原題:Der rote Baron/The Red Baron

2008年/ドイツ/カラー/106分/ 配給:ブロードメディア・スタジオ

2011年5月21日より丸の内ルーブルほか全国ロードショー

(C)2008 NIAMA-FILM GMBH

公開初日 2011/05/21

配給会社名 0551

解説


ドイツ映画界がハリウッド超大作と見紛うほどの壮大なスケール感をこめて完成させた『レッド・バロン』は、第一次世界大戦中に生まれた“伝説”を今に伝える戦争ドラマである。主人公は、ドイツ軍の第11戦闘機中隊を連合国軍に最も恐れられる飛行隊へと鍛え上げ、自らも敵機、80機を撃ち落とすという前人未到の記録をうち立てた実在の撃墜王マンフレート・フォン・リヒトホーフェン。トレードマークの真紅の戦闘機にちなんで“レッド・バロン(赤い男爵)”と呼ばれた若きパイロットの波乱に満ちた生き様と、その知られざるナイーヴな素顔を無数の複葉機が大空で激闘を繰り広げるダイナミックなスカイ・アクション満載で語り明かす。
 貴族階級の軍人の子としてこの世に生まれ、若くして戦闘機乗りとしての類い希な才能を開花させたリヒトホーフェン。自軍を悩ますイギリス軍のエース・パイロットを撃墜し、軍人最高の栄誉であるプール・ル・メリット勲章を授かった彼は、“レッド・バロン”の異名をヨーロッパ全土に轟かせていく。しかし戦意高揚のプロパガンダをもくろむ最高司令部によって不死身の英雄に祭り上げられたリヒトホーフェンは、度重なる闘いで仲間たちを失い、敵の銃弾を浴びたことで心身共に深く傷つき、戦争そのものに疑念を抱くようになっていく……。

ストーリー







 第一次世界大戦まっただ中の1916年、フランス北部。連合国軍が執り行う葬儀の会場に、突如としてドイツ軍の飛行隊が出現する。隊を率いるのは若き凄腕パイロット、マンフレート・フォン・リヒトホーフェン男爵。大胆な低空飛行で葬儀出席者の肝を冷やした彼の目的は、攻撃を加えることではなく、自分と渡り合って命を落とした敵のパイロットに敬意を表し、追悼の花輪を贈ることだった。颯爽と帰途についたリヒトホーフェンは、奇襲を仕掛けてきた連合国軍の飛行隊と一戦を交え、撃墜したカナダ人パイロットを地上で救助してやる。このとき重傷を負ったパイロットこそは、のちにリヒトホーフェンの好敵手となるロイ・ブラウン大尉だった。

 イギリス軍のエース・パイロット、ラノー・ホーカー少佐を打ち倒して一躍名を上げたリヒトホーフェンは、1917年1月、ドイツ軍最高の栄誉であるプール・ル・メリット勲章を授与された。上層部は全軍の士気高揚のために“英雄”の存在が必要と考え、リヒトホーフェンを第11戦闘機中隊の指揮官に任命。さらに彼の弟ロタールを同じ部隊に配属し、大空を駆けるリヒトホーフェン兄弟の活躍ぶりをプロパガンダに利用していく。その一方で怖いもの知らずのリヒトホーフェンは、「目立ちすぎて敵への不意討ちができなくなってしまう」という仲間の制止を振りきり、自らが乗る戦闘機を真っ赤に塗り上げる。これ以来、連合国軍はリヒトホーフェンを“レッド・バロン”の異名で恐れるようになった。

 そんな死と背中合わせの戦争のさなか、リヒトホーフェンの胸をざわめかせたのは従軍看護師ケイトの存在だった。リヒトホーフェンはかつてブラウン大尉を救出した現場で初めて出会ったときからケイトの美しさに魅了されていたが、なぜか彼女の態度はいつも素っ気ない。戦争の犠牲となった無数の兵士たちを看取ってきたケイトには、まるでスポーツを楽しむかのように敵との殺し合いを繰り返すリヒトホーフェンの真意がまったく理解できなかったのだ。

 その後も敵機を次々と撃破し、連戦連勝の快進撃を続けるリヒトホーフェンは生きる伝説というべきパイロットとなっていった。しかし皇帝ヴィルヘルム2世にもその功績を讃えられる陰で、彼は闘いを重ねるごとに大切な仲間をひとりまたひとりと失う悲しみに胸を締めつけられていた。折しも1917年7月、敵の射撃を浴びて不時着したリヒトホーフェンは、辛くも一命は取り留めたものの頭部に深い傷を負ってしまう。

 病院送りの憂き目に遭ったリヒトホーフェンの心を癒したのは、ケイトの手厚い看護だった。“レッド・バロン”の意外なほど繊細で純粋な一面に触れたケイトは、ディナーの誘いに応じ、彼にダンスの手ほどきをする。そしてレストランからの帰り道に、瀕死の重症患者が多数収容されている野戦病院に彼を案内した。そこで地獄のようなおぞましい光景を目の当たりにしたリヒトホーフェンは、人生観が変わるほどの強烈なショックを受ける。その直後、連合国軍の夜襲に反撃するため出陣した彼は、目眩や吐き気に襲われ、耐え難い敗北感を味わうのだった。

 最高司令部はリヒトホーフェンに空軍の指揮を任せようとするが、彼の心は激しく揺れていた。大怪我を経験したことやケイトとの出会いによって無慈悲な戦争の残酷さを思い知ったリヒトホーフェンは、“英雄”である自分が兵士たちに偽りの希望を与え、勝ち目のない戦争を続けることに疑問を抱くようになったのだ。「降伏すべきだ」と歯に衣着せぬ発言をしたことで司令官の怒りを買った彼は、安全な地上勤務を願うケイトの意に反して飛行隊へと戻っていく。

 そして1918年春、連合国軍に対するドイツ軍の総攻撃作戦が開始された。戦況は、ドイツ軍不利のなか、大局を迎えていた——。

スタッフ

監督・脚本:ニコライ・ミューラーショーン

キャスト

マティアス・シュヴァイクホファー
レナ・ヘディ
ハンノ・コフラー
マキシム・メフメット
ティル・シュヴァイガー
アルバート・フランク
ジョセフ・ファインズ

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