際映画祭/京都国際映画祭2015 出品作品

2015年/日本/カラー/94分/ 配給:和エンタテイメント/KATSU-do

2016年2月11日(木) 新宿K's cinemaシネマにて先行上映 2016年2月13日(土)より全国順次公開

(c)吉本興業

公開初日 2016/02/11

配給会社名 1198/1631

解説


杉野希妃、長編映画初監督作で現代社会の歪みを象徴的に描く!
女優兼プロデューサー、そして映画監督として ボーダレスな活躍を続ける 杉野希妃。 『歓待』(11)『ほとりの朔子』(14)『欲動』(14)といった作品を次々に発信し、2014年の釜山国際映画祭では最優秀新人監督賞を受賞するなど国内外の映画界で高い 信頼と支持を得ている彼女の第1回監督作品が『マンガ肉と僕』である。

 第5回沖縄国際映画祭より設置された《クリエイターズ・ファクトリー》、その第1回にプロデュース&主演作『おだやかな日常』(12)を出品した杉野希妃は、そこで最優秀ニュークリエイター賞と女優賞を受賞。これを機に監督デビューを果たすこととなった彼女は、「女による女のためのR−18文学賞」候補の中から大賞受賞作である 朝香式の同名短編小説(新潮社刊)を原作としてチョイス。脚本の和島香太郎とともに自由な発想でドラマを膨らませ、京都を舞台にひとりの青年が3人の女と出会う8年間の遍歴を、3部構成のラブ・ストーリーとして脚色していった。

 男女平等が叫ばれて久しい現代においても、未だに女性への差別的発言が横行する社会への皮肉を込めながら、あるがままの自分を受け入れようともがく人間たちの姿が描かれている本作品、タイトルから彷彿させるユーモラスなイメージに即して女と男の関係性をシニカルな笑いで包み込みながらも、一方では現代社会を投影させた問題作としても見事に成立させている。そう、“マンガ肉”とは今の日本の歪みを象徴した塊でもあるのだ。

「女が男に嫌われるために太る」というモチーフに惹かれた杉野監督は、マンガ肉に食らいつきながら男に抗う女・熊堀サトミを、特殊メイクを駆使して自ら熱演。サトミに寄生され、奴隷のように支配される男・ワタベを演じるのは『ローリング』(15)『進撃の巨人』(15)など主演から助演、シリアスからアクションまでと幅広いジャンルで安定した演技を見せる三浦貴大。ワタベに寄生され、男に依存していく女・菜子には『春との旅』(10)『六月燈の三姉妹』(13)など話題作への出演が続く徳永えり。ワタベが付き合う3人目の女・さやかには『のぼうの城』(12)『風に立つライオン』(15)のちすん。演技に定評のある若手実力派たちがメインキャラクターを演じる。その他、大西信満、太賀、宮本裕子、長原成樹、徳井義実などが名を連ねる。

 撮影は『デスノート the Last name』(06)などメジャーからインディペンデントまで縦横無尽の活動を続ける高間賢治。美術に『向日葵の丘 1983年夏』(15)で83年の日本を見事に再現させた竹内悦子。そして編集を『ブンミおじさんの森』(10)など 名エディターとして国際的に知られ、『コンクリートの雲』(13)で監督デビューも果たしたタイのリー・チャータメーティクンが担当。

 なお、本作の英語タイトルは“Kyoto Elegy”。これは杉野監督が敬愛する溝口健二監督の『浪華悲歌』(36)の英語タイトル“Osaka Elegy”を意識したもので、本作もまた溝口監督が描いてきた女性像と大いに共通する情念の発露を現代女性に託すことに成功している。

 『ほとりの朔子』などの富森星元による音楽も、溝口作品における早坂文雄・音楽の“和”の魅力に倣いつつ、舞台となる現代の京都と見事に調和させながら、不可思議なインターナショナル的情緒を醸し出している。
 常に国際的見地から活動し続ける杉野監督ならではのこだわりを随所に示しつつ、女の情念と意地、男のもろさと傲慢さなどを、時にシリアスに、時にユーモラスに、94分の映像世界に凝縮させた『マンガ肉と僕』。
 第27回東京国際映画祭、第18回上海国際映画祭、エディンバラ国際映画祭など数々の国際映画祭にも出品され、大いに話題となった女と男のエンタテインメントがいよいよ劇場公開! 映画ファンはもとより、多くの観客の心をつかむことは間違いない。

ストーリー






四月の京都。気が弱く引っ込み思案の青年ワタベは、活気に溢れる大学に馴染めず、孤独な日々を送っていた。一方、同大学の熊堀サトミは、その太ったみすぼらしい容姿から、周囲の学生に嘲笑されていた。そんなサトミを差別することなく接してくれる唯一の存在がワタベだった。その優しさにつけ込んだサトミは、彼の自宅に転がり込み、寄生し、やがてワタベを奴隷のように支配しようとする。そんな中、ワタベはバイト先で知り合った菜子に惹かれていく。また、ふとしたきっかけからサトミの過去の断片を知ることになる。

スタッフ

原作:朝香式「マンガ肉と僕」著
監督:杉野希妃
エグゼクティブプロデューサー:奥山和由
原作:朝香式
脚本:和島香太郎
撮影:高間賢治

キャスト

三浦貴大
杉野希妃
徳永えり
ちすん
大西信満
太賀
宮本裕子
徳井義実

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