ダーク・フェアリー

『ヘルボーイ』シリーズ、『パンズ・ラビリンス』の鬼才ギレルモ・デル・トロが、映画監督を目指したときから、いつか絶対に映画化したいと熱望していた念願の企画を自らの脚本とプロデュースでついに実現させた。それは、あまりの恐さに、観た者の多くがトラウマを抱えて語り草となった伝説の傑作ＴＶムービー「地下室の魔物」（73）の完全リメイク。欧米に伝わる、子供の歯を抜いて食べる邪悪な妖精“トゥースフェアリー”をモチーフにおぞましい語り口で紡がれる＜背筋も凍るおとぎ話＞にして、かつてないスリルと戦慄に満ちた、切なくて、恐ろしい極上のショッキング・スリラー。2011年8月26日に全米2780館で封切られたのを皮切りに、世界各国で絶賛を浴びてスマッシュ・ヒットを記録している話題の最新作である。
　
ロードアイランド州プロヴィデンスの郊外。建築家のアレックスは、助手にして若き恋人キムと共に、歴史あるビクトリア調の古い屋敷の修復に取り組んでいた。彼はロサンゼルスで別れた妻と暮らす一人娘サリーを呼び寄せ、屋敷で一緒に暮らすことにする。サリーは両親の離婚で心を閉ざし、妻が手を焼いて手放したのだった。キムはそんなサリーに優しく接し、彼女の傷をいやそうとする。だが、その屋敷の地下室には幼い子供を襲って歯を喰う、太古からの魔物たちが封印されていた。やがて禁断の扉の封印は解かれ、暗闇の奥からおびただしい数の邪悪な群れがサリーを狙って迫り来る。絶体絶命のサリーを、キムは命がけで守ろうとするが…。
出演は、父親アレックスの恋人でサリーを救うために命をかけるキムに、トム・クルーズの愛妻としても知られる『バットマン・ビギンズ』『エイプリルの七面鳥』のケイティ・ホームズ、父親アレックスには、『L.A.コンフィデンシャル』『英国王のスピーチ』の名優ガイ・ピアース、そして、主人公の少女サリーを、ハリウッド現役子役の中でも、今最も演技力のある天才少女として注目されている“ハリウッドの芦田愛菜”こと、『マイ・ブラザー』『テラビシアにかける橋』のベイリー・マディソン。ベイリーの映画史上最高デシベルといわれる悲鳴と絶叫での大熱演は必見である。その他、『オーストラリア』『小さな村のダンサー』のジャック・トンプソン、『もういちど』『ウルヴァリン：X-MEN ZERO』のジュリア・ブレイク、『シャイン』『ダーク・シティ』のニコラス・ベル、『ピクニッatハンギング・ロック』『ムーラン・ルージュ』のギャリー・マクドナルドといった名優たちがズラリと顔を揃え脇を固める。

監督はデル・トロが発見した新たなる才能、「BATMAN」シリーズなどの作画を手掛ける人気コミック・アーティストにして、初監督した短編映画「LatchKey’s Lament」が高い評価を受けてすでに＜第2のティム・バートン＞の称号も得ているトロイ・ニクシー。ナイジェル・マッキーンドによるＴＶムービー用のオリジナルの脚本を原案に、デル・トロと共に脚色したのは、『続・激突！カージャック』の脚本や『ニューヨーク東８番街の奇跡』の監督、脚本を手掛けたベテラン、マシュー・ロビンス。デル・トロと並んで製作を担当したのは『ナルニア国物語』３部作や『きみに読む物語』の大プロデューサー、マーク・ジョンソン。奥行きのあるゴシック調の映像を見事に実現させた撮影監督は『サイダーハウス・ルール』『シッピング・ニュース』のオリヴァー・ステイプルトン。スケール感のある屋敷をはじめ、豪華なセットを手掛けたプロダクション・デザイナーは『ベイブ』『ナルニア国物語／第１章：ライオンと魔女』のロジャー・フォード。絶妙なテンポを生み出す編集は『ムーラン・ルージュ』『エリザベス』のジル・ビルコック、重厚かつスリリングなスコアの数々の作曲・演奏を『ヘルボーイ』『ハート・ロッカー』のマルコ・ベルトラミとバック・サンダースのコンビが手がけるなど、超一流のスタッフがこの1作に集結し、完璧なチームワークで最高の恐怖と戦慄を見事に造形している