原題:THE PAPERBOY

第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品 第70回ゴールデン・グローブ賞助演女優賞ノミネート(ニコール・キッドマン)

2012年/アメリカ/シネマスコープ/107分/R15+ 配給:日活

2013年12月03日よりDVDリリース 2013年7月27日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー

(c) 2012 PAPERBOY PRODUCTIONS,INC.

公開初日 2013/07/27

配給会社名 0006

解説


全米ベストセラー小説の禁断の映画化!
ハリウッドスターたちが衝撃的なタブーに挑戦した、
あまりにもスキャンダラスな真夏のミステリー

神様が汗をかくほど蒸し暑く、美しくも残酷な夏。
抗いようのない魔性の引力に囚われた若者は、
禁断の闇を覗き、永遠に忘れられない最初で最後の恋を経験した

 フロリダ州の小さな町で鬱屈した日々を過ごす青年ジャックにとって、うだるように暑い1969年の夏はいつにも増して退屈な季節になるはずだった。はからずも大学を中退し、父親の会社で新聞配達をしている彼は、取りたててやりたいこともないし、ガールフレンドもいない。そんな時間をもてあましたジャックのもとに、ある日突然、思わぬ任務が舞い込んでくる。マイアミ・タイムズ記者の兄ウォードが、ある殺人事件の死刑囚の冤罪疑惑を取材するために帰省し、その助手を務めることになったのだ。さらにジャックは獄中の死刑囚の婚約者シャーロットにたちまち心を奪われ、胸が張り裂けそうなほど切ない想いを募らせていく。やがて殺人事件の深い闇に分け入り、叶わぬ恋に身を焦がすジャックが目の当たりにしたのは、想像を絶する悪夢のような現実。かくしてイノセントな若者の最も刺激的な夏は、生涯忘れえぬ残酷な夏へと変貌していくのだった……。
 悲惨な家庭環境のもとで虐げられて育った少女の希望への道のりを描いた『プレシャス』で全米の映画賞レースに新風を吹き込み、作品賞と監督賞を含むアカデミー賞6部門にノミネート(うち助演女優賞、脚色賞を受賞)。この一作でアメリカン・インディーズの新たな才能として脚光を浴びたリー・ダニエルズ監督が、ザック・エフロン、ニコール・キッドマン、マシュー・マコノヒー、ジョン・キューザックというそうそうたる豪華キャストを迎え、待望の新作を完成させた。
 ところが2012年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、世界中のジャーナリストにお披露目されたその話題作『ペーパーボーイ 真夏の引力』は、前作のような“感動作”とはテーマも作風もまったく異質で、身震いするような衝撃を呼び起こす映画だった。世間知らずで愛に飢えた孤独な若者を主人公にしたひと夏の青春物語は、凶暴なまでにスリリングでスキャンダラスな事件性をはらみつつ、魔性の誘惑にも似た強烈な引力をみなぎらせ、あらゆる観客を虜にしてしまう正真正銘の問題作だったのだ。

『プレシャス』で絶賛されたリー・ダニエルズ監督、
ザック・エフロン、ニコール・キッドマン、
マシュー・マコノヒー、ジョン・キューザックが魅せる
センセーショナルな罪深き官能に満ちた映像世界

 1995年に本国アメリカで発表されるやニューヨーク・タイムズのベストセラー・リストに掲載され、ペン・センターの文学賞に輝いたピート・デクスターの小説に基づく本作は、人種差別などの保守的な気風が色濃く残る1960年代末の南部フロリダを背景にしている。まだ社会の荒波に揉まれていない青年ジャックのまっすぐな眼差しを通して描かれるのは、ある死刑囚の保安官殺しの真相をめぐるミステリー。兄の取材活動に加わったジャックは、そのさなかに人生初の本気の恋を経験し、陶酔と混乱の渦にのみ込まれていく。それはピュアで好奇心旺盛な若者にとって夢心地の時間だったが、ジャックの行く手には大人への通過儀礼というにはあまりにも過酷な試練が待ち受けている。この世には決して覗いてはならない、決して触れてはならない禁断の闇がある。殺人とセックスに彩られたこの映画は、ひと夏の未知なる冒険に身を投じ、本当に人生が一変してしまう若者のショッキングな運命を生々しく映し出す。
 主演はTVムービー「ハイスクール・ミュージカル」で一躍、新世代の青春スターとして脚光を浴び、その劇場版も大ヒットしたザック・エフロン。ハリウッドの未来を担うであろう若き美形俳優が、皮肉にも人生最初の恋と最後の恋を同時に経験するはめになる主人公ジャックの複雑な感情をリアルに表現し、アイドルからの脱皮を鮮烈に印象づける。
 そして、ジャックが恋するシャーロット役でゴールデン・グローブ賞助演女優賞候補になった、ニコール・キッドマンの演技にも驚嘆せずにいられない。ノーブルな美貌と抜群のスタイルで名高いハリウッドのスター女優が、死刑囚の恋人でもあるファムファタールを淫らなまでに挑発的な色香をまとって体現。まぎれもなくこの役どころは、華麗なるオスカー女優のキャリアにおいて最も“罪深き”ヒロインとして観る者の脳裏に焼きつくことだろう。さらに『リンカーン弁護士』のマシュー・マコノヒーが弟も知りえなかった秘密を隠し持つ新聞記者ウォードに、『推理作家ポー 最期の5日間』のジョン・キューザックが疑惑まみれの死刑囚ヒラリーに扮し、誰もがまさかと言葉を失う戦慄シーンをまざまざと演じきっている。
 若手&実力派俳優たちの大胆かつ濃厚なアンサンブルを指揮したリー・ダニエルズ監督は、青春ロマンスや社会派サスペンスといった複数のジャンルの要素をクロスオーバーさせ、人間の内なる心と社会に潜む得体の知れないダークサイドを描出。陽光きらめくリゾート地フロリダのイメージを覆し、鬱蒼としたサザンゴシック・ノワールへと観る者を誘う映像世界は、この夏最も危うく魅惑的な映画体験をもたらすに違いない。

ストーリー



1969年、フロリダ。
愛に飢えた孤独なは初めて本気の恋をする。
そして、ある殺人事件の真相をめぐる濃密な人間模様に引き込まれ、
人生を大きく変えていく──

─忘れられないひと夏の始まり
 1969年、うだるように蒸し暑い夏。フロリダ州モート郡で育った青年ジャック・ジャンセン(ザック・エフロン)は、人生の道標を見失っていた。将来有望なスイマーだったジャックは、ある問題を起こして大学の水泳部を追放され、今は地元で小さな新聞社を営む父親(スコット・グレン)のもとで配達を手伝っている。母親は幼い頃に家を出てしまい、父親の現在の恋人エレン(ニーラ・ゴードン)にはまったく馴染めない。極度にオクテでガールフレンドもいないジャックが心を許せる身近な話し相手は、黒人メイドのアニタ(メイシー・グレイ)だけだった。
 そんなある日、大手新聞社マイアミ・タイムズに勤める兄ウォード(マシュー・マコノヒー)が、同僚の黒人記者ヤードリー(デヴィッド・オイェロウォ)を伴って帰省した。ウォードの目的は、4年前にモート郡で起こった殺人事件を再調査すること。人種差別主義者の保安官が刃物でめった刺しにされたこの事件は、ヒラリー・ヴァン・ウェッター(ジョン・キューザック)という貧しい白人男性が逮捕され、すでに死刑判決が確定していたが、ウォードは裁判が極めて不公正な状況で行われたため、冤罪の可能性があるとにらんでいた。これがジャックにとって生涯忘れようのない夏の始まりだった。

─初めて本気で恋した女性、それは死刑囚の婚約者だった

 運転手としてウォードらの取材を手伝うことになったジャックは、オフィス代わりのガレージを突然訪ねてきたシャーロット・ブレス(ニコール・キッドマン)に目を奪われた。今回の取材の依頼主であるシャーロットは、獄中の死刑囚ヒラリーと手紙を交換しただけで意気投合し、婚約まで交わした風変わりな女性である。まるでバービー人形のようにまばゆい金髪と長い手足、奔放な振る舞いと匂い立つ色気に息をのんだジャックは、出会った瞬間に恋に落ちていた。
 それ以来、寝ても覚めてもシャーロットのことで頭がいっぱいになったジャックは、刑務所でのヒラリーとの面会に同行することに。ところが傍若無人なヒラリーは自分に救いの手を差しのべてくれたウォードらの質問などどこ吹く風で、初めて対面した“婚約者”シャーロットへの欲望を剥き出しにする。シャーロットもすっかりその気になって露骨な媚態を晒し、ウォードとヤードリーを唖然とさせるのだった。そんな面会中の信じがたいやりとりを複雑な思いで見つめていたジャックは後日、ビーチに出かけた際にクラゲに全身を刺されてしまう。その危ういところを、新聞のネタになるほどの奇妙な手段で救ってくれたのはシャーロットだった。

─混迷深まる殺人事件の真相、そして兄の衝撃的な秘密

 ウォードはヒラリーとの3度目の面会で、ようやくアリバイに関する重要な話を聞き出した。殺人事件当日の夜、ヒラリーは伯父のタイリー(ネッド・ベラミー)とともにゴルフ場に忍び込んで芝生を盗んだのだという。すかさずウォードとジャックは、人里離れた沼沢地に住むタイリーのもとへ取材に向かう。ワニの皮を剥いで生計を立てているタイリーの家は、動物の死骸があちこちに散乱し、異様な腐臭が漂っていた。タイリーはヒラリーのアリバイをそっくり裏付ける証言をしたが、ウォードとジャックは彼らが口裏を合わせたのではないかと疑念を抱く。ガレージに戻ると、ゴルフ場に取材に行っていたヤードリーもヒラリーはシロという証言を得たと告げるが、その情報の出所ははっきりしない。ジャックはヤードリーがシャーロットと肉体関係を持ち、彼女とヒラリーに都合のいい証言をでっち上げたのではないかと不審を募らせた。
 こうしてヒラリーが冤罪との可能性が高まり、ヤードリーはひと足先にマイアミの本社に戻っていったが、まだ納得できないウォードは取材を続行することに。ところがモーテルでふたり組の黒人男性と関わったことから瀕死の重傷を負ってしまい、その場に駆けつけたジャックは、兄の知られざるダークサイドを目の当たりにして激烈なショックを受ける。ウォードの入院先から戻ったその夜、失意のジャックは母親にあやしてもらう子供のようにシャーロットに身を委ねた。これがジャックの初めての性体験だった。

─魅惑と狂気の夏、そのはての悪夢の闇へ

 実母に捨てられたトラウマをずっと引きずって生きてきたジャックは、血生臭い殺人事件の虚実、兄の驚くべき秘密、そしてシャーロットへの報われない恋に翻弄され、もはや精神的混乱が限界に達していた。しかし、このいつもと違う特別な夏は、まだ終わっていなかった。すべての決着をつけるため、ウォードとともに再び沼沢地の奥深くに足を踏み入れたジャック。そこで彼を待ち受けていたのは、本当に人生が一変してしまう悪夢のような出来事だった……。

スタッフ

監督・脚本・製作:リー・ダニエルズ 
原作・脚本:ピート・デクスター
製作総指揮:アヴィ・ラーナー 
製作:ヒラリー・ショー 
撮影:ロベルト・シェイファー
音楽:マリオ・グリゴラフ プロダクション・デザイン:ダニエル・T・ドランス
衣裳:キャロライン・エスリン=シェイファー 
編集:ジョー・クロッツ
 
配給:日活

キャスト

ザック・エフロン (ジャック)
ニコール・キッドマン (シャーロット)
マシュー・マコノヒー (ウォード)
ジョン・キューザック (ヒラリー)
メイシー・グレイ 
デヴィッド・オイェロウォ 
スコット・グレン 
ネッド・ベラミー

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