雪の下の炎
原題:Fire Under the Snow
チベットに人権など存在しません。 私がその生き証人です。
2008年/アメリカ・日本/75分/video/カラー・白黒/4:3/チベット語・英語・イタリア語 宣伝協力:龍村仁事務所 配給・宣伝:アップリンク
2010年04月08日よりDVDリリース 2009年4月11日より渋谷アップリンク他、全国順次ロードショー
公開初日 2009/04/11
配給会社名 0009
解説
33年間の拷問と投獄、
チベット僧パルデン・ギャツォの不屈の精神を描いたドキュメンタリー
1996年、サンフランシスコで開催された第1回チベタン・フリーダム・コンサート。ビースティ・ボーイズ、ビョーク、オノ・ヨーコら豪華ミュージシャンとともに一人のチベット僧が平和を訴えた。中国軍の侵攻に対しチベット民族が蜂起した1959年に、平和的なデモを行ったという“罪”で投獄されたチベット僧パルデン・ギャツォである。想像を絶するむごい拷問を受けながらも33年間を生き抜き、非業の死を遂げた同胞のため、現在も闘い続ける。
『雪の下の炎』は、パルデンが生まれた1933年に遡り、中国の侵略によって始まった悪夢を追いかける。パルデンは生い立ちから、理不尽な投獄の背景、そして33年間に渡る苦痛の日々を静かな口調で淡々と語る。また、パルデンの友人や元政治囚、フリー・チベット活動家の証言を加え、過去の記憶に苛まれる現在のパルデンを描きだす。
監督は、NY在住の日本人女性ドキュメンタリー作家・楽真琴(ささまこと)。孤独で厳しいNY生活で精神的に落ち込んでいた頃、パルデンの自叙伝『雪の下の炎』(原題:An Autography of a Tibetan Monk)と出会い、救われたという。自由を奪われ、過酷な運命に晒されながらも、優しく微笑むパルデンの不屈の精神に感銘と尊敬の念を抱き、パルデンを訪ねてインドのダラムサラに旅立った。映画はインド、アメリカ、イタリア、そしてチベットでの撮影を終え、2008年に完成。一人の僧侶と真正面から対峙したこの映画は、NYトライベッカ映画祭でのワールド・プレミア上映にて多くの人々に衝撃を与えた。
この映画は、パルデン・ギャツォの苦悩の半生を通してチベット問題を浮かび上がらせると同時に、人間が持つ精神力の計り知れない可能性を私たちに見せつける。
ストーリー
チベットに人権など存在しません
私がその生き証人です
「チベットの問題を世界の人々に知ってほしい」その想いで、パルデン・ギャツォは自身の壮絶な半生を語りだす。
チベット西部のパナム、この小さな村に生まれたパルデン・ギャツォを、初めて目にした祖母は、その美しく清らかな存在に、高僧の生まれ変わりだと思ったという。かつてのチベットは平和で人々は幸せに暮らしており、叔母に実子として育てられたパルデンは、幼い頃に僧院に入り、僧侶になった。
1950年、チベット人を解放するという名目で中国軍がチベットへ侵略した。しかし、実際はチベットを支配下に置くための侵略にすぎず、1959年、抗議の声が高まり民族蜂起が起きる。その年、パルデンは平和的な抗議活動に参加した“罪”で逮捕された。28歳の時だった。
裁判もなく懲役7年の刑期を言い渡され、答えようのない尋問と非道な拷問に耐える日々。それは、チベット人に罪の意識を植え付け、独立への信念を打ち砕く“再教育”だった。パルデンは決して屈することなく、中国人尋問官に「チベットはチベット人のものだ」と反論し、その度に激しい暴行や飢えに晒された。このままでは死んでしまうと思ったパルデンは、仲間と共に脱獄を決行する。しかし、インドへの道中で捕まり、脱獄後2年間に渡り、手錠と足枷をつけさせられる。悲しみに暮れる中、パルデンは「ダライ・ラマか、さもなくば、誰か外国人が現れて助けてくれる日」を夢みていた。
1992年にパルデンは釈放された。刑務所で23年、労働改造収容所と拘置所で10年を過ごし、61歳になっていた。その後20日間かけてヒマラヤを越えてインドへ亡命し、ダライ・ラマ法王がいるダラムサラに辿り着いた。パルデンにも怒りや憎しみの感情はある、しかし「人々の破滅を願うことは、己の破滅を招く」という慈悲の心を忘れることはない。「私がこうして生き延びたのは、信仰があったおかげ」だと言う。
2006年トリノ冬季オリンピック。パルデンはチベット人青年会議団と共に2008年のオリンピック開催地が中国に決まったことに対し、ハンガー・ストライキを行った。チベット亡命政府からは慎むよう言われたが、「チベットからの悪い知らせを聞くたびに、自分を抑えられなくなる」と言う。絶食は数日に及び、次第に衰弱していく中、「死んだって構わない」と言ったパルデンの言葉に、強い決意があった。
獄中で仲間から言われた「もし君がこの苦難を生き延びたら、チベットのために闘ってほしい」という言葉は決して忘れない。「この年齢になってもまだ闘い続けるのは、非業の死を遂げた彼らのため」パルデンは、現在も世界各地を訪れ、チベットの平和を取り戻すために活動している。
スタッフ
監督:楽 真琴
プロデューサー:楽 真琴
エグゼクティブ・プロデューサー:モーラ・モナハン
共同プロデューサー:ジム・ブラウン、ブラダン・ニコリッチ、龍村ゆかり
編集:ミリツァ・ゼッツ
撮影:ブラディミール・スボティッチ リンク・マグワイア、楽 真琴
製作:Imakoko Media, Inc.
共同製作:Argot Pictures、Surla Films
キャスト
パルデン・ギャツォ
ダライ・ラマ14世
他
LINK
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