原題:Quentin Tarantino's Death Proof

“キラー・チェーン”ロードショー

第60回カンヌ国際コンペティション部門正式出品作品

2007年4月6日全米公開

2007年/アメリカ映画/カラー(一部モノクロ)/上映時間:113分/スコープサイズ /ドルビーデジタル、SDDS、DTS/R-15/字幕翻訳:松浦美奈 /オリジナルサウンドトラック:ワーナーミュージック・ジャパン 配給・宣伝:ブロードメディア・スタジオ

2010年05月26日よりDVDリリース 2008年02月22日よりDVDリリース 2007年9月1日よりTOHOシネマズ六本木、日比谷みゆき座系ほか全国順次ロードショー 2007年8月24日、TOHOシネマズ六本木ほか全国順次ロードショー

©2007 The Weinstein Company. ALL RIGHTS RESERVED.

公開初日 2007/09/01

配給会社名 0551

解説


キーワードは Back to Back! タランティーノが進化させる『グラインドハウス』

 映画という映画を見まくり、その熱狂的な映画愛から独自のスタイルを確立。『パルプ・フィクション』(’94)や『キル・ビル』(’03)『キル・ビル Vol.2』(’04)など、ほかの誰にも決して作れない、新しい映画の醍醐味を生みだし、世界で最も注目される天才監督、クエンティン・タランティーノ。彼が盟友ロバート・ロドリゲス監督(『デスペラード』『シン・シティ』)とがっちりタッグを組み、またしても自らの映画愛を斬新なアイデアによって結実させた! 今回、二人がオマージュを捧げるのは、60年代〜70年代に盛栄を誇った、インディーズ系スタジオ製作のポップでキッチュな低予算映画=グラインドハウス映画たち。忘れ去られていたワクワクの映画体験を、二人がそれぞれのスタイルとこだわりで進化させ、競作したプロジェクトが『グラインドハウス』である。そして、今の映画にはないパワーと自由、限界知らずのセンセーショナルな描写の数々に敬意を表しながらも、単なる再現ではなく、オリジナルで新鮮な驚きを与えてくれる。そのとびきりゴージャスなエンターテインメント、これがクエンティン・タランティーノの『デス・プルーフ in グラインドハウス』だ!

殺るか、殺られるか? 車が凶器の殺人鬼VSバッドガールズ

『デス・プルーフ in グラインドハウス』(以下『デス・プルーフ』)ではショッキングなスラッシャー映画に、復讐に立ち上がるヒロインを描いたエクスプロイテーション映画、カーアクションなど、タランティーノは自分の愛したさまざまなジャンルを混ぜ合わせ、さらにオリジナリティをたっぷり注入。映像こそ60年〜70年代当時のグラインドハウス映画特有の、使い古しのフィルムに付いた傷、リールのダブりや飛びをあえて再現しているが、現代的なスパイスもふんだんに効かせてある。
 映画が誘うのは、ワイルドでたくましいバッドガールズのリアルな世界、そして恐怖と興奮のドライブだ。テキサスの田舎町にあるバーで、人気DJのジャングル・ジュリアとその女友達に忍び寄る影。その正体は、スタントマン・マイク(カート・ラッセル)。“デス・プルーフ(耐死仕様)”を施した改造シボレーを愛車として乗り回すこの男は、実はとんでもないサイコ野郎だったのだ! 彼は突然、斧やナイフの代わりに車を凶器とし、殺人鬼の顔を露わにして……!
 そして14カ月後。再び現れたスタントマン・マイクは、今度は映画のスタッフガールズをつけ狙う。しかし、選ぶ相手を間違えた!彼女たちはやわな女のコたちとはわけが違う。『バニシング・ポイント』(’71)や『ダーティ・メリー/クレイジー・ラリー』(’74)といったカーチェイス映画をこよなく愛するスタントガールたちなのだから。かつてパム・グリアーが演じた復讐映画のヒロインのように、あるいは女刑務所映画や香港カンフー映画のヒロインたちのように、殺人鬼の挑戦を受けて立つ!

スカッと爽快! ガーリーな会話と本物のカーチェイス!

 『デス・プルーフ』は、とにかく観る者の予想を裏切り、恐怖とユーモア、ハラハラドキドキ、興奮とサプライズに満ちている。特にタランティーノならではのお楽しみを感じさせてくれるのが、ストーリーとは関係のない「会話」のテイスト。この作品で大きな割合を占めているのが、セクシーなガールズが繰り広げる、恋愛やセックス、オトコの品定め、そしてマニアックな映画話など、開けっぴろげでリアルな会話なのだ。タランティーノにとって、ガーリーな世界はまさに新境地!
 そして映画のクライマックスは、映画史上でも最高にスリリングでエキサイティングなカーチェイス! なんといってもサイコ野郎と対決するスタントガールを演じているのが、『キル・ビル』『キル・ビル Vol.2』でユマ・サーマンのスタントをしていたゾーイ・ベル。それゆえ、このシーンでの危険なスタントをすべて、本人が演じているのだ! タランティーノはワイヤーを消す以外でCGを一切使わず、ごまかしなし、100パーセント本物、空前絶後のカーチェイスが幕を開ける。そしてラストに待っているのは、アッと驚き思わず爆笑間違いなし、スカッと爽快なエンディング! また、この映画はタランティーノにとって、撮影監督デビュー作という点でも話題を呼んでいる。

ぴたりとハマった! キャラクターとキャスティングの妙

 タランティーノは独創的な脚本家であると同時に、役者の目利きとしてのセンスも抜群だ。本人役のゾーイ・ベル以外にも、個性豊かなバッドガールズにはフレッシュな顔ぶれが揃い、そのハマりっぷりに唸らされること必至だ。テキサスの人気DJ、ジャングル・ジュリアを演じるのは、シドニー・ポワチエとジョアンナ・シムカスの娘で『美しい人』(’05)のシドニー・タミーア・ポワチエ。とびきりのラップ・ダンスを披露する“バタフライ”ことアーリーンには、『チアガールVSテキサスコップ』(’05、未)のヴェネッサ・フェルリト。金髪のシャナには、『キャビン・フィーバー』(’02)のジョーダン・ラッド。ヒッピー・ガールのパムには、『プラネット・テラー in グラインドハウス』(以下『プラネット・テラー』)ではヒロインを演じているローズ・マッゴーワン。映画でヘアメイクを担当するアバナシーに、『RENT/レント』(’05)のロザリオ・ドーソン。ベルとスタント仲間のキムに、同じく『RENT/レント』のトレイシー・トムズ。チアガールの衣装を着た女優のリーには、『ダイ・ハード4.0』(’07)のメアリー・エリザベス・ウィンステッド。
 そして圧巻なのが、カート・ラッセルが演じるスタントマン・マイクだ。ジョン・カーペンター作品『ニューヨーク1997』(’81)『エスケープ・フロム・L.A.』(’96)で見せた悪党スネークをも超える過激なキャラクターが見る者に与えるのは、恐怖だけではない!
 そのほか、バーにたむろする男ドヴ役に『ホステル』(’05)や『グラインドハウス』のフェイク予告編『THANKSGIVING』の監督イーライ・ロスを起用、タランティーノ自身もホットなバー、“テキサス・チリ・パーラー”のマスター役で出演している。また、『プラネット・テラー』に出てくる女医のダコタ(マーリー・シェルトン)が登場したり、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(’96)、『キル・ビル』、『プラネット・テラー』に出ているアール・マッグロー保安官(マイケル・パークス)の登場も見逃せない。こうした見事なアンサンブルが、このミクスチャー映画を生き生きと輝かせている。

ストーリー






テキサスの夕暮れ時。オースティンのラジオ局で一番の人気DJ、ジャングル・ジュリアは親友のシャナ、久しぶりに地元に戻ってきた大学時代の女友達アーリーンと一緒に街へ繰り出し、一夜の気晴らしをすることに。そこにはお気に入りのバー、グエロスからテキサス・チリ・パーラーへとはしごする彼女たちを、密かにつけている男の影が。ドクロマークの付いた不気味なシボレーを乗り回し、顔に傷痕のある謎の中年男、スタントマン・マイクだ。ジュリアたち3人や、バーに居合わせたパムは、会話するうちにこの男への警戒心をゆるめていく。しかし、パムを送るために車に乗せた彼は突如、恐るべき豹変を遂げて……!
 14ヶ月後。テネシー州で映画撮影に携わっている、スタントウーマンのキムとゾーイ、メイク係のアバナシー、新進女優のリーは、ぽっかり空いたスケジュールを有意義に過ごそうと計画。ゾーイの希望で、『バニシング・ポイント』に出てきた70年代型ダッジ・チャレンジャーに試乗しようということになる。ディーラーの元にリーを置き去りにして、アクロバティックなスタントライドを楽しむ3人。ゾーイはボンネットに乗ってごきげんだ。そんな彼女たちに目をつけたのが、あの男、スタントマン・マイクである。いきなり車をぶつけてきたマイクに、女たちの怒りが爆発! タフな女たちの猛反撃が始まった!

I don’t want to be either A: depending on their fucking ass…
…or B: depending on their ass. If we don’t score ourselves…

スタッフ

監督/脚本:クエンティン・タランティーノ
製作:エリザベス・アヴェラン、ロバート・ロドリゲス、エリカ・スタンバーグ、クエンティン・タランティーノ
製作総指揮:ボブ・ワインスタイン、ハーヴェイ・ワインスタイン
撮影監督:クエンティン・タランティーノ
美術監督:スティーブ・ジョイナー
衣装デザイン:ニナ・プロクター
編集:サリー・メンケ
特殊メイクアップ:グレゴリー・ニコテロ、ハワード・バーガー
スタントコーディネート:ジェフ・ダシュノー
キャスティング:メアリー・ヴァーニュー

キャスト

スタントマン・マイク:カート・ラッセル
ゾーイ・ベル:ゾーイ・ベル
アバナシー:ロザリオ・ドーソン
アーリーン:ヴァネッサ・フェルリト
ジャングル・ジュリア:シドニー・タミーア・ポワチエ
キム:トレイシー・トムズ
パム:ローズ・マッゴーワン
シャナ:ジョーダン・ラッド
リー:メアリー・エリザベス・ウィンステッド
ウォーレン:クエンティン・タランティーノ
マーシー:マーシー・ハリエル
ドヴ:イーライ・ロス
ネイト:オマー・ドゥーム
オマー:マイケル・バコール
ラナ・フランク:モニカ・スタッグス
ジャスパー:ジョナサン・ローラン
パンキー・ブルーザー:マルタ・メンドーサ
ティム・ザ・バーテンダー:ティム・マーフィー
ヴィーナス・エンヴィー:メリッサ・アーカロ
アール・マックグロウ:マイケル・パークス
エドガー・マックグロウ:ジェイムス・パークス
ドクター・ダコタ・ブロック:マーリー・シェルトン
双子のベビーシッター#1:エレクトラ・アヴェラン
双子のベビーシッター#2:エリーズ・アヴェラン

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