原題:L'iceberg

2006 年ボゴタ映画祭最優秀作品賞、キエフ映画祭最優秀作品賞・主演女優賞、シアトル映画祭主演女優賞

2006 年ベルギー・フランス合作ベルギー映画/製作= Courage mon Amour / 35mm、全5 巻、2,394M、1 時間27 分、1x1.85、Dolby digital、/字幕 松岡葉子/ 配給:フランス映画社

2010年7月31日(土)より、日比谷 TOHOシネマズ シャンテにて公開、全国順次

(C)COURAGE MON AMOUR FILMS ,R.T.B.F.,FAG PROD. 2005 (C)フランス映画社

公開初日 2010/07/31

配給会社名 0094

解説

「アイスバーグ!」は愛のおとぎ話。
ふとしたことで夫や子供たちとの愛の欠如にきづいたヒロインの物語だが、そこに一転、画家マグリットの世界にも通じる突飛もない飛躍を加え、ヒロインが氷への愛にめざめ、アイスバーグ(氷山)をめざして旅にでるという展開へ。しかもそんな物語を、セリフの助けなしに、ギャグの連続で描いていく、サイレント・タッチ・アクション・コメディーだ。
冒頭で登場するイヌイット女性が次にどこで登場するかがお楽しみだが、ブリュッセル近郊の物語に入って以後、ギャグで物語が展開するのでどのカットも目がはなせない。冷凍室に入ってしまう展開や、無言で無関心な家族の朝食、シーツで悪夢を描いて氷山の形まで見せる姿などの前半から、フランスの港町バルフルールでのタイタニック号(!)とその船長ルネとの出会い、そしていよいよタイタニック号での冒険に旅立つ後半では体技アクション・ギャグをも加味して、全編ギャグが満載だ。
監督、主演、製作、脚本、なんでもやります!のアベル&ゴードン。ドミニク・アベルはブリュッセル生まれのベルギー人、フィオナ・ゴードンはオーストラリア生まれのカナダ人で、二人は80年代にパリで出会い、舞台の道化師(クラウン)として修練を積み、90年代に、同じく道化師出身のブルーノ・ロミと短編映画を作り、06年にこの長編第1作「アイスバーグ!」を発表した。道化師が作った変わった喜劇として注目されただけでなく、セリフにたよらない、体で表現するギャグの連続、繊細で詩的な昇華、これこそは映画初期のサイレント・コメディー、あのチャップリンやキートン、ローレル&ハーディらが切り開いた映画の豊かな源流につながり、マルクス兄弟のハーポ、ジャック・タチ、ピエール・エテックスに継がれたものの、今や絶滅中と見えるコメディーの鮮やかな復活と歓迎された。

アベル&ゴードンが映画をつくるために起こした製作会社の名は”クーラージュ・モナムール(愛する人よ、がんばって)”。長編第1作「アイスバーグ!」は、まだ無名で業界のツテもなく、出品できる映画祭にはどこにでもと小クラス映画祭に参加しつづけるうちに、フランスの大手MK2が着目して「アイスバーグ!」をフランスで一般公開し、続く新作では共同出資による合作として「ルンバ!」を完成している。
最後に流れる曲は、才人リュレイによる作詞・作曲・歌で、題名は。英語とフランス語をおりまぜ、イヌイットとフランス語の、ほかのどこにもないを意味する”イヌイ”を造語でおりこんでいる。
セカイ ハ ナント ウツクシイ / キレイナ ハナ ニ ミチミチテ /ミズウミ キツツキ ウミ ・・・ ムゲン ノ ヒロガリ /
ワタシ ノ メ ハ ヨロコビ ノ ナミダ デ / ムゲン ノ セカイ ヲミツメマス /
ホカノ ドコニモナイ イヌイット イヌイット ・・・

ストーリー

イヌイットの女性が語りかける。”私はイヌクティトゥット語を話せる最後の人間。
もうすぐ生まれる子供と、夫にもこの言葉を教えたい。私がどのように夫と出会ったかお話ししましょう・・・”。
ブリュッセル近郊。フィオナは近所のバーガーショップで働く主婦。ある夜遅く、一人で勤務している途中うっかり冷凍室に閉じ込められてしまう。次の日店員に発見され九死に一生を得るものの、夫のジュリアンも子供たちも家族の誰一人、自分の危険どころか不在にすら気付かず大ショック!
フィオナは次第に冷たいもの、氷への憧れを抱きはじめ、ついにある日、バーガーショップに納品に来た冷凍車に乗り込んで、氷をめざす旅に出発する。アフリカ難民たちと一緒にフランス国境へ。検問をパスし、老人の集団におし流されてバスに乗り、たどり着くのはフランス西北端の海辺の町バルフルール。
一方ようやく妻の不在にめざめたジュリアンは、がむしゃらに彼女を捜し始める。
バルフルールでは親切なフェルナンドおばさんのもとで、少女のような明るさを取り戻すフィオナ。小さな舟<タイタニック号>と寡黙な船長ルネが、自分をアイスバーグ(氷山)につれていってくれるよう、フィオナは絵を描いてルネに訴える。
ジュリアンはフィオナから届いた絵はがきの消印を見てバルフルールの役場に電話して、バルフルールで彼女を見つけ出し、ムリヤリに家に連れ戻すが、彼女はただちに脱走し、ルネのもとに戻る。
フィオナとルネはタイタニック号で出発し、執念に燃えるジュリアンが追って、アイスバーグをめざす3人の海の旅が始まる・・・。

スタッフ

監督・脚本:ドミニク・アベル、フィオナ・ゴードン、ブルーノ・ロミ
撮影:セバスチアン・ケッペル
美術:ローラ・クーデール
メークアップ:ナタリー・ド・ヘン
サウンド:フレッド・ミールト、クリスチャン・マナイム
編集:サンドリーヌ・デーゲン
音楽:ジャック・リュレイ
助監督:ジュリアン・シガラス
製作:Courage mon Amour

キャスト

フィオナ:フィオナ・ゴードン
ジュリアン:ドミニク・アベル
娘:オルフェリー・ルソー
息子:ロバン・グーピル
イヌイットの女性ナティクトゥク:リュシー・チュルガルジュク
タイタニック号の船長ルネ:フィリップ・マルツ
バルフルールのフェルナンドおばさん:テレーズ・フィシェ
バルフルールのアキレス:ジョルジュ・ジョール
バルフルールのカフェの主人ジョルジュ:ブルーノ・ロミ
バルフルールの市長、レオン:ルイ・ルクーヴルール

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