原題:Untraceable

見たい!全世界66億人の“好奇心”が凶器になる。

2008年1月25日全米公開

2008年/アメリカ/カラー/??分/ 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

2008年09月24日よりDVDリリース 2008年4月12日(土)より、渋谷東急ほか全国ロードショー  

公開初日 2008/04/12

配給会社名 0042

解説


ニュースや専門知識などの多種情報や、音楽、動画などの娯楽をスピーディーに提供する場としてインターネットはテレビ以上に、生活に欠かせないアイテム。しかし、同時にそこは匿名性に乗じた多くの悪意が横行する無法地帯でもある。コンピューターウイルス、名誉毀損、著作権の侵害、クレジットカード詐欺、ポルノサイト…。ネット犯罪は増加の一途をたどっているが、そんな現状をタイムリーに反映し、全米で一大センセーションを巻き起こしたのが『ブラックサイト』。ここで描かれるのは、ある意味、究極の悪意ともいえる“ネット殺人”だ。主人公はFBIでサイバー犯罪を専門に取り締まる女性捜査官ジェニファー。あまたのネット犯罪を目にし、悪意には慣れているはずの彼女も、そのウェブサイトには驚きを隠せなかった。

「kill with me(一緒に殺そう).com」と名付けられた、それは公開殺人の場。監禁され、自由を奪われた人間の姿がライブ中継され、アクセス数が上がれば上がるほど、その人間が死に至るまでの時間は早まるという、巧妙な仕掛けが施されていたのだ。犯人は切れ者で、コンピューター通信に関する高度な知識を持っており、簡単には尻尾をつかませない。さらに悪いことに、犯行を重ねれば重ねるほどサイトの存在は知れ渡り、アクセス数は増えて被害者の死に至る時間は短縮される。焦りをつのらせながらも、必死に手がかりを探るジェニファー。そんな彼女の周囲にも、犯人は魔の手を伸ばそうとしていた。はたしてジェニファーは、恐るべき犯人の魔の手をシャットダウンできるのか!?

殺人の凝った仕掛けは『ソウ』シリーズのトリック以上に巧妙で、アクセスカウントが上昇するほど緊張が走るうえに、巧妙に立ち回る頭脳明晰な犯人像はハンニバル・レクターをほうふつさせ、緊迫感をみなぎらせる。犯人の凶行や異常心理は確かに恐ろしい。しかし何より怖いのは、サイトにアクセスした人間が被害者の死を早める、すなわち“共犯者”になるということ。殺人の生中継を見るなど、悪趣味なことと理屈ではわかっていても、人間は好奇心には勝てないものだ。そんなサイトが実際に存在したら、自分は見ないと言い切れるだろうか? 世界66億人の一般人が共犯となる可能性を秘めている、世にも恐ろしい現実。『ブラックサイト』は、自分が加害者になるかもしれない、そんな疑念を見る者に抱かせる。そういう意味では映画の中の架空の出来事では片づけられない、このうえなくリアルなテーマを含んでいるといえるだろう。

本作のもうひとつの大きな見どころは、この常軌を逸した犯人に立ち向かう、タフで知的なヒロインの魅力。ネット犯罪を追う主人公ジェニファーは、PCを駆使し、実際に現場に飛んで犯人の正体を探り、同時に愛する者を守ろうとする。知恵と勇気を兼ね備えた主人公像は、『羊たちの沈黙』の主人公クラリス・スターリングに勝るとも劣らない。そんなたくましいヒロインに扮するのが、『ジャンパー』でも好演を見せたダイアン・レイン。子役デビューを果たして以来、約30年第一線で活躍を続け、『ホワイトハウスの陰謀』『運命の女』等で強い女性を演じてきた彼女にとって、ジェニファーはまさにはまり役。残虐な犯行に胸を痛めつつ犯人への怒りを静かにつのらせ、仕事場や家庭では決して悲しみ見せず、バスルームでひとり涙する姿は、共感を引き寄せずにおかない。

その他のキャストや、スタッフにも実力派が結集。ジェニファーとともに捜査に当たる刑事役には『炎のメモリアル』で注目を集めたビリー・バーク。FBIの同僚コリンに『キングコング』の有望株コリン・ハンクス。犯人にふんするのは、『父親たちの星条旗』で若手演技派との評価を確立したジョセフ・クロス。これらの注目の俳優陣がしっかりと脇を固めている。監督は『真実の行方』『オーロラの彼方へ』『悪魔を憐れむ歌』『ジャスティス』と、緻密なサスペンス演出に定評のある才人グレゴリー・ホブリット。必要な情報を的確に無駄なく、スピーディーに伝える演出はここでも冴え渡る。脚本を手がけたのは、『メメント』や『プレステージ』など多くの知的スリラーの制作に携わってきたロバート・フィヴォレントと新鋭マーク・R・ブリンカー、そして『オータム・イン・ニユーヨーク』のアリソン・バーネット。緊張感がみなぎる映像を作り出した撮影監督は『フォーガットン』『フリーダムランド』など、こちらもサスペンスには実績のあるアナタス・ミコス。また、『エミリー・ローズ』や『ゴーストライダー』などの音楽を手がけたクリストファー・ヤングが、不安感をジワジワと高めるスコアを提供していることも見逃せない。目を背けたい恐怖と目を引き寄せられる好奇心が一体となった、決して他人事と言い切れない衝撃作。観客はインターネット史上最悪の事件の目撃者となる!

ストーリー



FBI特別捜査官ジェニファー・マーシュ(ダイアン・レイン)は、コンピューター犯罪のエキスパート。オレゴン州ポートランドの事務所で若い相棒グリフィン(コリン・ハンクス)とともに、インターネット上のクレジットカード詐欺や性犯罪者を取り締まっている。警官だった夫が殉職し、母親ステラ(メリー・ベス・ハート)、8歳の愛娘アニー(パーラ・ヘイニー=ジャーディン)とともに暮らしているジェニファーは、育児のために夜勤のシフトに入っていた。

ある日、ジェニファーのもとに不審なサイトの情報が舞い込む。「killwithme.com」というそのサイトを覗い
てみると、ネズミ捕りの上に放置され、身動きがとれなくなった猫の衰弱してゆくさまがライブ中継されてい
た。サイトの管理人は大胆にもみずからFBIに通報した模様で、発信源が地元であることは判明したもの
の、それ以上の情報はつかめない。強制閉鎖してもIPアドレスは絶えず変更され無限にコピーを繰り返し、
遮断してもすぐにそのサイトのコピーが現われる手の込んだ仕掛けが施されていた。しかも使用サーバはロシア、すなわちFBIの管轄外であった。

猫の映像が一週間続いた後、サイトに常軌を逸した映像が映し出される。縛り付けられ、もがく中年男がビデオカメラの前に現われたのだ。裸の胸には“一緒に殺そう”の血文字が刻まれ、出血を早める抗凝血剤が投与されていた。恐ろしいことに、その投与量はPCで調節されており、アクセス数が上がるほど投与量も増える仕掛けになっている。つまり視聴者が増えれば増えるほど、この男は早く死ぬことになるのだ。ジェニファーは地元の刑事ボックス(ビリー・バーク)と協力して捜査を進めることになる。だが、噂が噂を呼んだのかアクセスは飛躍的に増加し、哀れな男は息絶えた。衝撃に包まれた捜査陣をあざ笑うかのように、“ご協力感謝。続く”という犯人からのメッセージがアップされる……。

男の死体は皮肉にも、ネット規制法案に反対している下院議員のワゴン車の中に捨てられていた。騒ぎが大きくなる中、ボックスの元に容疑者と思われる男の情報が入るが、家宅捜索は徒労に終わる。一方、コンピューターに向かっていたジェニファーは“キルバーン”と呼ばれる、死の映像を収集していた悪名高き悪趣味サイトの管理人が、犯人と同じアカウントを使用していることに注目。だが、調べてみると“キルバーン”は、すでに死亡していた。謎は深まるばかり。そしてそのころ真犯人は、次なる標的に狙いを定めていた……。

スタッフ

監督:グレゴリー・ホブリット

キャスト

ダイアン・レイン

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