原題:The Sky Crawlers

もう一度、生まれてきたいと思う?

第13回釜山国際映画祭出品作品オープンシネマ部門

2008年/日本/カラー/121分/ 配給:ワーナー・ブラザース映画

2009年02月25日よりDVDリリース 2008年8月2日、渋谷東急、丸の内TOEI②ほか全国ロードショー

(c)2008 森 博嗣/「スカイ・クロラ」製作委員会

公開初日 2008/08/02

配給会社名 0085

解説


押井作品がなければ、あの『マトリックス』は生まれなかった——。それほど決定的で、革新的な影響力を、世界に向かって放ち続けてきた日本アニメーション界きっての天才・押井守。『フィフス・エレメント』のリュック・ベッソン監督も、『キル・ビル』のクエンティン・タランティーノ監督も、その例外ではない。『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『イノセンス』をはじめとする押井作品は、つねに時代の半歩先をとらえ、国内の熱狂のみならず、世界中の賞賛を集めてきた。
 そして2008年8月、その押井監督が「今、若い人たちに伝えたいことがある。」という思いのもとに、あえてこれまでの演出手法を封印し、あらゆる才能とのコラボレーションを実現させて作り上げたエンターテイメント作品が、この『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』だ。
 著作総発行部数1000万部突破のベストセラー作家・森博嗣の人気シリーズに描かれる永遠の子供たち《キルドレ》の物語。思春期の姿のまま成長をやめ、大人にならない彼らに約束された永遠の命。原作を読んだ押井守の目に映った彼らは、平和であるが故に生きている実感を持てない今の若者の姿そのものだった。
 ショーと化した戦争のパイロットとして、終わりのない生を拒絶するかのように大空に飛び立っていくキルドレたちの命懸けの戦い。彼らが背負う逃れがたい宿命と、時を超えた切なすぎる愛。時代の空気感をまとった彼らの繊細な“気分”をすくい取るにあたって、押井監督は脚本を自らではなく『世界の中心で、愛をさけぶ』『クローズド・ノート』の新鋭・伊藤ちひろに託すことで、若い世代のリアルな心情をつむぎ出すことを目指した。
 音楽は『デスノート』『デスノート the Last name』『リング』などの大ヒット作で知られる川井憲次。アニメーション制作を手がけるのは、世界屈指のアニメーション制作スタジオ「プロダクション I.G」。主人公たちがさまざまな思いに揺れる地上シーンは、繊細かつ微妙な感情を手描きのセルアニメーションで表現。彼らが命を懸けて戦う空では、最新技術を投入した3DCGによる、圧倒的な戦闘シーンが繰り広げられる。
 ボイスキャストには、『バベル』で世界を唸らせた菊地凛子と『それでもボクはやってない』『硫黄島からの手紙』の加瀬亮をはじめ、栗山千明、谷原章介がキルドレたちを熱演。押井作品史上初の、大胆にして豪華なキャスティングは、それぞれがピタリと役柄にはまり、永遠の子供たちにリアルな時代の息吹を吹き込んだ。
 押井守のもとに集結した望みうるかぎり最高のスタッフとキャスト。生きる実感を持つ事が出来ない現代に、押井守監督が問いかける“生きている意味”とは。 《生きている実感のない若者=キルドレ》の物語がこの夏、生まれる──。

ストーリー





何度、君と出会い、
何度、空で戦い、
何度、君と愛し合ったんだろう──。

「最初は誰も知らなかった。
 知っていても、信じなかった。
 でも、だんだん噂が広がっていく。
 戦死しないかぎり死なない人間がいるって」

物語の舞台は、いくつかの大戦を経て、つかの間の平和を手に入れた、今とよく似た時代。
かりそめの平和を実感する為に、人々は「ショーとしての戦争」を求めた。
現代を生きる私たちが、テレビを通して戦争を「観戦」するように。
戦闘機のパイロットとして戦うのは、《キルドレ》と呼ばれる子供たち。
彼らは年をとらない。思春期の姿のまま、永遠に生き続ける——空で死なないかぎりは。

物語は、主人公カンナミ・ユーイチ(声・加瀬亮)が、欧州の前線基地「兎離洲」ウリスに配属されてくるところから始まる。ユーイチには、その基地に赴任する以前の記憶がない。同僚たちは彼を見て意味ありげな表情を浮かべるが、それ以上、何も語ろうとしない。ユーイチが知っているのは、自分が《キルドレ》であるということと、戦闘機の操縦の仕方だけ。初めて乗るはずの機体は体になじみ、その優れた戦闘能力は、すぐにユーイチをエースパイロットの座へと押し上げた。
そんなユーイチを、熱いまなざしで見つめるひとりの女性がいた。基地の司令官であるクサナギ・スイト(声・菊地凛子)。彼女もかつてはエースとして戦ったキルドレのひとり。まるでずっと、彼を待ち続けていたかのようなスイトの視線に戸惑いながらも、ユーイチはスイトに惹かれてゆく。
一方、基地を取り巻く戦況は日増しに厳しくなっていった。同僚パイロット・ユダガワの死。ユダガワを墜としたのは、機首に黒豹のマークが描かれた「ティーチャー」と呼ばれるパイロット。彼は、絶対に勝てない敵として大空に存在する「大人の男」なのだった。反撃に向かい、怪我を負って帰還するスイト。傷ついたスイトが握り締めたユーイチの手。ふたりは互いに理解を深めあい、激しく求め合ってゆく。
平和な大人たちの求める大規模な攻撃プロジェクトの中で、仲間が次々に失われていく中、基地に新たなパイロットが増員されてくる。新任のパイロットが新聞を几帳面に折りたたむのを見たユーイチは、それが、かつて共に戦ったユダガワの癖だったことに気づく。蘇ってゆくユーイチの記憶。キルドレが背負った、悲しく、切ない宿命の真実。
「愛しているなら、殺してくれる?」とせがむ、スイトの言葉の意味。
そのすべてが解き明かされたとき、ユーイチは、自分たちに課せられた運命に立ち向かう決意をするのだった──。

スタッフ

監督:押井守
原作:森 博嗣「スカイ・クロラ」シリーズ(中央公論新社刊)
脚本:伊藤ちひろ
音楽:川井憲次
製作プロデューサー:奥田誠治 石川光久
プロデューサー:石井朋彦
演出:西久保利彦
キャラクターデザイナー・作画監督:西尾鉄也
メカニックデザイナー:竹内敦志
美術監督:永井一男
美術設定:渡部隆
色彩設定:遊佐久美子
ビジュアルエフェクツ:江面久
CGIスーパーバイザー:林弘幸
ラインプロデューサー:川口徹

キャスト

(声の出演)
菊地凛子
加瀬亮
栗山千明
谷原章介

LINK

□公式サイト
□この作品のインタビューを見る
□この作品に関する情報をもっと探す