阿部定 最後の七日間
「新釈・四畳半襖の下張り」で演技派女優としての大きな可能性を見せた麻美ゆまと同作の愛染恭子監督によるコンビの復活。
2011年/日本/カラー/HD撮影/キネコ作品/70分/R-18作品 配給:新東宝映画株式会社
2011年7月24日より新宿国際名画座にてロードショー 2011年7月22日より新橋ロマン劇場・シネロマン池袋にてロードショー 2011年6月18日より大阪・天六ユウラクにてロードショー
(C)新東宝映画株式会社/株式会社GPミュージアムソフト
公開初日 2011/06/18
配給会社名 0290/0080
解説
「阿部定事件」とは?
それは昭和11年5月、中野区の料亭吉田屋の住み込み女中であった阿部定(当時32歳)が料亭の主人石田吉蔵(当時42歳)と荒川区尾久の待合「満左喜」におよそ1週間も連泊し続けて情痴のかぎりを尽くし、果てには吉蔵を絞殺したうえにその局部を切り取って逃走したという事件である。
阿部定事件の報道で世間には衝撃が走り、一大センセーションが巻きおこった。あの2・26事件のわずか3ヵ月後のことである。一説には当時の権力が、2・26事件の真実から一般大衆の目をそらせるためにこの事件を利用し、新聞・ラジオなどマスコミの過熱報道を煽ったという。もしそれが真実とすれば、この事件がその後のこの国の歴史におよぼした影響は計り知れないものがあったといえる。
本企画は、その阿部定自身による供述と手記、発言に若干の脚色を加え、彼女が吉蔵と過ごした「最後の七日間」を可能なかぎりリアルに再現しようというものである。
「新釈・四畳半襖の下張り」で演技派女優としての大きな可能性を見せた麻美ゆまと同作の愛染恭子監督によるコンビの復活。
様々な意味で、おそらくいまの日本で麻美ゆま以上に完璧に阿部定をスクリーンで演じてみせることができる女優はいないであろう。それを「エロスの女王」愛染恭子が演出。息の合った見事なコンビネーションで、きわめて魅力的な阿部定像をスクリーンに焼きつけ、人間の弱さ、業、重なりあった偶然(因縁)の不思議な連鎖を描ききった。
過去の綺羅星の如き男性監督(大島渚『愛のコリーダ』、田中昇『実録阿部定』、大林宣彦『SADA』、望月六郎『定の愛』ほか)によるものとはまた違った、よりリアルで女性監督ならではのきめの細かい阿部定像がスクリーンに定着されたといえるだろう。
初めて描かれた真実……阿部定は本当に吉蔵を殺したのか?
戦後になって阿部定はある週刊誌の取材に対し、「今だからこそ言うが、私は吉蔵を殺していません」という内容の発言をしている。この謎めいたコメントの真偽のほどを明らかにする証拠は存在しない。映画は事件当時の阿部定自身の供述をもとに展開するが、戦後のこの阿部定の発言を大胆に解釈した意外なラストを迎える。もしかしたらこれが、はじめて世に明らかにされる阿部定事件の真実かもしれないのだ。
ストーリー
昭和11年5月。阿部定が情夫石田吉蔵殺害と死体損壊の嫌疑で警察の取り調べを受けている。阿部定は犯行に関して肯定も否定もしない。取り調べの刑事は執拗に訊問を続ける。定の口から吉蔵の死とその死体からペニスを切り取るに至る経緯が語られていく。そこには、常軌を逸した快楽に溺れた男と女のすさまじい愛欲模様があった……。
スタッフ
愛染恭子監督作品
製作■山田浩貴/後藤功一
企画■西健二郎/衣川仲人
プロデューサー■森角威之
ラインプロデューサー■泉 知良
脚本■福原 彰
撮影■中尾正人
録音■高島良太
衣裳■野村明子
ヘアメイク■唐沢知子
スチール■中居拳子
助監督■浅木 大
現像■東映ラボ・テック
R−18作品(DVD版はR−15相当)
モノラル(フィルム版)/ステレオ(DVD版)
製作=新東宝映画株式会社/株式会社GPミュージアムソフト
配給=新東宝映画株式会社
キャスト
麻美ゆま(阿部定)
松田信行(石田吉蔵)
佐々木麻由子(石田トク)
飯島大介(大宮五郎)
菅田 俊(浦川刑事)
鶴西大空(宮田刑事)
中谷千絵(女中)
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