原題:Le Grand alibi

フランス映画祭2009上映作品

2008/フランス/ 93分/ビスタサイズ/ドルビー SR/字幕翻訳:松浦美奈 プレス編集協力:山元明子(ヘルベチカ)、Yuko TANAKA 協力:ユニフランス東京、提供:ニューセレクト 配給:アルバトロス・フィルム

2010年7月17日(土)、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー!

©2008 - SBS FILMS - MEDUSA FILM

公開初日 2010/07/17

配給会社名 0012

解説


フランスの小さな村の大邸宅に集まった 9人の男女
1人の男が殺され、8人全員に動機とアリバイがあった──

それは、9人の男女の、楽しく華やかなパーティのはずだった。一発の銃声と女の悲鳴が、事件の幕開けを告げるまでは──。舞台は、のどかで美しい風景が広がるフランスの小さな村、ヴェトゥイユの大邸宅。ホストはそこに住む上院議員夫妻、ゲストは医師夫妻に彫刻家、作家に女優といった上流階級の男女で、親戚や友人関係のごく親しい間柄だ。殺されたのは、精神分析医のピエール。医師としては非常に優秀な男だが、女性たちには危険な魅力をふりまいていた。結婚当初から妻への忠誠心はカケラもなく、パーティに集まった女たちの中には、過去の火遊びの相手、現在の愛人、そして復縁を迫る元恋人がいた。事情を知る男たちも含めて、全員がピエールに愛情と嫉妬、憎しみや哀しみなど複雑な想いを抱えていた。それは何かのきっかけさえあれば、殺人の“動機”にも成り得る危ない感情だった。しかしまた、全員に“アリバイ”もあった。銃声が鳴り響いたプールサイドに彼らがほぼ同時に駆けつけた時、ピエールの妻が銃を手にしていた。だが、彼女の供述どおり、一歩早く駆け寄って銃を拾っただけだと証明される。犯人は誰か、そして真の動機は何なのか? 捜査が暗礁に乗り上げ、互いに誰も信じられなくなった時、第2の殺人が起きる──。

愛は極上のミステリー、女は永遠の謎──
不世出の“ミステリーの女王”が描いた、華麗なる恋愛模様

世界中で25億部以上という驚異的な売り上げを記録、聖書とシェイクスピアの次に多く読まれていると言われる作家、アガサ・クリスティー。ミステリーの女王”の称号は、生誕120年を迎える2010年の現在も、変わることなく彼女のものだ。本作『華麗なるアリバイ』は、クリスティーが1946年に出版した「ホロー荘の殺人」の映画化である。男女の複雑な心理と、華麗なる愛の駆け引きを描いた「ホロー荘の殺人」は、推理小説としての完成度はもちろん、恋愛小説としても高く評価されてきた。この小説にも、クリスティー作品には欠かせない名探偵ポワロが登場するが、クリスティーは自伝の中で、「ポワロを登場させたのは失敗。ポワロを抜きにしたら、もっとよくなると思い続けた」と記している。そして、より人間の心に深く踏み込むために、彼女は舞台版を執筆した際に、自らの手で名探偵役を削除した。今回、映画化にあたっても、舞台版に準じてポワロの存在は削除された。愛は永遠のミステリーであり、その謎だけは名探偵をもってしても、解くことはできない。『華麗なるアリバイ』では、最後に真犯人が明かされるが、愛の謎を解くのは、スクリーンの前の私たち自身なのだ。

アガサ・クリスティーの名作を、フランスが誇る豪華キャストで完全映画化!

これが、フランス映画の原点──
軽やかなユーモアを備えた人間ドラマを支えるスタッフキャスト

監督は、パスカル・ボニゼール。ジャック・リヴェット監督、アンドレ・テシネ監督らの作品の脚本家として知られている。殺人事件や三角関係など、重々しくなりかねないテーマを、軽妙なユーモアに満ちた会話を織り交ぜて描く、洒落たフランス映画の原点に立ち返った。ボニゼール監督を助け、舞台を原作の英国から現代のフランスへと移動させた脚色は、ブノワ・ジャコ監督との長年のコラボレーションで知られるジェローム・ボージュール。キャストには、フランス映画界を代表する新旧のトップスターが集まった。天性の魅力で女たちを惹きつけるピエールには、『マトリックス レボリューションズ /リローデッド』のランベール・ウィルソン。彼の妻で最初の容疑者だったクレールには、アンヌ・コンシニ。『愛されるために、ここにいる』でセザール賞主演女優賞にノミネートされ、『潜水服は蝶の夢を見る』で国際的にも高く評価された。ピエールの現在の愛人である彫刻家のエステルには、フランソワ・オゾン監督の『ふたりの5つの分かれ路』『ぼくを葬る』で賞賛を浴び、『ミュンヘン』などハリウッド大作にも出演しているヴァレリア・ブルーニ=テデスキ。現フランス大統領夫人のカーラ・ブルーニ・サルコジの実姉としても知られている。上院議員の妻エリアーヌには、大女優の域に達しながら、いつまでも愛らしく軽やかな魅力を振りまく『輝ける女たち』のミュウ=ミュウ。また、反抗的な上院議員の姪クロエには、ボニゼール監督の娘アガット・ボニゼールが扮している。手つかずの自然に囲まれた大邸宅、そこに集う男女の洗練されたファッション、その下に渦巻く愛と憎しみ、冷静に仕組まれたトリック──真犯人に辿り着く最後の瞬間まで、上質で危険なひと時をあなたに──。

ストーリー


◇プロローグ 秘密を抱えた 9人の男女
フランスの小さな村、ヴェトゥイユに暮らす上院議員のアンリ・パジェス(ピエール・アルディティ)と、妻のエリアーヌ(ミュウ=ミュウ)は、週末になると美しい自然に囲まれた大邸宅に客を招く。朝は猟に出かけ、昼間は庭のプールで泳ぎ、夜になれば上等なワインをあけて、友人たちをもてなす。そこには、理想的な休日が待っていた。
しかし、その週末に集まった男女は、妙な緊張感に包まれていた。原因は、精神分析医のピエール(ランベール・ウィルソン)にあった。彼は妻のクレール(アンヌ・コンシニ)と結婚してからも、何人もの女性と関係を持った。今の愛人は、彫刻家のエステル(ヴァレリア・ブルーニテデスキ)だ。ピエールを真剣に愛し始めたエステルは、この機会にクレールと話し合いたいと密かに願っていた。一方、クレールは、すべて知らないふりをして、二人の子供との生活を守るしかなかった。
他にも複雑な想いを抱える招待客がいた。作家のフィリップ(マチュー・ドゥミ)はエステルに想いを寄せ、ピエールとの不適切な関係に腹を立てている。週末のパジェス家には、愛と嫉妬、憎しみと哀しみ、様々な感情が渦巻いていたのだ。

◇危険な再会
今夜のディナーには、もう一人、サプライズゲストがいた。イタリア人女優のレア(カテリーナ・ムリーノ)だ。彼女がピエールの昔の恋人だと知ったエリアーヌは、彼を驚かそうと秘密にしていたのだ。
エステルは、すぐに気がついた。彼女こそピエールが「ただ一人本気で愛した女がいた」と打ち明けてくれた相手だと。レアもまた、エステルがピエールの今の愛人だと感づく。二人の女はギリギリのやり取りで互いにピエールとの関係を探り合う。そんな二人に挟まれて、クレールは言葉も出なかった。
ディナーの後、妻を裏切り続けているピエールに、今さらレアの誘いを断る理由は見つからなかった。二人は当然のように一夜を共にする。

◇愛のない男
翌朝、招待客たちは、猟にキノコ採りに、新聞を買いに村へと、それぞれの時間を気ままに過ごしていた。夜のうちにこっそりと部屋に戻り、遅く起きたピエールのもとへ、外に出かけたレアから呼び出しの電話がかかって来る。ピエールはレアに会いに行くが、彼女からの復縁の願いは冷たく断る。「妻子がいるから」という理由に、レアは激怒する。「卑劣な偽善者。虫けら」と罵詈雑言を浴びせられて立ち去るピエール。怒りに震えるレアは、運転手兼ボディガードのミシェル(ダニー・ブリヤン)に電話をかけ、すぐに来るようにと指示するのだった。

◇謎の銃弾
パジェス家に戻り、プールで一人黙々と泳ぐピエール。プールから上がり、シャワーを浴び、水音が消えると共に、邸には午後のけだるい静寂が広がっていた。
と、その時、一発の銃声と女の悲鳴が静けさを突き破る。エリアーヌと姪のクロエ(アガット・ボニゼール)が、音の聞こえたプールサイドに駆けつけた時、倒れたピエールの傍らには、エステルとクレールがうずくまっていた。エステルはピエールの手を、クレールは銃を握っていた。エステルは何を思ったのか、クレールの手から銃を払い落す。プールの水に沈んだ銃は、アンリのコレクションの一つだった。

◇哀れな容疑者
クレールは容疑者として警察に拘留される。エリアーヌは、クレールが 10年間誰とでも浮気していた夫を、今さら殺すわけがないと憤慨する。エリアーヌにもピエールと関係を持ち、夫や友人たちの間で大騒ぎになったという過去があった。
何度尋問されても、銃声を聞いて駆けつけ、銃は思わず拾っただけだと、泣きながら供述するクレール。やがて解剖結果から、ピエールを撃った銃は、クレールが手にしていた38口径のリボルバーではなく、9ミリのオートマチックだと判明する。クレールは釈放され、捜査は振り出しに戻った。

◇エピローグ 愛の謎
あの日、パジェス家にいたすべての人間に“愛という名の動機”があった。今や 8人全員が容疑者だ。
彼らが互いを疑い始めた時、第 2の殺人が起きる。
果たして真犯人は誰なのか、愛の謎は解くことが出来るのか──?

スタッフ

監督 : パスカル・ボニゼール
脚本 : パスカル・ボニゼール、ジェローム・ボジュール
原作 : アガサ・クリスティー「ホロー荘の殺人」
製作 : サイド・ベン・サイド
ライン・プロデューサー : シビル・ニコラ
音楽 : アレクセイ・アイグイ
撮影 : マリー・スペンサー
編集 : モニカ・コールマン
録音 : フィリップ・リシャール
美術 : ヴァウター・ズーン
衣装 : マリエル・ロボー

キャスト

エリアーヌ・パジェス : ミュウ=ミュウ
ピエール・コリエ : ランベール・ウィルソン
エステル・バシュマン : ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ
アンリ・パジェス : ピエール・アルディティ
クレール・コリエ : アンヌ・コンシニ
フィリップ・レジェ : マチュー・ドゥミ
レア・マントヴァニ : カテリーナ・ムリーノ
グランジュ刑事 : モーリス・ベニシュー
マルト : セリーヌ・サレット
クロエ : アガット・ボニゼール
ジュヌヴィエーヴ・エルバン : エマニュエル・リヴァ
ミシェル : ダニー・ブリヤン

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