2009年/日本/カラー/118分/ 配給:ゴー・シネマ

2009年8月22日(土)より、渋谷東急他にて全国公開

(C)『8月のシンフォニー』製作委員会

公開初日 2009/08/22

配給会社名 0943

解説


“路上の天使”と呼ばれたシンガーソングライター・川嶋あい。
彼女は「1000回の路上ライブ」、「手売りでのCD発売5000枚」、「渋谷公会堂でのライブ」と、3つの大きな目標を掲げ、渋谷での路上ライブをベースに活動をしていた。生い立ちや、本格デビューするまでの道のりは「本当?作り話じゃないの?」と耳を疑いたくなるようなストーリーである。
その川嶋あいの手記『最後の言葉』をもとに、彼女を見出した青年社長や、サポートした学生スタッフらとの青春群像劇として物語を再構築し、友情、愛、ひたむきに生きる姿勢、そして若者たちの情熱——。これらの普遍的なテーマを、観る人の心の琴線に触れる映像作品に昇華させたのが『8月のシンフォニー』だ。
制作過程において、リアル・キャラ、日常芝居、音楽モノ、モブキャラ(役名のない、雑多なキャラクター)多数、というアニメーションにおける四大鬼門を真正面から突破した監督は西澤昭男。本編中、川嶋あいの楽曲が多数使用され、しかもそのほとんどがBGMではなく、歌唱ないしは演奏シーンとして登場。当然にアニメーションとしては<難工事>のシーンのオンパレードであるが、「“アニメ”としてではなく、映画として観てもらいたい。」という一心で敢えて困難に挑んだのである。
西澤は前々作『NITABOH』ではSICAF(ソウル国際アニメーション映画祭)でグランプリを受賞し、前作『ふるさと-JAPAN』でもリヨン・アジア映画祭でグランプリを受賞した実績を持つ。その彼が、本作でも“人と人の絆”を、そして“人間の素晴らしさ”を前作を凌ぐリアリティあふれる表現手法で描いていく。
そんな西澤の表現ニーズに応えた制作スタジオは、やはり『NITABOH』・『ふるさと-JAPAN』を幾多のハードルを乗り越えて完成させたワオワールド。本作では、前作で活躍したスタッフにさらに強力メンバーを加え、全く新たな制作手法に取り組んだ。例えば、本作のCG・作画作業のために、渋谷公会堂で川嶋あいの本物のライブを開催したり、多くの日常芝居のシーンを劇団員により実演し、これを実写撮影・編集してからコンテに取り組むなど、アニメーション作品としては、前代未聞の徹底したリアリティの追求ぶりである。
ここに手描きアニメ(作画)に実写、CGを融合し、“アニメ”を超えたアニメーション映画、感動の120分が完成した。

ストーリー


たった1人の家族である母との、「歌手になる」という夢を果たすため、福岡から高校入学時に単身上京してきた少女——「アイ」。しかし現実は厳しく、デビューどころか事務所さえもクビになってしまう。挫折しそうになっては、母に電話し、そのたびに励まされるアイ。

彼女は歌手への道を切り開くために、渋谷でストリートミュージシャンとして活動を始める。誰も立ち止まってくれない孤独さの中で夢に迷いを抱きながらも、自分を奮い立たせようと、彼女はひとつの目標を定めた。「路上ライブを1000回やろう」——と。

そして、2002年春のある日。雨が降ってきたので、やむなく渋谷の地下街で歌い始めたアイ。やはり雨が降ってきたので、たまたま地下街を歩いてきた秋葉社長と学生カンファランスのメンバー。ふと、聞こえてきた歌声に思わず引き寄せられる秋葉社長、そして学生達。これがアイと彼らの運命的な出逢いとなる。

秋葉社長と学生達は、アイのひたむきな姿勢に心を打たれ、路上ライブのサポートを始める。ビラ配りや路上での呼びかけに精力的に取り組み、少しでも観客を増やそうとする学生達。さらには自主制作CDの販売を積極的に行い、活動資金を獲得する努力も惜しまなかった。こうして、彼らはアイの<路上ライブ1000回>の目標と、歌手になる夢の実現に向けて情熱を傾けていった。

だが、専門的な音楽の知識を持たない学生達のサポート活動は、毎日が試行錯誤の連続だった。駅前交番の巡査からも何度も注意を受け、路上ライブを中断することもしばしばあった。多くのメンバーがサポート活動に専念していく中、意見の食い違いからカンファランスから去って行くメンバーも・・・。

そんな逆境をも皆が協力して乗り越えていくうちに、かつてはラジカセでたった一人歌っていたアイの路上ライブは、“キーボードでの弾き語りスタイル”が確立するまでになった。いつしか、沢山の通行人の足を止めるようになり、さらには少しずつ、固定ファンが生まれていった。

アイは、<いつか、渋谷音楽ホールのステージに立つ>ことを決心する。

そのころ、福岡ではアイが歌手になることだけを夢見ている母が、無理をして東京に仕送りを続けていた・・・。

スタッフ

監督・脚本:西澤昭男
原作:川嶋あい
プロデューサー:村上匡宏
音楽:クリヤ・マコト
美術:工藤ただし
主題歌:川嶋あい

キャスト

(声の出演)
福圓美里
高橋惠子
高橋和也
山本學
高木渉
吉野裕行
水島大宙
安藤瞳

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