原題:Away We Go

『アメリカン・ビューティー』の名監督が
自由に、軽やかに、そして心を込めて
紡ぎ上げた珠玉のロードムービー

2009年/アメリカ/98分/カラー/ドルビーデジタル/ビスタ/提供:Focus Features International
配給:フェイス・トゥ・フェイス
宣伝:メゾン

2011年3月19日よりヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次ロードショー

(c) 2009 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

公開初日 2011/03/19

配給会社名 1132

解説


 舞台演出家としての輝かしいキャリアを引っさげて映画界に進出し、デビュー作『アメリカン・ビューティー』でいきなり作品賞、監督賞を含むアカデミー賞5部門を制したサム・メンデス監督。その後もトム・ハンクス主演のギャング映画『ロード・トゥ・パーディション』、湾岸戦争帰還兵の手記を映画化した『ジャーヘッド』という快作を連打したこの名匠は、レオナルド・ディカプリオ&ケイト・ウィンスレットの豪華共演による壮絶な夫婦の葛藤劇『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』でも絶賛を博し、今やハリウッドで最も次なる動向が注目される監督のひとりとなった。
 待望の長編第5作『お家をさがそう』は、そんな映画ファンの期待をポジティブな意味でするりと裏切ってみせるロードムービーだ。どこにでもいるごく普通の30代カップルを主人公にしたこの映画は、決してテーマも映像スタイルも斬新ではない。そればかりか、あらゆるディテールが緻密かつシャープに研ぎ澄まされていた過去4作品のどれともまったく趣の異なる、優しくて温かな一作に仕上がっている。
 『かいじゅうたちのいるところ』の脚本家デイヴ・エガーズが、ヴェンデラ・ヴィーダとともに執筆したオリジナル・ストーリーに感銘を受けたメンデス監督は、真新しい顔ぶれのスタッフ&キャストとの共同作業を志向。ハリウッドの制約を逃れるかのようにスタジオを飛び出して地方ロケを実施し、驚くほどみずみずしく軽やかで、親密な空気感に満ちた映画を撮り上げた。現在のアメリカの映画界では、ポール・トーマス・アンダーソン、コーエン兄弟、スティーヴン・ソダーバーグ、ジョナサン・デミ、ガス・ヴァン・サント、アン・リー、ダーレン・アロノフスキーといったトップクラスの著名監督たちがハリウッド・メジャーに執着せず、インディペンデント的な形態でオリジナリティあふれる映画作りを実践しているが、まさに『お家をさがそう』も彼らと同じ地平に立った作品と言える。その意味において、メンデス監督の“新たなデビュー作”と見なしても差し支えのない必見の1本なのだ。

出産という一大事を控える若きカップルが
“お家さがし”の迷走の果てに見つけた
大切な“幸せのありか”とは?

 コロラド州在住のバートとヴェローナの平穏な同棲生活に、予期せぬ転機が訪れた。それはヴェローナが子供を宿したというよくある話だったが、彼女が妊娠6ヵ月を迎えた頃、ふたりは重大な事実に気づく。もう30代半ばに差し掛かったというのに、自分たちの生活基盤が何ひとつ固まっていないことに! 幸いにも心から愛し合っているバートとヴェローナは、とりあえず“どこに我が家を構えるか”という最も基本的な問題の解決に取り組むことにした。かくしてコロラドを旅立ったふたりは、家庭作りの先輩であり、未来の隣人候補でもある友人&知人たちを訪ねて北米各地を転々とするのだが……。
 人生のパートナーと一緒に“我が家をさがす”という設定は、誰もが実際に経験しうるシチュエーション。しかしプラン通りに事が運ばないのが人生というわけで、バートとヴェローナの旅も迷走に次ぐ迷走を重ねてしまう。アリゾナ、ウィスコンシン、モントリオールなどの訪問先で彼らが目のあたりにするのは、個性が強烈すぎたり、ちょっと屈折した家族の多種多様なありよう。“理想の新天地”を発見するはずの旅の目的は、いつしか“幸せって何だろう?”という大問題へと発展し、バートとヴェローナは哀れなくらい滑稽に、真剣に悩み始める。絶妙なまでにコミカルなエピソードの連続なのに、笑うに笑えないとはまさしくこのこと。なぜならこの若きカップルを困らせる不安や畏れは、私たち観客がいともたやすく共有できる切実な感情なのだから!
 まるでバート&ヴェローナを演じるために生まれてきたかのように相性抜群の新進俳優ジョン・クラシンスキー&マーヤ・ルドルフを得たメンデス監督は、悪戦苦闘を繰り返す男女にとびきり素敵なエンディングを用意した。理想を高く掲げてあまりにも広い北米大陸に飛び出し、周りの出来事ばかりに気を取られていたふたりは、何よりも優先すべき大切なことを忘れていたのだ。この世でたったひとりのパートナーと寄り添い合う若き恋人たちが、ようやく真実に気づく旅の終着点の情景は、その澄みきった美しさともども観る者の心に染み渡るに違いない。
 また『お家をさがそう』に柔らかで清々しい風のような詩情を吹き込んだのは、音楽を手がけたアレクシ・マードックのアコースティック・ナンバーの数々である。映画監督とシンガー・ソングライターのコラボレーションという点では、『イントゥ・ザ・ワイルド』のショーン・ペン監督&エディ・ヴェダーに勝るとも劣らない成果をあげた珠玉作として、多くの観客に記憶されることだろう。

ストーリー




 親友同士のような仲むつまじいカップル、バートとヴェローナにとって、それは思いがけないハプニングだった。想定外のタイミングで子供を授かり、妊娠6ヵ月目を迎えたヴェローナのお腹はすでにふっくら。バートはもうじき生まれてくる女の子をどう育てようかと、あれこれお気楽な空想をめぐらせていた。
 そんなある日、バートの風変わりな両親から「ベルギーに移り住むことにした」と突然告げられ、ふたりは困惑を隠せない。そもそも彼らが今住んでいるコロラド州に引っ越してきたのは、バートの両親が孫の誕生を喜び、何かと面倒を見てくれるだろうと見込んだからだ。コロラドに住み続ける理由をなくし、グチをこぼしながら帰宅したバートとヴェローナは、まだ生活の基盤を何ひとつ築けていない自分たちの現状に不安を抱き、理想の新天地を探す旅に出ることを決める。会社勤めをしているわけでもない彼らは“自由”の身であり、どこに住むかの選択肢も“無限”にあるのだから!

〈フェニックス〉

 最初の訪問地はアリゾナ州フェニックス。この街には、ヴェローナがかつて勤めていた会社の元上司リリーが住んでいる。
 空港でやたら声のでかいリリーの出迎えを受けたバートとヴェローナは、彼女の案内でドッグレースの見物に繰り出した。しかし妙にむっつりとしたリリーの夫ローウェル、異様に無口なふたりの子供と過ごしたその一日は何も収穫を得られず、ふたりは早々にフェニックスを去ることにした。

〈ツーソン〉

 レンタカーに乗ったふたりは、第2の訪問地のアリゾナ州ツーソンに移動した。ヴェローナは唯一の肉親である妹グレイスとホテルのロビーで落ち合い、ずっと前に他界した両親の思い出を語り合う。サウスカロライナの実家で過ごした懐かしいあの頃が脳裏に甦り、ヴェローナはちょっぴりセンチメンタルになった。
 バートは、まだ春だというのに真夏のように暑く、あちこちにサボテンが生えているツーソンの気候にうんざり気味だ。航空会社の人にいくら説明してもヴェローナが妊娠6ヵ月だと信じてもらえず、「8ヵ月以降の妊婦は飛行機に乗れません」と言い張られたふたりは、寝台列車で旅を続けることにした。

〈マディソン〉

 第3の訪問地ウィスコンシン州マディソンには、バートの幼なじみの女性LNが住んでいた。LNの自宅に招かれたバートとヴェローナは、幼い子供ふたりの育児をしながら大学で働いているLNに赤い乳母車をプレゼントしようとするが、なぜか彼女は恐ろしい魔物でも見たかのようにその贈り物を拒絶する。
 ディナーの雰囲気は最悪だった。東洋神秘かぶれのLNとそのパートナー、ロデリックの迷惑な説教に辟易したふたりは、ひとまずアメリカを脱出することにした。

〈モントリオール〉

 バートとヴェローナは、第4の訪問地であるカナダのモントリオールでついに理想の家族の形を発見した。大学時代のクラスメート、トムとマンチは高級住宅街に立派な邸宅を構え、人種の異なる4人の養子と暮らしている。テレビ画面に『サウンド・オブ・ミュージック』が流れるリビングルームは、いかにも家族らしい温もりと活気に満ちあふれていた。
 「ここに住もう!」と大いに乗り気になったバートとヴェローナは、モントリオールのナイトスポットに繰り出す。ところが理想の夫婦に思えたトムとマンチの知られざるダークサイドを覗いてしまい、居たたまれない気分になってしまう。そこにバートの兄コートニーから切迫した電話がかかってきた。

〈マイアミ〉

 予定外の第5の訪問地フロリダ州マイアミでは、コートニーが家庭崩壊の危機に直面していた。幼いひとり娘に妻ヘレナが家出した事実を打ち明けられないコートニーは、一家の主としての自信をすっかり喪失していた。
 愛とは、家族とは、そして幸せとは何だろう。その夜、自分たちの“居場所”がどこにあるのかまったくわからなくなったバートは、「僕とお腹の子を捨てないと約束してくれ」とヴェローナに懇願する。「ええ、誓うわ」。そう答えたヴェローナは翌朝、なぜかサウスカロライナの実家にあったオレンジの木を思い出すのだった。

〈サウスカロライナ〉

 マイアミを発ったふたりは、ヴェローナの出身地サウスカロライナにやってきた。ここには売りに出さず、空き家のまま残された実家が水辺にひっそりと佇ずんでいる。いくぶん緊張の面持ちで車を降り、おそるおそる玄関の鍵を開けるバートとヴェローナ。はたしてこの古めかしくも美しい家は、さまよえる恋人たちを迎え入れてくれるのだろうか……?

スタッフ

監督:サム・メンデス
脚本:デイヴ・エガーズ&ヴェンデラ・ヴィーダ
プロデューサー:エドワード・サクソン、マーク・タートルトーブ、ピーター・サラフ
エグゼクティブ・プロデューサー:マリ・ジョー・ウィンクラー=イヨフレダ、ピッパ・ハリス
撮影監督:エレン・クラス、ASC
プロダクション・デザイナー:ジェス・ゴンコール
編集:サラ・フラック A.C.E.
衣装:ジョン・ダン
音楽:アレクシ・マードック
キャスティング:エレン・ルイス&デブラ・ゼイン C.S.A.

キャスト

バート:ジョン・クラシンスキー
ヴェローナ:マーヤ・ルドルフ
グレイス:カルメン・イジョゴ
グロリア:キャサリン・オハラ
ジェリー:ジェフ・ダニエルズ
リリー:アリソン・ジャネイ
ローウェル:ジム・ガフィガン
LN:マギー・ギレンホール
ロデリック:ジョシュ・ハミルトン
トム:クリス・メッシーナ
マンチ:メラニー・リンスキー
コートニー:ポール・シュナイダー

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