ロンリープラネット
1996年/日本/ビデオ(パートフィルム)/カラー/48分 配給:映画に関する12ヶ月のワークショップ
2007年9月1日(土)福岡市美術館・講堂にて特別上映!
公開初日 2007/09/01
配給会社名 0879
解説
地方に埋もれていた幻の映画「ロンリープラネット」に正当な評価を与える。
1996年、福岡市で映画監督の石井聰亙氏が塾長を務めた「福岡実践映画塾」という映画ワークショップが開催され、そこで脚本を一般公募し採用された人が監督となって福岡市で映画を製作するという企画が実施されました。
そして、全国から送られてきた多くの脚本の中から選ばれたのが「ロンリープラネット」でした。この脚本は、福岡で劇団の主宰として活躍していた花野純子(浦辻純子)が書いたもので、当時、彼女は地元の演劇界に行き詰まりを感じていて映画に活路を見出すために応募したのです。
「ロンリープラネット」の脚本は石井聰亙監督をはじめ多くの人に高く評価され、女優・裕木奈江さんが主演する事になりました。当時の裕木奈江さんは不当なバッシングを浴びていましたが、花野純子監督は、彼女の高い演技力が作品に必要不可欠であると主張し、また裕木奈江さんも脚本を高く評価して出演が決まったのです。1996年当時の裕木奈江さんの映画の仕事は「ロンリープラネット」だけでしたが、彼女は映画のテーマである「小さくても確実に輝く愛」を全身全霊で表現していています。
製作に関わったスタッフも、撮影の笠松則通さん、美術の磯見俊裕さん等、非常に豪華な顔ぶれです。
完成した後の映画は、多くの映画関係者に好評だったのですが、福岡・神戸・東京で数回、上映された以後、人の目に触れる機会はありませんでした。ワークショップで作った映画という事で誰も作品の真価に気がつかず、十分に生かしきれなかったのです。
今、「ロンリープラネット」を見直してみても、古さは感じさせず、時代を越える魅力を持った、優れた作品である事に気がつきます。男と女の普遍的な愛のテーマと、出演者達の稀に見る熱演と一流のスタッフ達が作り上げた美しい映像が印象的です(最近は美しい映画が減りました)。
10年の間に情勢も大きく変わりました。主演した裕木奈江さんはC・イーストウッド監督、D・リンチ監督の作品に立て続けに抜擢され、ようやく正当に評価をされつつあります。
同様に「ロンリープラネット」にも正当な評価を与えるべきです。そこで再評価活動の第一歩として、福岡市で上映会を開催する事にしました。
今回の上映会では、幻の存在に等しかった映画「ロンリープラネット」に再び陽の目を見せ、当時、映画塾に参加し「ロンリープラネット」に関わった多く人々に価値ある仕事をしたという事を再認識してもらうと同時に、今回の上映会を皮切りに、少しでも多くの人達に作品を楽しんで頂くという映画本来の目的を果たしていきたいと考えています。
尚、福岡での上映を皮切りに、今後、全国での上映会などを検討しています。
ストーリー
木枯らしの吹きすさぶ寒い夜。女が家に帰り着くとそこに見知らぬ男がいた。「あんた・・・誰!?」そんな女の問いかけにも答えず、唄い続ける男。男はミュージシャン崩れのホームレス。結局、一晩男を泊めてしまった女はこの無口な男といることに不思議なやすらぎを感じ始めていた。
女は男・イチローに同居をもちかける。女の奇妙なまでの強引さに押し切られるようにしぶしぶ従うイチローだったが、ふとした拍子に女が世間を騒がせている指名手配中の結婚詐欺師だと知り驚く。男達から大金を巻き上げ、逃亡の果てにここにたどり着いたのだ。
自分の事を知られて女はイチローにこんな提案を持ちかけた。「あたしと結婚して!二人で外国に行ってのんびり暮らそうよ!」男の意志をまるで無視して偽のパスポートまで準備しようとする女。どこまでも冷たく広大な星空の下で、女の歯車はゆっくりと狂い始めていた・・・。
小さいけれど確実に輝く愛をテーマに、舞台劇とロケーション撮影を融合。冴えた手法で独自の世界を描く。
スタッフ
製作総指揮:石井聰亙 「狂い咲きサンダーロード」「DEAD END RUN」
監督・脚本:花野純子(旧姓・浦辻)「赤い夕陽とリオ」「DEAD END RUN」
助監督:大原盛雄 「エンジェル・ダスト」「渋谷怪談」
撮影:笠松則通 「KT」「顔」「五条霊戦記」
企画協力:古澤敏文 「裸足のピクニック」「白痴」
美術協力:磯見俊裕 「誰も知らない」「殯(もがり)の森」
音楽:小野川浩幸 「五条霊戦記」「DEAD END RUN」「鏡心」
キャスト
女・・・裕木奈江
イチロー・・・金沢賢治
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