わさお

今も昔も変わらず日本人に愛され続けている映画のジャンルがある。ズバリ「犬モノ」だ。
ここ１、２年を見るだけでも『スノープリンス』『ウルルの森の物語』『いぬばか』『幼獣マメシバ』『犬の私の１０の約束』と多くの犬モノ映画が製作されてきた。興行収入１００億円を稼ぎ出した『南極物語』を筆頭に『ハチ公物語』（34億円）『マリと子犬の物語』(32億円)『クイール』（22億円）『マリリンに逢いたい』(19億円)というような　邦画の歴代興行収入記録に名を残す大ヒット作品が多いのも事実である。前述の『ハチ公物語』をハリウッドでリメイクした『HACHI　約束の犬』が洋の東西という垣根を越えて大ヒットしたことは記憶に新しい。

そして今ここに誕生する映画が『わさお』。このわさお、とあるブログに登場するや瞬く間にネットで話題となり、現在公式ブログは毎日10,000ＰＶ以上（ページビュー：ページ閲覧数）という非常に高い注目度に。さらにネットを飛び出し2008・9年には「anan」から「DIME」までの数十誌ちかい雑誌と「朝日」「読売」「毎日」ほか各誌が特集を組み、ローカル、全国あわせて５０もの番組でＴＶ各局に登場。写真集はあっっという間に１万部と突破。注目度は2010年にはさらに加速し、毎週のように全国TVに登場する話題犬である。いまや休日ともなると現地では訪れる観光客によるわさお渋滞まで起きるまでとなった。

ところが、今のような人気犬になるまでにわさおに何があったのか、ほんの一握りの人以外はその過去を知らない。例えば、わさおは現在の飼い主菊谷さんの元で生まれ育ったわけではない。鯵ヶ沢の港を彷徨っていて保険所に連れて行かれそうになったところを救われたこともあるのである。過去に、捨てられ彷徨った悲しい記憶も待ちながら、稀有なまでに表情豊かで、誰もが好きになるわさおである。

もの言わぬ犬だからこそ伝わる心の道筋は純粋で見るものの胸を打つ。ただし、これは映画であり、実話を忠実になぞって再現ドラマ化するのではない。前述の作品と同様に、基本となる骨子、伝えたいテーマをしっかり押さえた上で、ときにより判り易く、ときによりドラマティックに創意装飾して映画としている。

映画『わさお』は、わさおがブサかわ犬として注目度抜群となるまでの歴史を紐解き、そのエッセンスを抽出した上で、老若男女問わずに「わさお」の魅力に引き込まれ感動しまくりの、ファミリー映画の決定版になることでしょう。