原題:The Darjeeling Limited

2007年/アメリカ/カラー/104分/
配給:20世紀フォックス

2010年06月25日よりDVDリリース
2008年09月03日よりDVDリリース
2008年3月8日(土)より、シャンテ シネほか全国ロードショー

(C)2007 TWENTIETH CENTURY FOX

公開初日 2008/03/08

配給会社名 0057

解説




ハリウッドはおろか、世界が今もっとも注目する監督のひとり、ウェス・アンダーソン。ファンを熱狂させた『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』、『ライフ・アクアティック』に続く待望の新作は、大人になりきれない3兄弟が“ダージリン急行”に乗って魅惑のインドを旅する、希望と再生のロードムービーだ。

 父の死をきっかけに疎遠になっていたホイットマン3兄弟。長男フランシスの呼びかけで1年ぶりに再会した次男ピーター、三男ジャックの3人は、失われた日々を取り戻すため、インドを横断する列車の旅に出る。彼らを待ち受けるのは、官能と混沌の国ならでは(!?)の予想外な出来事。車窓を流れるスピリチュアルな景色を見つめながら、彼らはそれぞれが抱えた心の傷をゆっくりと癒していく……。

 ’96年の長編デビュー以来、世界中のファンに熱烈に支持され、かのマーティン・スコセッシをして「次世代のマーティン・スコセッシは彼だ」と評されるウェス・アンダーソンが、これまで描き続けてきたのは家族のドラマ。この『ダージリン急行』でも、彼はタイプの異なる3兄弟の姿を通じて、“家族とは何か?”という普遍的な問いを投げかけてくる。しかし、そんなシリアスなテーマを決して重苦しく表現しないのがウェスの奇才たる理由。ロマン・コッポラ、ジェイソン・シュワルツマンと共同執筆した脚本は、彼ら3人が実際にインドを旅したおかしな経験に基づいている。「日常のさまざまなことが、僕らが住んでいる世界とまったく違うんだ! それが脚本に反映されているよ」ウェスはこのように語る。エネルギッシュで“何でもあり”なインドの空気は、彼の洒脱なユーモア感覚と抜群の相性のよさを見せている。

 スタッフ・キャストにも、素晴らしい顔ぶれが揃った。ホイットマン3兄弟の長男フランシスを演じるのは、ウェスの学生時代からの盟友であるオーウェン・ウィルソン。事故で大ケガをし、頭に包帯を巻きながら旅のツアコンを務めるフランシスを、独特の存在感で演じている。妊娠した妻との離婚を考える寡黙な次男ピーターには、『戦場のピアニスト』をはじめ、数々の作品で名演を見せてきたエイドリアン・ブロディ。そして、家族をネタに小説を書く作家、末っ子のジャックに、ウェス作品の常連で共同脚本も担当したジェイソン・シュワルツマンが扮している。

また、尼僧になるため息子たちを置き去りにした母親役をアンジェリカ・ヒューストン、カメオ出演としてビル・マーレイ、ナタリー・ポートマンが意外なシーンで登場するのも見逃せない。本編前に上映される短編『ホテル・シュヴァリエ』では、パリのホテルを舞台に、ジェイソン・シュワルツマン、ナタリー・ポートマンがミステリアスな男女の恋を演じる。このプロローグの意味も、本編を観ると深く心にしみてくるはずだ。

 “ダージリン急行”の絢爛豪華なインテリアを筆頭に、細部までこだわったスタイリッシュな美術・衣裳を手がけるのは、『マリー・アントワネット』などでアカデミー賞を3度獲得したミレーナ・カノネロをはじめとする、世界有数のクリエイターたち。ルイ・ヴィトンのチーフ・デザイナーで、ファッション界の革命児と称されるマーク・ジェイコブスもスーツケースのデザインを担当し、この奇妙な旅を贅沢に彩っている。
 本物の列車を借り切り、実際にインド北西部の砂漠地帯を走らせながら撮影した今回のロケーションも前代未聞。スタッフ・キャストが1台の列車に乗り込み、まるで旅をするように行われたこの撮影は、彼らの信頼関係を深め、ドキュメンタリーのようなリアルさを生み出している。

 もちろん音楽も、これまでのウェス・アンダーソン映画と同様に魅力的だ。インドの巨匠サタジット・レイの映画音楽を、あたかもこの作品のために作曲されたかのように全編で使用。そしてキンクス、ローリング・ストーンズなど、60〜70年代のブリティッシュ・ロックがエモーショナルに響きわたる。
 生と死が交錯するインドを舞台に、ウェスが描き出すのはちょっと風変わりな3兄弟の愛と絆。ときにオフビートに、ときにせつなく駆け抜ける『ダージリン急行』を降りるとき、あなたの胸はやさしさや幸福感でいっぱいに満たされているにちがいない

ストーリー

インド北西部を駆け抜ける列車・ダージリン急行に、長男フランシス(オーウェン・ウィルソン)の呼びかけで、次男ピーター(エイドリアン・ブロディ)、三男ジャック(ジェイソン・シュワルツマン)のホイットマン3兄弟が集う。彼らは父の死をきっかけに1年の間絶交していた。フランシスは、このインドの旅を通じてもう一度、兄弟の結束を固めようと皆に誓う。

彼らはそれぞれの問題を抱えていた。フランシスは忠実な助手ブレンダンとともに旅の日程表を作り、まるで親のように弟たちの世話を焼く。彼の頭には包帯がぐるぐる巻きにされているが、彼はバイク事故で瀕死の重傷を負い、奇跡の生還を果たしたばかりだった。ピーターは父の死後、遺品をひとり占めしているとフランシスにののしられる。妻のアリス(カミーラ・ラザフォード)は妊娠7ヵ月半だが、価値観の違いから、離婚を考えていた。ジャックは作家で、近頃『ルフトヴァッフェ修理工場』という彼らの家族をネタにした小説を書き上げたばかり。失恋の痛手を負ってダージリン急行に乗り込んだが、すぐさま列車のアテンダント、リタ(アマラ・カラン)と恋に落ちる。でも、かつての恋人が忘れられず、彼女の留守電を勝手にチェックしていたりする。
 一緒に食事をすれば、やれツバが飛んだ、やれ義歯を外すなと、口論し、掴み合い、いがみ合う3兄弟。フランシスは次々と協定を作り、彼らを引率する。「心の旅では仲間割れしないこと。そして賢人をのけ者にしないこと」皆はくちぐちに言う。「意義なし!」彼らは人生を変える旅を必要としていた。

 目の前に広がるインドの絶景が3兄弟の心を潤していく。ずっと行方不明になっていた母親(アンジェリカ・ヒューストン)が、ヒマラヤの修道院で尼僧をしていることもわかった。彼らは母親に会いに行こうと約束する。しかし、再び取っ組み合いの大ゲンカを繰り広げ、あえなく列車を追い出されてしまう。助手ブレンダンにも愛想を尽かされ、砂漠の真ん中で途方に暮れる3兄弟。別れ際、ブレンダンから渡された手紙には、母からの“会えない”という言葉が残されていた……。
 空港を目指す彼らの前に、ロープをつたい川を渡ろうとするインドの幼い3兄弟の姿が見える。「ムチャだ」と思ったのも束の間、ロープは切れ、兄弟はもろくも激流に飲み込まれてしまった。慌てて救助に向かうフランシス、ピーター、ジャック。しかし、ピーターの懸命な努力もむなしく、幼い兄弟のひとりが岩場に激突し命を落としてしまう。亡骸を抱え、3人は彼らの住む村へ到着する。民族衣装に身を包み、ホイットマン3兄弟は厳かに葬儀に参列した。

 空港へ到着した彼らは、1年前の父の葬儀を懐かしく思い出していた。3人で協力して、父を弔おうとしていたあの頃。インドでのさまざまな出来事を経て、それぞれが新たな思いを胸に抱き始めていた。フランシスはブレンダンに電話し、彼を再雇用することで話がまとまる。ピーターは妻アリスのお腹の中にいる子どもが男の子だとわかる。ジャックはかつての恋人とイタリアで再会することになった。フランシスは頭の包帯を取り、3人でヒマラヤにいる母親に会いに行くことにする。彼らはこの美しいインドの地で、いつの間にか兄弟の絆を深めていた——。

スタッフ

監督:ウェス・アンダーソン
プロデューサー:ウェス・アンダーソン/スコット・ルーディン/ロマン・コッポラ
   リディア・ディーン・ピルチャー、
脚本:ウェス・アンダーソン/ロマン・コッポラ/ジェイソン・シュワルツマン
撮影:ロバート・イェーマン
美術:マーク・フリードバーグ
編集:アンドリュー・ウェイスブラム

キャスト

オーウェン・ウィルソン
エイドリアン・ブロディ
ジェイソン・シュワルツマン
アンジェリカ・ヒューストン

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