原題:Like Someone in Love

キアロスタミ、究極の映画 ——世界は謎とドラマに満ちている

第65回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式招待

2012年/日本・フランス共同製作/109分 配給:ユーロスペース

2012年9月15日より 渋谷・ユーロスペースにてロードショー 他全国順次公開

© EUROSPACE All Rights Reserved.

公開初日 2012/09/15

配給会社名 0131

解説


カンヌ国際映画祭でパルムドール、ヴェネチア国際映画祭でグランプリを受賞した世界的巨匠、アッバス・キアロスタミ監督が、監督以外すべて日本人のキャスト・スタッフにより、日本を舞台に撮影した最新作。ほぼ無名の役者を起用するというキアロスタミ独自の演出方法で、夜は男性のエスコートをすることもある祖母想いの女子大生をめぐる愛情のすれ違いを描く。

光と影、夜と昼、
虚実が二重写しとなった世界で、
カメラは、刻々と移り変わる主人公たちの表情と心を見つめ続ける
洗練された演出の極致であり、
物語を超えて役者たちの真実の瞬間をとらえた
キアロスタミのまなざしの記録

『クローズアップ』や『友だちのうちはどこ?』で、<こんな映画がありうるのか?!>と世界を驚かせたキアロスタミは、カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した『桜桃の味』(97)以降、さらに大胆な表現へと向かい、デジタルビデオの活用や、ほとんど物語のない作品、写真や映像インスタレーションの展示、同い年で交流のあるビクトル・エリセとの往復映像書簡(05-07)、演劇を見る人々の表情だけを撮った『シーリーン』(08)や観客と舞台(イランの古典聖史劇)をマルチスクリーンのインスタレーションで展示する「タジエを見る」(04)など、その自由度、実験精神は広がる一方だった。

そのなかで、長編映画としてイラン国外ではじめて撮った『トスカーナの贋作』(カンヌ国際映画祭主演女優賞受賞)に続いて企画されたのが、日本・フランス共同製作の本作である。当初「The End」というタイトルで進められていたが、劇中で使われる「Like someone in love」(ジャズの名曲として知られ、劇中ではエラ・フィッツジェラルドの歌を使用)が最終的なタイトルとして採用された。

この映画もまた、<こんな映画がありうるのか?!>という不思議な作品になっている。いろいろな人物間の会話や沈黙、自動車の中での会話や視線、おばあさんからの留守電、正体不明の老教授とその自宅に飾られた「教鵡」(きょうむ)という絵画(1900 年、矢崎千代二)、ストーカー的にヒロイン・明子を拘束しようとするノリアキ、彼におびえつつ、うそをくりかえす明子。
説明もなく登場するそうした人物たちのミステリアスな「表情」のたえまない変化、とりわけ場面ごとに刻々と表情や態度を変えていく明子を巨匠キアロスタミはひたすら見つめ続け、そのまなざしこそがこの映画のサスペンスとドラマとなっていく。

この映画では、しばしばガラスの向こう側と反対側(反射)が二重写しになる。それと同じように、虚実はいつも二重写しになっていて、虚像と実像、虚構と現実、うそとほんとは重なりあっている。誰もがうそをついているかもしれないし、うそはいつも真実と二重写しになっている。
キアロスタミ版『去年マリエンバートで』とまで言われた前作につづき、本作もまた解決されない謎に満ちたミステリアスな世界を描きだし、サスペンスフルでありながらその映像とまなざしで見るものをひきつけ、酔わせずにはおかない映画である。

ストーリー




『友だちのうちはどこ?』『桜桃の味』など、常に世界を驚かせ続けてきたアッバス・キアロスタミが、イタリアを舞台にした『トスカーナの贋作』に続き、イラン国外での次なる撮影に挑んだ場所は日本。ほぼ無名の役者を起用するというキアロスタミ独自の演出方法により描かれるのは、ひとりの少女をめぐる愛の不在—。解決されない謎に満ちたミステリアスな世界を描きだし、サスペンスフルでありながらその映像とまなざしで見るものをひきつけ、酔わせずにはおかない、キアロスタミ、究極の映画の誕生。

スタッフ

監督:アッバス・キアロスタミ
脚本:アッバス・キアロスタミ
監督補、通訳:ショーレ・ゴルパリアン
助監督:田澤裕一
演出助手:飛田一樹、廣原暁
記録:横山昌吾
キャスティング:杉野剛
撮影:柳島克己
撮影助手:鈴木慎二、松本貴之、田中安奈
VE:関口明
編集:バフマン・キアロスタミ
編集助手:横山昌吾
録音:菊池信之
サウンド編集:Reza NARIMIZADEH
ミックス:Mohmmadreza DELPAK
美術:磯見俊裕
美術・装飾助手:露木恵美子、金林剛、布部雅人
大道具:平子吉丈
スタイリスト:宮本まさ江
ヘアメイク:橋本申二
ヘアメイク助手:長窪美恵
制作担当:中村哲也
制作主任:宮森隆介、中円尾直子
プロデューサー:マラン・カルミッツ、堀越謙三
共同プロデューサー:ナタナエル・カルミッツ、シャルル・ジリベール


製作: ユーロスペース+mk2  

キャスト

明子:高梨臨
たかし:奥野匡
ノリアキ:加瀬亮
ひろし:でんでん
隣りのおばあさん:鈴木美保子
明子の祖母:窪田かね子
教え子:岸博之
なぎさ:森レイ子
タクシー運転手:大堀こういち
整備工:辰巳智秋
なぎさの友人:春日井静奈

LINK

□公式サイト
□IMDb
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す