原題:MAHLER AUF DER COUCH

2010年/ドイツ・オーストリア/カラー/102分/ 配給:セテラ・インターナショナル

2011年11月02日よりDVDリリース 2011年4月30日、渋谷・ユーロスペース他 全国順次ロードショー

(C)2010, Pelemele Film, Cult Film, ARD, BR, ORF, Bioskop Film GmbH

公開初日 2011/04/30

配給会社名 0117

解説


天才作曲家マーラーと世紀末ウィーンの女神アルマ
甘美な名曲を生み出した夫婦の愛と情熱の深淵に迫る感動作

1910 年夏、作曲中のマーラーに届いた衝撃的な一通の手紙。そこには、新進の建築家グロピウスから妻アルマへの熱烈な愛が綴られていた・・・。
世紀末ウィーンを代表する後期ロマン派の大作曲家であり、スター指揮者グスタフ・マーラー。その19 歳年下の妻であり、類まれな美貌と音楽的才能で、画家クリムトなど当時の芸術家たちを魅了したアルマ。誰もが羨む理想の夫婦であったが、その年の差と、マーラーがアルマに作曲を禁じたことで生じた亀裂が、愛娘の死によって悪化してしまう。そして、アルマは療養先で知り合った5 歳年下のグロピウスに慰めを求める。その事実に困惑したマーラーは、休暇中の精神分析医フロイトの元を訪れ、アルマとの愛と情熱、希望と苦悩、そして音楽に溢れた人生を語りはじめる…。未完に終わったマーラー最後の楽曲≪交響曲第10 番≫に秘められた真実が今、明かされる。

『バグダッド・カフェ』で世界中を熱狂させたパーシー・アドロン監督最新作
マーラー生誕150年& 没後100年を飾る、究極の音楽映画

名作『バグダッド・カフェ』で夫婦生活に破綻したヒロインの自立と再生を描き、世界中の共感を集めたパーシー・アドロン監督が息子フェリックスとともに、天才作曲家マーラーと美貌の妻アルマの、音楽に秘められた激しくも切ない愛の史実を、叙情豊かな美しい映像とともに新たな解釈で描き出した。天才を愛し、すべてを捧げたひとりの女性の葛藤と決意に、心揺さぶられずにはいられない。
ルキノ・ヴィスコンティの名作『ベニスに死す』の音楽としても名高い、マーラーが“アルマへのラブレター”として作曲したとされる《交響曲第5 番》の美しい「アダージェット」。アルマの不倫に衝撃を受けたマーラーが、不協和音を楽譜に書きつけた《交響曲第10 番》の「アダージョ」。これら2曲の「アダージョ」が夫婦の純愛と苦悩を象徴し、音楽と人生が交差する深遠な領域に誘う。マーラー生誕150 年& 没後100 年を飾る、まったく新しい音楽映画の傑作がついに誕生した。

世紀末ウィーンを見事に再現、壮麗なウィーン国立歌劇場で臨場感溢れる撮影
巨匠エサ=ペッカ・サロネン指揮、スウェーデン放送交響楽団が本作のため特別演奏

マーラー役のヨハネス・ジルバーシュナイダー、アルマ役のバーバラ・ロマーナーは、実在のふたりをまさに体現していると本国で絶賛、『ヒトラーの贋札』のカール・マルコヴィクスもキーパーソンであるフロイトを演じ、緊迫感のある物語にユーモアを添えている。
世紀末ウィーンが忠実に再現され、画家クリムトや指揮者ブルーノ・ワルターといった後に名を残す芸術家が次々と登場。華やかな時代の雰囲気やサロンに集う芸術家たちの交流をリアルに描いている。また、マーラーが音楽監督をつとめた世界三大オペラ座のひとつ、ウィーン国立歌劇場が全面協力。臨場感溢れるオペラ座の舞台裏が撮影された。
そして、映画のシナリオに共感した名匠エサ=ペッカ・サロネンがマーラーの楽曲を指揮、スウェーデン放送交響楽団が本作のために特別録音を行い、楽章を構成する個々の声部を分解・断片化した音楽なども使用。マーラーとアルマの心を感じる、かつてない映画体験がここに実現した。

ストーリー


1910 年、夏—。大作曲家で世界的なスター指揮者のグスタフ・マーラーは、オランダのライデンで休暇を過ごしている精神科医ジークムント・フロイトを訪ねた。19 歳年下で最愛の妻アルマが、5 歳年下の若手建築家ヴァルター・グロピウスと不倫の関係になったことを知り、フロイトに自身の苦しみを打ち明けたのだ。
フロイトは、マーラーにとって妻アルマはどのような存在かと尋ねた。
マーラーは答えた—— 「アルマは相棒、相談役、妻、母親、友人、恋人、ミューズ、自分のすべてだ。」
フロイトは言った——「彼女はあなたの中心点ですね。」
アルマはマーラーにとっての中心点だった。しかし一通の手紙が二人の生活を一変させる——。ある日マーラーはヴァルター・グロピウスという見知らぬ青年から自分宛の手紙を受け取った。それはアルマへの熱烈なラブレターだった。怒りに震えるマーラーはアルマを問い詰めると、アルマはグロピウスとの関係を告白した。
フロイトの診察は「あなたが犯した罪は何ですか」と続いた。マーラーは、不倫の罪を犯したのは妻で、自分に罪はないと怒る。しかし、その質問がどうしても気にかかり、夜中にフロイトの部屋に押しかけたマーラーは、長椅子に横たわり催眠治療を受けることになる。そして、マーラーはアルマと初めて出会った日のことを語り出す。
マーラーとアルマは、作家のベルタ・ツッカーカンドルのサロンで出会った。画家の家に生まれ育ったアルマはサロンの常連で、多くの芸術家に囲まれ、ミューズのオーラを振りまく明るい女性。画家のクリムトやブルク劇場監督のブルクハルトから想いを寄せられ、その奔放さと妖艶さは街でも評判だった。一方、作曲家ツェムリンスキーにピアノと作曲を学ぶ多才で進んだ女性でもあった。
一目でアルマに恋をしたマーラー。音楽監督をしているウィーン宮廷歌劇場へアルマを招待し、舞台裏を案内した。そこには我儘な歌手やダンサーの喧騒、新鋭舞台演出家のロラーらを束ねるオペラ座の音楽監督マーラーの凛々しい姿があった。すぐにアルマもマーラーに魅かれてゆく。
マーラーに求婚されたアルマは、自分は芸術家の娘で、作曲が自分にとって命と同じくらい大切であることを話した。無事に婚約した彼らだったが、婚約中にアルマはマーラーから、“結婚したら作曲を一切やめて、妻として尽くすように”と厳しい手紙を受け取る。生きがいを奪われたことに、絶望して嘆き悲しむアルマであったが、結局マーラーへの愛を理由に条件をのんで結婚する。
そして、二人の娘ができ、幸福で平穏な結婚生活を送っていた。しかし1907 年、マーラーのウィーン宮廷歌劇場音楽監督解任騒ぎがおき、さらに長女プッツィが病気で死んでしまう。二重のショック——とりわけ娘の死が、夫婦の関係に不穏な影を落とす。体調を崩すアルマ。そしてほどなく、アルマとグロピウスの不倫が発覚する。
診察も佳境に差し掛かり、「手紙に対しての奥さんの反応が解決のカギを握る」とフロイトは言うのだった。
マーラーはフロイトの催眠治療で目を背けていた現実と向き合うことになる・・・。

スタッフ

監督:パーシー・アドロン、フェリックス・アドロン

キャスト

ヨハネス・ジルバーシュナイダー
バーバラ・ロマーナー
カール・マルコヴィクス
エーファ・マッテス
レナ・シュトルツェ
フリードリヒ・ミュッケ

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