原題:Cockfighter

1974 年/アメリカ映画/84 分/ヴィスタサイズ/35mm /カラー 提供:キングレコード 配給:boid 宣伝:VALERIA

2013年1月19日(土)より、 4週間限定渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開!後、全国順次公開

(C) 1974 Rio Pinto Productions, Inc. and Artists Entertainment Complex, Inc.

公開初日 2013/01/19

配給会社名 0539

解説


名優ウォーレン・オーツ『ガルシアの首』× 鬼才モンテ・ヘルマン『断絶』
闇に葬られた幻の傑作が、
製作39 年目にして35mm ニュープリント日本初公開。
スクリーンに叩きつけられた負け犬たちの意地が、今ここを荒野へと変える!!

原作・脚本は、ジム・トンプスン、デイヴィッド・グーディス、ライオネル・ホワイトらと並んでカルト的な人気を誇る、奇妙な味わいのクライム・ノヴェルを得意としたパルプ作家チャールズ・ウィルフォード。
 低予算映画の帝王ロジャー・コーマンが、“闘鶏”という斬新なテーマに観客が飛びつき大ヒットするものと確信して製作したのが本作。『断絶』(71)の興行が惨敗に終わり、ハリウッドから干されていたモンテ・ヘルマン監督に、復活のチャンスを与えたのだった。その結果、映画で描かれることはめったにない闘鶏の世界を背景とし、ヘルマンの盟友ウォーレン・オーツ演じる一風変わった男を主人公とする、他に類を見ないロードムーヴィーができあがったが、結果はまたもや興行的大惨敗。本作は、コーマン製作作品でたった2 本しかない赤字作品のうちの1本となってしまった。
 コーマンは製作費を回収するべく、別作品からヌード場面とカーチェイス場面を入れて再編集、タイトルも「BORN TO KILL」、「WILD DRIFTER」など次々と変更され、しまいにはポスターに描かれたウォーレン・オーツが斧を振りかざすことになる(そんな場面は存在しないにも関わらず)。ちなみに今回上映の版は、もちろんコーマンによる改竄版ではない。
 そして、自作の興行的失敗が続いたヘルマンは、この後ついにヨーロッパでの映画製作を余儀なくされることになる。だが完成作は、ジョナサン・ローゼンバウムやトム・ミルンなど一部のうるさ型批評家から賞賛された。

そんな超異色作が、日本で公開されるわけもなく、長らくファンの間で伝説として語られるだけになっていた。とはいえウォーレン・オーツが、ひと言も喋らぬ主人公を『ガルシアの首』(サム・ペキンパー、74)と双璧をなす大熱演、のちに『天国の日々』(テレンス・マリック、78)でオスカー最優秀撮影賞受賞撮影監督となるネストール・アルメンドロスにとってブレイク前のアメリカ映画作品となるなど、映画史的価値は絶大。後に都会的でメロウなAORシンガーソングライターとして頭角をあらわすマイケル・フランクスが、そのパブリックイメージと真逆の土臭い音楽を本作のために提供している点も、聴き逃せない。編集を担当したのは、この後『アリゲーター』(80)、『ナイルの宝石』(85)、『ネイビー・シールズ』(90)といった作品を監督することになるコーマン組のルイス・ティーグだ。
 そして後にも先にも本作にしかない、ラストシーンの凄絶な愛の表現には、ヘルマン映画特有のテーマ──男女間の(ディス)コミュニケーション──がにじみ出て、観る者に複雑な感慨をもたらすことだろう。

製作から39 年。ウォーレン・オーツの怒りと悲しみと痛みを湛えた曖昧な微笑みとともに、呪われた映画がついに日本初公開!

ストーリー







闘鶏トレーナーの中年男フランク・マンスフィールド(ウォーレン・オーツ)は、かつてホテルの一室でライヴァルのジャック(ハリー・ディーン・スタントン)と私的な賭け闘鶏戦をおこなった際に大口をたたいて勝利を宣言したにも関わらず、敗退した。以来、もともと口数の多かったフランクは、自分の鶏が全国チャンピオンになるまで一切口をきかない誓いを立て、それを守り続けている。彼は若いガールフレンドのドディ(ローリー・バード)と、トレーラーに載せたモバイル・ホーム暮らしで旅をし続けながら、各地の闘鶏試合に出場している。
 その後フランクはジャックとの賭け闘鶏試合に負け、モバイル・ホームを含むほぼ全財産を失う。彼はついでにドディもジャックに提供し、体のいい厄介払いも済ませる。

 アル中の弟ランドール(トロイ・ドナヒュー)とその妻フランシス(ミリー・パーキンス)が住んでいる実家を訪れたフランクは、闘鶏試合の審判役エド・ミドルトン(チャールズ・ウィルフォード)から新たな鶏“ホワイト・ライトニング(白い稲妻)”を500 ドルで手に入れるために、夫婦に黙って家を売り払う。生まれ故郷の町で、フランクは幼馴染で婚約者のメアリー・エリザベス(パトリシア・パーシー)と再会する。メアリー・エリザベスはなかなか結婚してくれようとしないフランクに業を煮やし、ほかの男にプロポーズされた件をちらつかせながら、自分と一緒に故郷の町に落ち着いてもらいたいと懇願する。しかしフランクは、自分に対する彼女の愛を理解できないふりをして立ち去る。

 やがて彼はポーランド系アメリカ人の養鶏業者オマー・バラディンスキー(リチャード・B.シュル)と親しくなり、彼とチームを組んで二人して“ホワイト・ライトニング”の特訓に没頭する。次の闘鶏試合で、フランクの鶏はジャックの鶏に勝利する。ドディはいつの間にか、ジャックと結婚していた。ミレッジヴィルでおこなわれる年間チャンピオン決定戦の日。審判を務めるのはミドルトンだ。フランクに招待されたメアリー・エリザベスも、会場に姿をあらわす……。

スタッフ

監督:モンテ・ヘルマン
製作:ロジャー・コーマン
原作・脚本:チャールズ・ウィルフォード
撮影:ネストール・アルメンドロス
編集:ルイス・ティーグ
音楽:マイケル・フランクス

キャスト

ウォーレン・オーツ
ハリー・ディーン・スタントン
ローリー・バード
トロイ・ドナヒュー
リチャード・B・シュル
エド・ベグリー・Jr
スティーヴ・レイルズバック
スチル:ローリー・バード

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