原題:Centro Historico

2012 年/ポルトガル/ポルトガル語、英語/1時間 36 分/アメリカン・ビスタ/ 日本語字幕:金谷重朗/字幕監修:木下眞穂 配給:ロングライド

2013年9 月14日より、シアター・イメージフォーラムほかにて全国順次公開

公開初日 2013/09/14

配給会社名 0389

解説


ヨーロッパ映画界を牽引する 4 人の巨匠が語る
鮮やかな“ポルトガル発祥の地”の記憶
ポルトガル北西部に位置する古都ギマランイス。この国の初代国王アフォンソ 1 世の生地であることから
“ポルトガル発祥の地”と言われ、今も歴史的建造物が多く残る旧市街地は“ギマランイス歴史地区”として
ユネスコの世界遺産に登録されている。そんな街が EU の提唱する“欧州文化首都”に指定されたのは 2012
年。さまざまな記念行事が開催される中、一大プロジェクトとして製作されたのがオムニバス映画『ポルトガ
ル、ここに誕生す〜ギマランイス歴史地区』だ。
発端はプロデューサーによるひとつの問いかけだった。
「この街はどんな物語を語るべきなのだろう?」
1143 年にポルトガル王国が成立してから 870 年の歴史を持つこの街で、いったいどんな物語が、どんな映
画が成立し得るのか? その呼びかけに応えたのは、現代のヨーロッパ映画界のみならず世界に名高い 4 人の
巨匠たちだ。

北欧フィンランド出身ながら 20 余年もポルトガルに在住のアキ・カウリスマキ。隣国スペインからはビク
トル・エリセ。そして、本国ポルトガル代表はペドロ・コスタ、マノエル・ド・オリヴェイラのふたり。彼ら
の手によって、スタイルもトーンもまったく異なる独創的な 4 つの作品が作り上げられた。
『レニングラード・カウボーイズ』シリーズや『街のあかり』『ル・アーヴルの靴みがき』など、数々の傑
作を残してきたアキ・カウリスマキ監督が手掛けたのは、歴史地区にあるバーで働く男を主人公にした『バー
テンダー』。孤独な男の 1 日をセリフもなく淡々と描き出すこの作品は、カウリスマキ映画の常連俳優イルッ
カ・コイヴラ、撮影監督ティモ・サルミネンらの協力を得て、彼らしいペーソス溢れる喜劇に仕上がっている。
『ヴァンダの部屋』『コロッサル・ユース』などの作品で現代映画の最先端を行くペドロ・コスタ監督は、
ギマランイスに端を発した企画でありながら“いかにしてギマランイスで撮影しないか”という動機に基づき、
ほぼ全編がエレベーターの中で展開される類まれな作品を生み出した。『スウィート・エクソシスト』は『コ
ロッサル・ユース』にも登場したアフリカ移民のヴェントゥーラが 1974 年のカーネーション革命に参加した
兵士——あるいはその亡霊と語り合う異形の会話劇だ。

20 世紀初頭にはヨーロッパ第 2 の紡績繊維工場へ発展しながら、2002 年に閉鎖され、今は“割れた窓ガラ
ス工場”と呼ばれるその跡地を訪ねた『割れたガラス』は、『ミツバチのささやき』『エル・スール』のビクト
ル・エリセ監督の最新作。45 年を越えるキャリアでわずか 10 本に満たない作品しか監督してこなかった彼は、
かつて工場で働いた人たちの声に耳を澄ませ、その人生の 1 コマと思い出の一部を切り取る感動的なドキュメ
ンタリーを編み上げた。『マルメロの陽光』以来 20 年ぶりに、長編ならずとも 40 分弱という、語るに十分な尺の物語を目の当たりにする喜びは特筆すべきと言えよう。
そして、現役最高齢となる 104 歳のマノエル・ド・オリヴェイラ監督(『コロンブス 永遠の海』『夜顔』)
は、しんがりを飾る『征服者、征服さる』でギマランイスの起源でもあるアフォンソ 1 世のエピソードを紹介
する。しかし、彼ならではのユーモアは堅苦しい歴史の物語を忌避し、アフォンソ 1 世の銅像をめぐる痛快な
掌編で観る者をあっと驚かす。

2012 年、ローマ国際映画祭でワールド・プレミアされた後、第 13 回東京フィルメックスで特別招待作品と
して上映され、会場に詰めかけた多くの映画ファンを虜にした本作。特定のテーマで競作するオムニバス映画
として、4 人の監督たちはその個性を遺憾なく発揮し、ひと癖もふた癖もある作品で観客たちを唸らせる。そ
れぞれの視点から切り取られた、ギマランイスが語る 4 つの歴史の物語は、人々に知的な発見と無上の映画体
験をもたらすに違いない。

1543 年にポルトガルより我が国へ鉄砲がもたらされてから 1639 年の鎖国に至るまで、南蛮貿易が盛んに行
われた。ポルトガル王国の誕生は、その初めての交流より遡ること 400 年。現代に連綿と続く悠久なる歴史と
エンディングに流れるグレン・グールドの美しい旋律とが共鳴し、我々は彼の地に思いを馳せることだろう。

ストーリー







スタッフ

監督:ペドロ・コスタ、マノエル・デ・オリベイラ、アキ・カウリスマキ、ビクトル・エリセ

キャスト

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