原題:Mine vaganti

イタリア映画祭2011上映作品 2010年 第60回ベルリン国際映画祭 パノラマ部門正式出品 2010年 トライベッカ映画祭 審査員特別表彰 2010年 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ(イタリア・アカデミー)賞 最優秀助演女優賞/最優秀助演男優賞 受賞 2010年 イタリア記者連盟シルヴァー・リボン賞 最優秀コメディ賞/最優秀助演女優賞/最優秀助演男優賞/最優秀撮影賞/最優秀主題歌賞 受賞 2010年 グロービ・ドーロ賞 最優秀作品賞/最優秀脚本賞/最優秀撮影賞/最優秀新人女優賞 受賞 2010年 シアトル国際映画祭出品 2010年 モスクワ国際映画祭出品 2010年 シカゴ国際映画祭出品

2010年3月12日(イタリア)

2010年/イタリア/113分/カラー/ドルビーデジタル/シネマスコープ/日本語字幕:関口英子 協力:イタリア文化会館、バリラジャパン株式会社 配給:セテラ・インターナショナル

2011年8月27日、シネスイッチ銀座他にて全国順次公開

(C)Fandango2010

公開初日 2011/08/27

配給会社名 0117

解説


近年、世界の映画祭を賑わすイタリア映画界は、1960年代の黄金期復活の様相を呈している。そのイタリア映画界を支える監督の一人、名匠フェルザン・オズペテク監督の大ヒット話題作が登場する。パスタ会社の新社長となる長男のある告白によって巻き起る大騒動を発端に、家族の深い絆をユーモアたっぷりに描く、笑って泣けるとびきりの感動作。2010年ベルリン国際映画祭パノラマ部門に正式出品され、ロバート・デ・ニーロ主催のトライベッカ映画祭でも上映、マドンナも大絶賛した本作。イタリア映画界のクォリティ、ヴァイタリティ、エネルギーを感じられる見事なエンタテインメントがいよいよ日本公開。

トンマーゾは小説を書いている作家志望の青年。実家は南イタリアの美しい都レッツェにある老舗パスタ工場を営んでいる。長男の兄アントニオが新社長就任となり、共同経営者一族の晩餐会が開かれる。トンマーゾはその席で家族に隠していた秘密を告白しようと考える。実家に戻ったトンマーゾは、①経営学部ではなく文学部を卒業 ②家業を継がずに小説家になる ③実はゲイである の3つの告白を兄アントニオに相談する。ディナーが終わるころ、トンマーゾが告白しようとした矢先、席を立ったアントニオがいきなり「僕はゲイです」とカミングアウトしてしまった。驚天動地、動揺の頂点に上った現社長の父ヴィンチェンツォはアントニオを勘当し、興奮のあまり倒れてしまう。そして、告白もできないまま残されたトンマーゾが共同経営者の娘アルバとパスタ工場を任されることになってしまう…。

コミュニケーション、セクシュアリティなどをモティーフに数々の傑作・佳作を世に送り出してきたフェルザン・オズペテク監督。日本ではカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭でグランプリを受賞した『向かいの窓』など5作品がイタリア映画祭で上映されたり、DVD発売、テレビ放映されている。マドンナから音楽のセンスも「天才」と称賛されるだけあって、選曲も抜群。「50mila」(5万粒の涙〜チンクアンタ ミラ)は本国でも大ヒット曲に。

監督はパスタ会社の大家族のそれぞれが持っている過去、現在、家族の構成をコミカルな語り口で描いていく中で、しっかりとドラマを紡いでいき、観客誰もが自分の人生のバックグラウンドによって様々な感慨を抱かせる。そこから最後の高揚感、ハッピー感、さらには満腹感に収束させるオズペテク監督の剛腕な演出力は見事だ。人は誰でも自分の人生に不安を持つものだが、自分に正直に失敗を恐れずにあしたへチャレンジすることで、自分の幸せは自分で作れるもの。笑いと涙に乗せて家族の深い絆の中で勇気づけてくれる、それが2010年に最も世界中で愛されたイタリア映画『あしたのパスタはアルデンテ』だ。ポスト・アルモドバルとして海外では既に注目されていたオズペテク映画が、ようやく満を持して日本でブレークする日も近い。

出演陣はイタリア映画界が誇るスターや演技派が結集。主役トンマーゾには、イタリア映画界のスーパースターである『輝ける青春』のリッカルド・スカマルチョ。美しい共同経営者の娘アルバに『シチリア!シチリア!』のニコール・グリマウド。兄アントニオに『副王家の一族』のアレッサンドロ・プレツィオージ。父ヴィンチェンツォに本作でダヴィッド・デ・ドナテッロ賞助演男優賞に輝くエンニオ・ファンタスティキーニ。お祖母ちゃんに本作でダヴィッド・デ・ドナテッロ賞助演女優賞受賞のイラリア・オッキーニ。他にも後半の登場だけで強烈なパンチで劇場を爆笑の渦にまきこむ、ローマから訪ねてくるトンマーゾの友人である魅力的なアルデンテ・ボーイズたち。

スタッフには、イタリア映画界を代表するプロデューサーである『シルク』『ゴモラ』のドメニコ・プロカッチ、脚本はフェルザン・オズペテクとイヴァン・コントロネオのコンビ、撮影に『副王家の一族』のマウリツィオ・カルヴェージ、音楽は本作でヨーロッパ映画賞音楽賞候補に挙がった『愛の果てへの旅』のパスクァーレ・カタラーノ、編集は『向かいの窓』などオズペテク組常連のパトリツィオ・マローネ、美術に『ニュー・シネマ・パラダイス』のアンドレア・クリザンティ、衣装に『永遠のマリア・カラス』のアレッサンドロ・ライと、オズペテクの物語世界の面白さと感動を具現化出来るアルティザンが結集している。

ストーリー

南イタリア、プーリア地方の伝統的な美しい町レッチェ。カントーネ家は祖母の代からパスタ会社を経営する名門家族。祖母は義理の弟と一緒にパスタの会社を切り盛りしていたが今は引退し、成就しなかった若き日の恋の思い出にとらわれている。現在の社長は息子に後を継がせて幸せなファミリービジネスを夢見る父親ヴィンチェンツォ。母親ステファニアは、いつも気の利かないお手伝いを大声で叱っている。叔母ルチアーナは独身で、アルコールに依存気味。カントーネ家の子供たち3人は、長男アントニオが父親の片腕となりパスタ会社を手伝ってい、長女エレナの結婚したナポリ出身の婿は頼りなく、パスタ会社で働いているが父親からあまり気に入られていない。そして一家の末っ子、トンマーゾは自由にローマで学生生活を送っていた。

ある日、一家のパスタ会社を息子たちの代と共同経営者とに引き継ぐための重要なディナーが開かれることになり、トンマーゾは久々に故郷レッチェに帰ってきた。そのディナーの席で彼は3つの秘密を家族に発表することを、兄アントニオに打ち明けた。大学は家族の望んでいた経営学部でなく文学部を卒業したこと。そしてパスタ会社を継ぐ気はなく、作家になりたいこと。最後の3つ目は自分がゲイであること。それを告白してさっさとローマに戻ろうと思っていた。ところがディナーの席で、トンマーゾがいよいよ告白しようとした矢先、アントニオが先に「30年間言わずに我慢してきました。僕はゲイです」とカミングアウトをしてしまう。父は驚愕、憤怒のあまりアントニオに勘当宣告したまま卒倒し、家族は大騒ぎに。トンマーゾは告白の機会さえ失い、ローマにも戻れず茫然自失。アントニオの代わりとして父親に懇願されパスタ会社を共同経営者の娘アルバと一緒に任されることになってしまう。

小さな保守的なレッチェの町では噂はすぐに広まり、父親は体面を気にして嘆くばかり。そんなヴィンチェンツォを、うんざりした目で眺め、孫の人格を認めるべきだと理解を示すのが唯一爆弾発言でいつも周りを驚かせるおばあちゃんだった。

ローマに帰れず恋人のマルコに電話で責められ、アルバにも好意を寄せられ、パスタ工場に毎日出勤しなくてはいけないトンマーゾの憂鬱な日々。そんなときローマから彼を訪ねて友人たちがやってきた。個性的な友人たちに家族の混乱は最高潮に・・・。そして、いよいよおばあちゃんは家族たちの眼を開かせるために、ある行動をとることを決心する・・・・。

スタッフ

監督/フェルザン・オズペテク
脚本/イヴァン・コトロネーオ、フェルザン・オズペテク
撮影監督/マウリツィオ・カルヴェージ
編集/パトリツィオ・マローネ
音楽/パスクァーレ・カタラーノ
プロダクション・デザイナー/アンドレア・クリザンティ
衣裳/アレッサンドロ・ライ
プロダクション・スーパーバイザー/クラウディオ・ザンペッティ
ライン・プロデューサー/ジャンルカ・レウリーニ
プロダクション・マネージャー/ロベルト・レオーネ
録音/マルコ・グリッロ
アシスタント・ディレクター/ジャンルカ・マッツェッラ
プロデューサー/ドメニコ・プロカッチ

キャスト

トンマーゾ/リッカルド・スカマルチョ
アルバ/ニコール・グリマウド
アントニオ(兄)/アレッサンドロ・プレツィオージ
ヴィンチェンツォ(父)/エンニオ・ファンタスティキーニ
ステファニア(母)/ルネッタ・サヴィーノ
お祖母ちゃん/イラリア・オッキーニ
ルチアーナ(叔母)/エレナ・ソフィア・リッチ
エレナ(姉)/ビアンカ・ナッピ
サルヴァトーレ(義兄)/マッシミリアーノ・ガッロ
テレザ(お手伝いさん)/パオラ・ミナッチョーニ
ジョヴァンナ(お手伝いさん)/エマヌエーラ・ガブリエリ
若い頃のお祖母ちゃん/カロリーナ・クレシェンティーニ
ニコラ(大叔父)/ジョルジオ・マルケーゼ
ドメニコ(祖父)/マッテオ・ターラント
マルコ(トンマーゾの恋人)/カルミネ・レカーノ
アンドレア(トンマーゾの友人)/ダニエーレ・ペッチ
ダヴィデ(トンマーゾの友人)/ジャンルカ・デ・マルキ
マッシミリアーノ(トンマーゾの友人)/マウロ・ボナッフィーニ
パトリッツア(父の愛人)/ジェア・マルティレ
ブルネッティ(共同経営者)/ジャンカルロ・モンティジェッリ
アントニエッタ(母の知人)/クレシェンツァ・グァルニエーリ 

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