原題:Antiviral

鬼才デイヴィッド・クローネンバーグの〈血〉を受け継いだ新たな才能、 ブランドン・クローネンバーグの衝撃的な監督デビュー作!

2012年/カナダ・アメリカ合作/カラー/108分/ 配給:カルチュア・パブリッシャーズ、東京テアトル

2013年5月25日(土)シネマライズほか全国ロードショー

(C)2012 Rhombus Media(Antiviral)Inc.

公開初日 2013/05/25

配給会社名 0194/0049

解説


鬼才デイヴィッド・クローネンバーグの〈血〉を受け継いだ新たな才能、
ブランドン・クローネンバーグの衝撃的な監督デビュー作!

 2012年カンヌ国際映画祭のある視点部門に出品され、トロントやシッチェス・カタロニアなどの著名映画祭で数多くの賞に輝いた『アンチヴァイラル』は、それを手がけた新人監督の名前からして好奇心をそそられずにいられない話題作である。ブランドン・クローネンバーグ。そう、『ザ・フライ』『裸のランチ』『イースタン・プロミス』などで名高いカナダの鬼才デイヴィッド・クローネンバーグの長男が、長編劇映画デビューを果たしたのだ。
 もともとクローネンバーグ・ファミリーは映画一家であり、デイヴィッドの妹デニースはキャリア豊富な衣装デザイナー、長女カサンドラは『イグジステンズ』などの助監督、次女ケイトリンは数多くの映画やTVシリーズのスチル・フォトグラファーとして活躍している。幼い頃からデイヴィッドのセットに出入りして映画製作の現場の雰囲気に親しんできたブランドンも、偉大な父親の後を追うようにしてクリエイターの道を志し、本作でプロフェッショナルな映画監督のキャリアをスタート。そのお披露目となったカンヌ国際映画祭では、ロバート・パティンソン主演の『コズモポリス』をコンペティション部門に出品したデイヴィッドとの父子ツーショットも実現し、世界中のマスコミの大いなる注目を集めることになった。
 ルーカス・クリニックは映画スターやアイドル・シンガーなど、あらゆるセレブリティから譲り受けたウイルスを、その熱狂的なファンに販売することで急速に業績を伸ばしている。若き注射技師シドは希少価値の高いウイルスをクリニックの外部に持ち出し、闇マーケットに横流しするという危うい違法行為に手を染めていた。ところがある日、究極の美貌を誇るスーパーセレブリティのハンナが、原因不明の重病に冒されて突然死亡。その直前、ハンナから直接採取したウイルスを自らの肉体に注射していたシドも、異様な幻覚症状などの体調不良に見舞われてしまう。こうしてハンナを死に至らしめた特殊なウイルスの唯一の宿主となったシドは、裏社会のコレクターにつけ狙われるようになり、ウイルスをめぐる巨大な陰謀の真相究明に乗り出すのだが……。

セレブリティの〈ウイルス〉をめぐる謎と驚きに満ちた陰謀劇
そしてグロテスクな肉体と精神の変容を描く独創的な映像世界

 セレブリティと呼ばれる有名人をめぐるメディアと大衆の狂騒を痛烈に風刺した『アンチヴァイラル』は、現代の世相を冷徹に見すえる一方、テーマもヴィジュアルもこのうえなく斬新にしてショッキングな問題作として完成した。主人公が勤めるクリニックにやってくる顧客たちは、憧れのセレブリティとの“究極のつながり”を求めて、さまざまな病気に感染したセレブリティの血液や細胞を購入し、自ら積極的にそのウイルスに“感染”して無上の歓びを得る。この尋常ならざる奇抜なアイデアを初の長編向けオリジナル脚本にまとめ上げたブランドン・クローネンバーグ監督は、死を呼ぶウイルスに蝕まれて極限状況に陥った青年の決死の逃避行をスリリングに描出。圧倒的な緊迫感みなぎるサスペンス・ミステリーの娯楽性と、近未来SFのようにシュールで無機質なアートワークが渾然一体となった独創的な映像世界を構築し、戦慄のクライマックスとその果ての驚愕のエンディングへと観る者を誘っていく。
 また、親子の血は争えないというべきか、本作には随所にデイヴィッド・クローネンバーグの初期作品を連想させるエッセンスがちりばめられている。生化学や医学にまつわるテクノロジー、それらが人間にもたらす肉体のメタモルフォーゼやトリップ感覚といったモチーフは、『ラビッド』『ザ・ブルード/怒りのメタファー』『スキャナーズ』『ヴィデオドローム』といった父親のグロテスクな諸作品に通じ、観る者の興味をかき立てずにおかない。さらに身体的かつ精神的な痛覚を伴い、時には倒錯的なエロティシズムを滲ませるホラー&バイオレンス演出の数々にも、ブランドンの類い希な映画的感性がうかがえよう。
 父親デヴイィッドは本作に直接関わっていないが、『コズモポリス』のプロダクション・デザイナー、アーヴィンダー・グレイウォルがブランドンの長編デビューをサポート。『危険なメソッド』『コズモポリス』に連続出演し、クローネンバーグ映画の新たなミューズとなった若手女優サラ・ガドンも、セレブリティというテーマを象徴する重要なヒロイン、ハンナ・ガイスト役でお目見えし、眩いほどの美貌と物憂げで魅惑的なオーラを披露している。
 そして主人公シドに抜擢されたケイレブ・ランドリー・ジョーンズの鮮烈な演技も圧巻というほかはない。『X−MEN:ファースト・ジェネレーション』のミュータント、ショーン・キャシディ/バンシー役で脚光を浴び、次世代スター候補として躍り出た若き美形俳優が、神経症的かつ退廃的な異色キャラクターを渾身の迫力で体現した。加えて『時計じかけのオレンジ』で知られる伝説のカリスマ怪優マルコム・マクダウェルが、絶体絶命の主人公に助言を与える医師役で登場するのも見逃せない。

ストーリー





近未来、セレブリティのウイルスをマニアに注射するクリニックの若き注射技師シド(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ)は、希少価値の高いウイルスを外部に持ち出し、闇マーケットに横流しするという違法行為に手を染めていた。ある日、究極の美の持ち主ハンナ(サラ・ガドン)が原因不明の重病に冒されて突然死亡。その直前、ハンナから直接採取したウイルスを自らの肉体に注射していたシドも、異様な幻覚症状に見舞われる。ハンナを死に至らしめた特殊なウイルスの唯一の宿主となったシドは、何者かに追われ始める。そしてウイルスをめぐる巨大な陰謀の真相究明に乗り出すのだが……。

スタッフ

監督:ブランドン・クローネンバーグ
製作:ニヴ・フィッチマン
脚本:ブランドン・クローネンバーグ

キャスト

ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
サラ・ガドン
マルコム・マクダウェル
ダグラス・スミス

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