原題:Shame

2011年/イギリス/カラー/101分/ 配給:ギャガ

2012年10月02日よりDVDリリース 2012年3月10日、シネクイント、シネマスクエアとうきゅうにてロードショー

(c)2011 New Amsterdam Film Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute.

公開初日 2012/03/10

配給会社名 0025

解説




その挑発的な題材と、口うるさい批評家をして「完璧だ!!」と言わしめた完成度で、台風の目として今年の賞レースを席巻し、最大の話題をさらった『SHAME−シェイム−』。ある男のセックスライフを赤裸々に描いた異色作である。その過激な描写により、各国で最も厳しい上映規制がかかり、日本でも<R-18+>規制ですら上映許可が危うかったという 、超話題作がいよいよそのベールを脱ぐ。
 男は、仕事以外のすべての時間を〈セックス〉に注ぎ込んでいる。アダルトサイトを閲覧し、ビデオを収集し、行きずりの女性と、プロの女性と、その場限りのセックスを重ねている。彼の名はブランドン、上司に期待される有能な社員だが、現代社会が生んだ病、セックス依存症を抱えている。それでも、一人で暮らす洒落たマンションで、毎日勤勉にセックスに集中していた時は、ある意味一貫性のある人生を送っていた。そんな確立されたシングルライフの均衡を破ったのは、突然転がり込んできた妹シシーの存在だ。人との心の繋がりを一切求めず、感情を排して生きてきたブランドン。他者の愛を渇望し、激情の塊となって生きるシシー。対極にある二人は、激しく衝突し、想いはすれ違い、それぞれの孤独をさらに色濃くさせていく。
 妹への抑制の効かないイラ立ちをぶつけるかのように、無意味な快感だけを追い求めるブランドンを見続けるあなたは皮膚感覚で、得体のしれない不穏な空気を感じるだろう。
 それは、かつてこの兄と妹が属した家庭で、いったい何があったのか。そしてブランドンが、これほどまでにセックスを求める理由が何なのかが、語られないことにある。
 いったい、ブランドンがセックスを隠れ蓑に、ひた隠しにする本当の〈シェイム〉とは─?その明かされない〈シェイム〉を“感じる”ことができたとき、あなたは他では決して得られない、稀有なる体験をすることになる。全く別の世界の人間だと思っていた男の人生のすべてを、一瞬のうちに覗いてしまうのだ。しかもあなたは〈密かに〉共感さえしてしまうかもしれない。セックスの向こうにやがて浮かび上がる深遠なドラマへの共鳴─。本作の真の衝撃は、ここにある。

全米マスコミから、“アートの扇動者”“恐れ知らずの映画作家”という輝かしい称号を贈られた監督は、スティーヴ・マックィーン。モノクロの短編映画で、優れた現代アートに贈られる権威あるターナー賞を受賞し、初の長編映画『Hunger』では、カンヌ国際映画祭ある視点部門カメラ・ドール(新人賞)を始めとする、数々の賞を受賞した。前作とは180度違う世界を描いた本作でも批評家から大絶賛を浴び、すでに本年度アカデミー賞最有力候補の呼び声が高い。
 ブランドンを演じたのは、『Hunger』にも主演した、『X-MEN:フアースト・ジェネレーション』のマイケル・ファスベンダー。勇気ある挑戦と呼べる演技に、さらに評価が高まっている。儚く美しい傷だらけのエンジェル、シシーには『17歳の肖像』でアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞にノミネートされたキャリー・マリガン。彼女が人生の痛みを告白するかのように歌うジャズの名曲「ニューヨーク・ニューヨーク」には、胸を揺さぶられずにいられない。
 製作は『英国王のスピーチ』でアカデミー賞を受賞したイアン・カニング。マックイーンと共同で脚本を担当したのは、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』の期待のイギリス人脚本家アビ・モーガン。セックスだけなのに、すべてがある─不可思議で激烈な体験を、あなたに─。

ストーリー

男は、自分のマンションに女を呼ぶ。金を払って、これからセックスをするところだ。男は、電車に乗っている。向かいの席の若い女を視線で誘っている。会社から帰宅した男は、テイクアウトのチャイニーズを食べながら、パソコンでアダルトサイトを見ている。別の日、男は真夜中の空き地でセックスをしている。相手はバーで出会った行きずりの女だ。
 そう、この男は、仕事以外の時間のすべてをセックスに費やしている。男の名前は、ブランドン(マイケル・ファスベンダー)。ここニューヨークで働き、会社ではそれなりに成果をあげている。洒落たマンションに一人で暮らし、外見的には魅力的と言っていい独身男性だ。だが、今日もブランドンは、誰かと恋に落ちることも、新しい趣味に目覚めることもなく、ただ黙々と勤勉にセックスと、セックスにまつわることに没頭している。
 そんなブランドンの日常に、突然変化が訪れる。恋人に捨てられた妹のシシー(キャリー・マリガン)が、しばらく泊めてくれと、強引に押しかけてきたのだ。人との繋がりを一切持たず、喜怒哀楽の感情を排して生きてきたブランドン。一方のシシーは、人の愛情に飢え、感情に流され、傷だらけでもがきながら生きている。ブランドンは、そんな妹が煩わしかったが、渋々頼みを聞き入れる。
 だが、シシーの出現のせいで、ブランドンにも捨てたはずの面倒な感情が甦る。上司のデイヴィッド(ジェームズ・バッジ・デール)と、シンガーのシシーの歌を店に聴きに行くと、涙が流れてしまう。
シシーが会ったばかりのデイヴィッドとすぐに寝ると、自分のセックスライフは棚にあげて、怒りにかられてしまう。
 そのデイヴィッドに、会社のパソコンでわいせつ映像を見ていたことがバレて、「完全にイカれている」と吐き捨てられたブランドンは、普通のデートに挑戦する。
 ワインとディナーと会話だけのデートに、同僚のマリアンヌを誘ったのだが、「結婚なんて無意味だ」と口走ってしまう。それでもブランドンは、セックスのないデートを笑顔で終えることに成功する。
 帰宅後、シシーにマスターベーションを見られたことから言い争いになったブランドンは、大量のポルノ雑誌やビデオ、そしてパソコンまでも衝動的に捨ててしまう。その勢いで、翌日の昼間からマリアンヌを川の辺のロマンティックなホテルに誘うブランドン。しかし、ブランドンは恋人同士のセックスができない自分に衝撃を受ける。
 ついにブランドンは、「お前のせいで僕まで堕ちて行く。出て行け」と、シシーに最後通告を突きつける。シシーを置いて、夜の街の妖しいエリアに踏み出すブランドン。そこには、まだブランドンの知らない世界があった。

果たして彼は、堕ちるところまで堕ちるのか?

それとも─。

スタッフ

監督:スティーヴ・マックィーン
製作:イアン・カニング、エミール・シャーマン
製作総指揮:テッサ・ロス、ロバート・ワラク、ピーター・ハムデン 、ティム・ハスラム
脚本:スティーヴ・マックィーン、アビ・モーガン
撮影: ショーン・ボビット
プロダクションデザイン:ジュディ・ベッカー
衣装デザイン: デヴィッド・ロビンソン
編集:ジョー・ウォーカー
音楽:ハリー・エスコット
音楽監修:イアン・ニール

キャスト

マイケル・ファスベンダー
キャリー・マリガン
ジェームズ・バッジ・デール
ルーシー・ウォルターズ
ニコール・ベハーリー

LINK

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