初恋 夏の記憶
2008年/日本/カラー/105分/ 配給:夜想会シネマプロジェクト
2009年3月28日、渋谷シアターTSUTAYAにてロードショー
(C)夜想会シネマプロジェクト 2008 Yasokai Allrights reserved.
公開初日 2009/03/28
配給会社名 1018
解説
人はみな覚えている。切なくほろ苦い「初恋」の思い出・・・。
19世紀ロシアを代表する文豪ツルゲーネフの傑作「初恋」が、今平成の現代によみがえった。
原作のヒロインは奔放でエキセントリックではあるが、その本質は淋しく深い憂いに満ちた一人ぼっちの少女。監督の野伏翔は原作のイメージだけは大切にしようと、1000人を超える主演候補者を面接した。その結果十八歳の多岐川華子が、主演梨生役に決まった。女優多岐川裕美の一人娘多岐川華子は、まさにこの映画に主演するために生まれてきたような女優だ。幼くとも多感な少女の危うさと、時に垣間見せる妖艶さ。多面的で豊かな感性は秀逸だ。
彼女を恋する少年、穂波佑介役には、昨年映画「バッテリー」で、キャッチャー永倉豪役を好演した、十六歳の山田健太が抜擢された。全国のお母さんたちから「こんな息子が欲しかった」と圧倒的な人気の山田は、今映画界で最も期待されている新鋭。十代の男の子のピュアな初恋の心情、そのときめきと不安を、切ないまでに瑞々しく演じている。
そして少年の父でありながら、少女と不倫の関係になってしまう穂波軍司役に、映画、テレビで大活躍中の石黒賢。少女の美貌の継母に麻生祐未。その他、竜雷太、島かおり、石村とも子、と豪華ベテラン陣が若い二人を盛り立てている。
音楽は2007年「ピア二ッシュ」でヨーロッパ各国の配信ベスト1に輝いた小坂明子。ピアノ、シンフォニーの全曲が小坂のオリジナルである。時に絵画的とさえいえる夏の青空、白い雲、木々の緑、黄金色の海、といったハイビジョン映像で捉えた美しい風景とあいまって、映画の情感を最高潮に盛り上げている。
監督は「MUSASHI」「ガッツ伝説・愛しのピット・ブル」の野伏翔。野伏は舞台の演出家としても、シェークスピア「リア王」やチェーホフ「三人姉妹」など数多くの古典文学の名舞台を手がけてきた。その幅広いドラマ作りの蓄積が、この文豪ツルゲーネフ原作の映画を、深みのある、しかも新鮮な、今を生きる若者たちの青春映画として結実させている。
ストーリー
ある夏の日、穂波佑介(15歳・山田健太)は父の軍司(石黒賢)、母美永子(石村とも子)とともに、東京から山梨の美しい山間の町に引っ越してきた。母の美永子が病弱で都会の空気が合わないため、軍司が思いきって退職し、この地でペンション経営を始めることになったからだ。
ペンションで出すためのワインが安く手に入ると聞き、軍司は成島家を訪ねる。この家はブドウ園と自家製のワインを製造していたが、最近家の主が借金を残したままこの世を去り、不動産と在庫のワインを売却し始めていた。
成島家には一人娘の梨生(りお18歳・多岐川華子)と、彼女にとっては継母にあたる美貌の未亡人、文(あや・麻生祐未)が住んでいた。
梨生は亡くなった両親への思慕と、思春期特有の繊細で激しい感受性の故か、文にことごとく反抗する。そして彼女にチヤホヤする取り巻きの男たちに囲まれ、自由奔放な生活を送っていた。しかしその心は満たされず、つねに孤独であった。
不思議な魅力に満ちた梨生に佑介は惹かれるが、彼女のやることなすことが十五歳の少年にとっては不可解なことばかりで、反発を感じることも多かった。しかしある晩、二人は成島家最後の一本のワインに酔う。日の暮れたブドウ園。亡き父の思い出を語り、淋しく眠る梨生の姿を見た時、佑介の初恋は決定的となった。
一方、文は親切な軍司に好感を抱いていた。それに気づいた梨生は軍司に接近する。そしてついに梨生の懇願によって、梨生と軍司は結ばれる。
「海に行きます。一緒に来てくれなければ、海にいって飛び込みます」と言い残して一人海への道を歩き出す梨生。しかし病身の妻美永子の元に戻った軍司は来ない。代わりに、梨生と父親の関係を梨生自身の口から聞かされ、気も狂わんばかりの佑介が、それでも梨生を心配して彼女の後をついて行く。どこまでもどこまでも、ひたすら歩き続ける二人。靴ずれができ、フラフラと歩き続ける二人を雷が襲う。激しい雷鳴が轟き、稲妻が光る。叩きつける豪雨。空を見上げる梨生。激しい雨が梨生の顔を叩く。「なにもかもを洗い流したい。まっさらな自分に戻りたい・・・!」思わず叫び声を上げる梨生。何度も何度も叫び、咳き込んで、声をかすれさせ泣き声を上げる梨生。だがその声は全て激しい雨音にかき消されていく・・・。
雨が上がる。再び歩き出す二人。やがて西の空が赤く染まりはじめたころ、・・・二人は、海に着いた。海の波が沈む夕日に黄金色に輝く。思わず海辺に駆け込む二人。子供のように水をかけじゃれあい、転げまわる二人、・・・そして初めての抱擁・・・。
山間の駅、最終電車のプラットホームでの別れ。梨生の中で、佑介の中で、何かが変わった。・・・そして、夏は終わった。
スタッフ
製作・企画:野伏 翔
企画:平尾忠信・清水俊之
プロデューサー:築地米三郎
協力プロデューサー:丸目卓也・永田陽介・永嶋 晶・鈴木 智
ライン・プロデューサー:石村昌一
挿入歌:「初恋」「夏の記憶」 (作曲・ピアノ演奏:小坂明子)
原作:ツルゲーネフ「初恋」
脚本:宇治田隆史
音楽:ピアノ演奏:小坂明子
撮影:渡辺厚人
照明:矢部一男
録音:塩原政勝
サウンドデザイン:KIM YOUNG IL
NLE:小俣孝行
監督補・編集:小美野昌史
ヘアメイク:坂本美由紀
衣裳:菊田光次郎
監督助手:原 好裕
撮影助手:菊池久志・野沢勝一
撮影応援:小笠原学
照明助手:松山寛裕・本間大海・金谷真人
録音助手:市村 優
劇中絵画:齋藤依子
題字:重野憲一
宣伝デザイン:有賀敏彦・神谷洋子
スチール:上杉真一
ロケーション・コーディネーター:清水 静・市村克明
ネットアドバイザー:小西優樹・小西真紀子
キャスティング協力:宮川喜勝
制作進行:木村豊幸・佐羽 英
監督:野伏 翔
製作協力:ゼルプロモーション㈱
㈱ジェイ・ブイ・ディー
製作・配給:夜想会シネマプロジェクト
キャスト
多岐川華子
山田健太(バッテリー主演)
石黒賢
麻生祐未
石村とも子
中野勇士
中尾有希
島かおり
竜 雷太(友情出演)
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