原題:Taking Woodstock

名匠アン・リーが“奇跡の3日間”への道のりを、
眩い輝きをこめて紡ぐ青春トゥルー・ストーリー

2009年/アメリカ/121分/カラー/ドルビーデジタル/ビスタ/字幕翻訳:佐藤真紀
配給:フェイス・トゥ・フェイス

2011年1月15日よりヒューマントラストシネマ渋谷にてロードショー

(c) 2009 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

公開初日 2011/01/15

配給会社名 1132

解説


〈名匠アン・リーが“奇跡の3日間”への道のりを、眩い輝きをこめて紡ぐ青春トゥルー・ストーリー〉

 全米が、そして世界中の人々が、アポロ11号の月面着陸に夢中になった1969年の夏、永遠に語り継がれるであろうもうひとつの歴史的な出来事がアメリカで実現した。同年8月15日〜17日の3日間に渡って開催されたウッドストック・フェスティバル。ジャニス・ジョプリン、グレイトフル・デッド、ザ・フー、ジミ・ヘンドリックスなど30組以上の豪華ミュージシャンが出演したこの大規模な野外コンサートは、約50万人という想像を絶する観客動員数もさることながら、カウンター・カルチャーの時代を象徴するビッグ・イベントとしてロック史の枠を超えた伝説となった。泥沼化するベトナム戦争や人種差別など、さまざまな矛盾が噴出した当時のアメリカを生きる若者たちが、音楽を通して新たな価値観とライフスタイルを共有し、ありったけのエネルギーを燃焼させたのだ。その模様はマイケル・ウォドレーが監督を務め、若き日のマーティン・スコセッシが編集を担当した傑作ドキュメンタリー『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』(70)に余すところなく収められている。
 『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー監督賞に輝いた名匠アン・リーが、ウッドストック40周年にあたる2009年に完成させた最新作『ウッドストックがやってくる!』は、この音楽フェスティバルをまったく新しい視点で捉え、開幕前夜の波乱に満ちた秘話を語り明かす青春映画である。主人公は、本作の原作となったノンフィクション「ウッドストックがやってくる」の著者エリオット・タイバー。めくるめく奇跡としか言いようがないほど劇的なそのトゥルー・ストーリーは、1969年7月15日、34歳の負け犬青年エリオットがある新聞記事に目を留めたところから始まる。
 別の町で開催される予定だったウッドストック・フェスティバルが、住民の反対で宙に浮いたと知ったエリオットは、地元のニューヨーク州ホワイトレイクに誘致しようと働きかける。視察にやってきた主催者のマイケル・ラングは、近郊の町ベセルの牧場をコンサート会場に造り変え、エリオットの両親が営むモーテルに運営本部を設置することを即断。フェスティバル初日までの一ヵ月間、スタッフのサポート、地元住民やマスコミへの対応に大忙しのエリオットは、やがて未知の感情に激しく揺り動かされていく。それはずっと虚しい人生を送ってきたエリオットが、自分の新たな可能性を発見していく“自由”という名の革命だった……。

〈40年の時を超えて現代人の心に響く、若者の“自由”と“変革”のメッセージ〉

 驚くべきことに『ウッドストックがやってくる!』には、会場ステージでの演奏シーンの記録映像や再現映像が一切盛り込まれていない。あくまでアン・リー監督が描こうとするのは、何の準備もなく世紀のイベントに重要な裏方として参加し、嵐のような日々にのみ込まれていく主人公エリオットとその家族の物語。ウッドストック・フェスティバルの真実を運営サイドから覗き込む発想の面白さもさることながら、エリオットがスタッフや来場客との幾多の出会いを経験し、自らも新たな旅立ちを決意していくドラマが深い感動を呼び起こす。そこにこめられた“自由”や“内なる変革”といった普遍的なテーマこそ、リー監督が現代の観客に伝えようとしたメッセージと言えよう。
 また、ニューヨーク州ウッドストックで実施されたと思われがちなこのフェスティバルが、なぜベセルという別の町の牧場で催されたのかという経緯など、伝説のさまざまなトリビアが織り交ぜらてれいる点も興味深い。若き主催者マイケル・ラング、彼に牧場を提供したマックス・ヤスガーといった実在の人物を俳優たちが演じ、緻密な時代考証でヒッピーの奔放な文化や生態を再現するなど見どころは尽きない。マルチ画面の手法を導入し、いつになくユーモラスかつおおらかなリー監督の語り口も冴え渡り、まさしく眩いほどラブ&ピースの精神に彩られた爽快な一作となった。
 怒濤の自分探しを繰り広げるエリオット役に抜擢され、ナイーブな魅力を発揮したのは、これが本格的な映画デビュー作となったスタンダップ・コメディアンのディミトリ・マーティン。エリオットの両親ジェイクとソニアを、共にイギリスの映画&演劇界で活躍するベテランのヘンリー・グッドマンとイメルダ・スタウントンが演じている。『アメリカン・パイ』シリーズや『みんなのうた』の曲者ユージン・レヴィ、さらに『イントゥ・ザ・ワイルド』のエミール・ハーシュ、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のポール・ダノという若手実力派が意外な役どころで登場するのも見逃せない。
 アン・リー監督の過去10本の長編に携わってきたジェームズ・シェイマスが、今回もプロデューサー&脚本家を兼任。そのほか『モーターサイクル・ダイヤリーズ』『イントゥ・ザ・ワイルド』の雄大な映像美で名高い撮影監督エリック・ゴーティエ、一連のティム・バートン監督作品でおなじみの名作曲家ダニー・エルフマンらの一流スタッフが、リー監督の新たな挑戦をがっちりと盛り立てている。

ストーリー



 テレビが盛んにベトナム戦争やアポロ11号関連のニュースを伝えている1969年の夏。ユダヤ系移民の家庭に生まれた青年エリオット・タイバーは、すっかり負け犬人生に馴染んでいた。グリニッジ・ヴィレッジのデザイナーとして成功した彼は、絵画の才能にも恵まれていたが、ニューヨーク州ホワイトレイクの実家で“エル・モナコ”という古びたモーテルを営む両親が悩みの種。かんしゃく持ちの母ソニアといつもぼんやりしている父ジェイクをどうしても見捨てることができないエリオットは、家業の手伝いに束縛される毎日に息苦しさを感じながらも、今日も銀行に出向いて借金返済の猶予を頼み込んでいた。34歳の若さで地元商工会の会長職も任されている彼のせめてもの願いは、大好きな音楽を生かして町興しをすることだった。
 7月15日、エリオットの目に飛び込んできたのは、ウォールキルの町で行われるはずだったウッドストック・フェスティバルの開催許可が取り下げられたという新聞記事だった。この巨大な野外コンサートをホワイトレイクに招こうと考えたエリオットは、ウッドストック事務局に電話をかけ、すぐさまヘリコプターで視察に現れた若き主催者マイケル・ラングと意気投合する。“エル・モナコ”から3キロほど離れた町ベセルにある牧場をひと目で気に入ったラングは、コンサートの意義に理解を示すオーナーのマックスと交渉し、広大な草原をコンサート会場として借り受ける契約を締結。さらに運営組織の本部を“エル・モナコ”に設置することも決定する。かくしてジャニス・ジョプリン、グレイトフル・デッド、ジョーン・バエズ、サンタナ、ジェファーソン・エアプレイン、ザ・フー、ジミ・ヘンドリックスらのそうそうたる大物ミュージシャンが参加する夢のようなフェスティバルの誘致が、誰も予想しないほどのスピードで実現した。
 ところがそのニュースが新聞で報じられると、ヒッピーに町を荒らされることを恐れた地元住民が一斉に反発。行きつけのダイナーに立ち寄ったエリオットは「恥を知れ!」と、こっぴどく罵倒されてしまう。その一方でベトナム帰還兵の親友ビリー、前衛劇団の座長デヴォン、女装趣味を持つ元海兵隊員ヴィルマらの積極的な協力がエリオットを勇気づけていく。
 “エル・モナコ”が大勢のスタッフでごった返すなか、施設を調べにやってきた役所への対応に頭を悩ますエリオットは、ラングからマスコミ向けのイメージアップ対策まで依頼されててんてこ舞い。その頃、マックスの牧場ではステージの設営作業が急ピッチで進められていた。やがてフェスティバル初日の8月15日が目前に迫ると、いつもは狂騒とは無縁のホワイトレイクののどかな風景はがらっと一変。州警察は大渋滞で麻痺した高速道路の緊急閉鎖を発表し、テレビ・レポーターは「すでに50万人の若者たちが集まっており、さらに100万人が足止めされています!」と報じた。これは事務局の動員予測をはるかに上回る驚きの数字だった。
 そしてついに訪れた8月15日、“エル・モナコ”の近くの湖は一糸纏わぬヒッピーたちであふれ、さながらヌーディスト・ビーチと化していた。そのほとりで耳を澄ますと、マックスの牧場の方角からかすかに演奏が聞こえてくる。いよいよ3日間に渡る歴史的なフェスティバルが開幕したのだ。ずっと不眠不休で働いて疲れ果てているはずなのに、なぜか清々しい笑みを浮かべている父ジェイクから「仕事はいいから、お前も行ってこい。コンサートをその目で見てくるんだ」と背中を押されたエリオットは、会場に向かって歩き出す。
 会場へとつづく道は、全米各地から殺到した無数の人々と車やバイクでぎっしりと埋め尽くされていた。この瞬間の歓びを謳歌しようと、愛や平和を語らい、音楽に身を躍らせる若者たち。時代のただならぬ高揚感を肌で感じとり初めて自由への憧れを抱くようになったジェイクの心にも、今まさに“革命”が起ころうとしていた……。

スタッフ

監督:アン・リー
脚本:ジェームズ・シェイマス
プロデューサー:ジェームズ・シェイマス、アン・リー、セリア・コスタス
マイケル・ハウスマン(製作)
原作:エリオット・タイバー 共同著者:トム・モンテ
撮影監督:エリック・ゴーティエ AFC
プロダクション・デザイナー:デヴィッド・グロップマン
編集:ティム・スクワイアズ A.C.E.
音楽:ダニー・エルフマン
衣装:ジョセフ・G・アウリシ
キャスト:アヴィ・カフマン C.S.A.

キャスト

ディミトリ・マーティン(エリオット・タイチバーグ)
ダン・フォグラー(デヴォン)
ヘンリー・グッドマン(ジェイク・タイチバーグ)
ジョナサン・グロフ(マイケル・ラング)
ユージン・レヴィ(マックス・ヤスガー)
ジェフリー・ディーン・モーガン(ダン)
イメルダ・スタウントン(ソニア・タイシュバーグ)
ポール・ダノ(フォルクス・ワーゲン 男)
ケリ・ガーナー(フォルクス・ワーゲン 女)
メイミー・ガマー(ティーシャ)
エミール・ハーシュ(ビリー)
リーヴ・シュレイバー(ヴィルマ)

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